舞台は西暦2800年代。
世界は政治、経済、そして文化のグローバル化並びにボーダーレス化が進み、従来の「国境「国家」という概念が意味をなさなくなっていた。
欧州大陸にある、…
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#コンテンツ会議
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁-4
「チッ」キャサリンは、忌々しげな表情で舌打ちした。
その表情には「話を逸らそうとしてんじゃないよ」という感情が浮かんでいた。
「夕べ、何か飲み食いしたか?」
キャサリンは夕べのことを私に尋ねた。
昨晩、私がオトコと一戦を交えていたことは、彼女もわかっていたはずだ。
夜分に上流階級の令嬢が、オトコを自室に引っ張り込むというのは、私たちの世界ではよくあることだ。もちろんキャサリ
Naked Desire〜姫君たちの野望
ジリジリジリジリ──
枕元の目覚まし時計が、けたたましく鳴る。
「う、う、う──ん」
私─神聖プレアガーツ=ホッフンヌング連邦帝国グラーツ大公国第一皇女エルヴィラ・ジャンヌ・マリナ・カーリン・フォン・ゾンネンアウフガング=ホッフンヌング─は、目覚まし時計のベルを止めると、ベッドの中で思いきり身体を伸ばした。
上半身をゆっくりと起こすと、気のせいかまだだるい。
しまった、夕べのお楽しみは、1回だけ
Naked Desire〜姫君たちの野望
第4回 メモワール その4
「高そうなお酒ね? どんなお酒なの?」
と、私は夫に質問した。
「ヘネシー家当主6代目の生誕100周年を記念し、今から7世紀以上前のコニャックをブレンドして作られた一品だ。たぶん、ボトル1本20万フロリンはくだらないだろうな」
「ボトル1本で20万フロリン!」
貧困層の年収の倍以上じゃない! 私は絶句した。
このご時世に、吞気にそんな酒を引っ張り出す彼の神経がわか