右螺子(理系大学院生)

∫dx 物理学のピエロ🃏になりたい大学院生。理論物理学をやっています。

右螺子(理系大学院生)

∫dx 物理学のピエロ🃏になりたい大学院生。理論物理学をやっています。

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

拝啓 英語が嫌いな中学生の僕へ

こんにちは。大学院生の君です。大学院というのは大学を卒業した後に、研究をするために進学するところです。そこで僕は物理学の研究をしています。 中学校の頃、君は英語が嫌いでしたね。英語を使いたくないから日本から一生出ない、英語を使わない職に就く、なんて言っていたと思います。 君は高校生になって、初めて海外に行きます。英語で買い物をするし、入国審査も受けます。日本を出ないという目標はその数年後、儚く散りました。 しかも現在、僕は毎日英語を使っています。英語の論文や教科書を毎日

    • 計量テンソルは行列か?

      少し前から持っている計量テンソルの行列表示についての疑問をメモしておこうと思います。あくまで考えている過程のメモなので、書いてあることが正しくない可能性は非常に高いです。その点に注意してください。 Q 01. 計量テンソルは行列なのか? 自分の考え: 多分 No。共変計量テンソルは反変ベクトルを共変ベクトルにうつす写像であるが、行列は反変→反変のようにうつし、共変/反変の変換は起こらない。テンソルはあくまでテンソルであり、行列とは本来別概念。n 解のテンソルは、n 個のベ

      • 計算が合わない!もうダメだ!

        僕は物理学は専門の大学院生です。ですので毎日何かしらの計算をしているのですが、計算が全然上手くいかないことがしょっちゅうあります。論文は途中計算が省かれているため、計算結果しかわかりません。その結果にどうやってもたどり着けないのです。ドツボにハマったら抜け出せなくなることもしばしばで、そんなときは 「もうダメだ!俺は物理に向いてないんだ!」 と非常に落ち込みます。流石にネガティブすぎると言われたこともありますが、それなりの頻度でこの「発作」は起こります。もはや持病と言って

        • 以前書いた記事「拝啓 英語が嫌いな中学生の僕へ」(https://note.com/migineji/n/na16b40cc933c)が今週だけで3000回以上見ていただけているようで、大変驚きました。 こんなにもたくさんの方に読んでいただけるなんて思っておらず、大変恐縮です。 ありがとうございます!

        • 固定された記事

        拝啓 英語が嫌いな中学生の僕へ

        マガジン

        • クリップ
          1本
        • デザイン
          1本
        • 執筆
          1本

        記事

          物理力を鍛える「静かな道場破り」

           僕は物理学が専門の大学院生です。  大学生のころ、自分が物理をきちんと理解できているかをチェックするために、少し変わったことをしていました。  それは、エセ科学や間違った「理論」をインターネットで検索して、その間違いはどこにあるか考える、というものです。  ここで一つ注意しておきたいのが、僕はそういったものを信じるのは別に構わないと思っています。個人の思想や信仰の自由は保障されるべきだと思いますから。それに、科学を信じることがすべて良いかというと、必ずしもそうでないとも思

          物理力を鍛える「静かな道場破り」

          「720° が1周」の量?【スピノル、メビウスの帯、アナログ時計、etc.】

          物理学にはスピノルという量があります。スピノールとか、スピナとか言ったりもします。この量の最大の特徴は「 2 周が 1 周であること」です。つまり、360° 回転してもスピノルにとってはまだ半周しかしていなくて、720° 回転してやっと1周したことになるわけです。 え?そんなこと言われてもピンとこないって?でも、意外と身の回りにもスピノルみたいに「 2 周が 1 周」のモノってあるんですよ? 01. メビウスの帯 そのようなモノに、有名なところだとメビウスの帯があります

          「720° が1周」の量?【スピノル、メビウスの帯、アナログ時計、etc.】

          研究とボルダリング

          ボルダリングっていう競技がありますよね。あの、岩を模した人口の壁を登る競技。実は別に人口の壁である必要はなくて、自然の岩を登る場合もボルダリングと呼ぶそうです。 さて、僕は理系の大学院生です。ですので研究やそのための勉強を毎日しています。具体的には専門分野である物理学や数学の勉強です。 その一方で、僕はかなり幅広い興味を持っている方だと自認しています。つまり、所属している研究室の専門分野に限らず、他分野やそもそも物理学以外の分野にも興味があります。例えば情報科学や脳科学、

          研究とボルダリング

          シロクマのことを考えないでください

          忘れたいことほど忘れられないことってありますよね。 例えば何かイヤなこと(失敗とか、失恋とか)があって、それを早く忘れようと別のことをしてみるも、一向に忘れられない、といった具合です。 かつて次のような実験が行われました。 A・B・Cの3つの実験参加者グループを用意する。 すべてのグループにシロクマの1日を追った同じ映像を見せる。 Aグループの参加者には、シロクマのことを覚えておくように言う。 Bグループの参加者には、シロクマのことを考えても考えなくてもいいと言う。 C

          シロクマのことを考えないでください

          数式だらけの本『数学ガール』が支持される理由は想定読者が「人間」だからではないか

           大学生の時に、論文の書き方についてのセミナーを受けたことがあります。そこで講師の人が「論文の想定読者は中学生程度の教養を持ち、一度言ったことはすぐに理解し、決して忘れない AI だ」と言っていたのが印象に残っています。実際に、ほとんどの論文や教科書はこのような想定を置いたと思われる文体となっていると思います。これは訓練された「頭の良い」人々にとっては効率的でわかりやすい表現方法ですが、そうでないほとんどの人達(僕もその一員です)にはわかりにくいし、とても読む気にならないでし

          数式だらけの本『数学ガール』が支持される理由は想定読者が「人間」だからではないか

          自己表現とアイデンティティ

           僕はここ一年でアウトプットを意識するようになりました。アウトプットというのは「自分の中にある内在的な情報、あるいはそれに準ずる何かを自己の外側、すなわち外界からアクセス可能な状態にすること」です。このアウトプットを非画一的に行うことが自己表現です。何だか難しそうな言い回しになってしまいましたね。簡単には「自分にしかできない方法で自分の持っているモノを他人に伝えること」とでも言えるでしょう。  非画一的、というのがキモです。つまり、マークシート式の試験で答案用紙にマークする

          自己表現とアイデンティティ

          「先生はえらい」

          僕は「先生」が嫌いだ。  これまで小学校、中学校、高校と、「先生」と呼ばれる人たちに出会ってきた。が、どうも好きになれない。そもそも学校が嫌いだったことも関係しているのかもしれないが、とにかく「先生」が嫌いなまま高校も卒業してしまった。  大学に入ると、教員はあまり「先生」という感じがしなかった。高校までのような「先生と生徒の関係」ではなく、「教員と学生の関係」になる。僕にとっては、これくらいでちょうどよかった。  物理学、特に高エネルギー分野(素粒子・原子核・宇宙分野)

          そうだ、毎日更新をやめよう

          noteをこれまで毎日更新してきました。それを今日でやめてみようと思います。 noteを毎日更新しようとすると、書ける文章を書くことになってしまうことに気がついたからです。書きたい文章を書こうと思って執筆していると、もっと寝かせたり、練ったり、あるいは資料にあたりたいことがあります。すると書きたいことを差し置いて、いま書けることを書かざるを得なくなってしまうのです。そして、書けることは大抵、日記か過去の回想になってしまうということが分かりました(まさにこの記事のように!)

          そうだ、毎日更新をやめよう

          書くことが思いつかない日は、中学校を思い出す

          僕は毎日noteを更新し続けており、明日でちょうど1か月だ。そして今、その1か月の中で最大の窮地に立たされている。書くことが思いつかないのだ。 正確に言えば書きたいことやアイデアはいくらでもある。だから書くことが思いつかない、というのは正確な表現ではないのかもしれない。正確には、あと15分程度で書ききることができる、ちょうどいい話題がない、だ。実は先ほどまで別の話題を投稿しようと執筆していたのだが、もう少し寝かせたり、資料を見たりしたくなって、今日の投稿を取りやめたのだ。完

          書くことが思いつかない日は、中学校を思い出す

          地球が太陽の周りを回っていることが理解できなかった

          僕は物理学を専門とする大学院生だ。しかし、地球が太陽の周りを回っていることが昔理解できなかった。 小学生のころから地球が太陽の周りを回っているということは知っていた。学校で習う前にすでに本か何かで知っていたように思う。 しかし僕は中学生になって、なぜ地球が太陽の周りを回っている、と言えるのか分からなくなった。地球が太陽の周りを回っていると考えても、逆に太陽が地球の周りを回っていると考えても良いのではないか、と思ったのだ。 なぜなら、どちらにしろ地球と太陽の相対的な位置関

          地球が太陽の周りを回っていることが理解できなかった

          落ちざまに(?)何故に伏せたる桜かな

          キャンパスを歩いていると、桜が満開だった。大学に桜を植えると学生が花見をし、そこで酒を飲んで困るから大学には銀杏の木を植える、という話を聞いたことがあるが、少なくともうちの大学はそういうわけでもないらしい。銀杏もあれば桜も植えてある。今日はいい天気で気温も高く、絶好のお花見日和だった。 見上げていた桜の花から視線を落とし、地面を見てみる。散った桜の花びらがあり、こちらも趣がある。すると、桜の花がその形を保ったまま、つまり5枚の花弁をつけたままガク(花と茎の間の部分)から落ち

          落ちざまに(?)何故に伏せたる桜かな

          反作用が生じるメカニズムは「存在しない」?

          作用反作用の法則という法則がある。古典力学の基礎法則であるニュートンの3法則——慣性の法則・運動方程式・作用反作用の法則——の一つで、高校の教科書にも載っている。 手で壁を押すと、力を加える向きと逆向きの力が壁から手に伝わる。この手に伝わる力が反作用だ。これがないと壁に手が沈み込んでいくし、床の上に立つこともできない。 この反作用が古典力学においてどのように生じるか、という疑問にあなたは正しく答えられるだろうか? 「手が壁を押し込むと壁が変形し、壁が元の形に戻ろうとする

          反作用が生じるメカニズムは「存在しない」?