タイガー機械式計算機
遡ること60年ほど前、昭和30年代には、まだ電卓というものは一般的に普及したデバイスではありませんでした。
当時僕はまだ生まれていませんが、開発されたばかりの電卓は、発売当時は10万円以上する高級なデバイスだったそうです。
しかも当時は上級公務員の1ヶ月の給与が1万5千円ほどだった時代。
下手すると年収に相当するような金額の、超高性能なデバイスだったりしたそうです。
そんな時代でも、3万5千円という価格で加減乗除の四則演算が出来る計算機がありました。
それがタイガー計算機。
そして、10人に話をすると15人から
「何言ってンだオマエ」
と言われそうですが、僕は『動かなくなった機械を修理して、また動くようにする』というのが趣味の一つです。
先日ヤフオクで、ジャンクで1,000円という
「昼休みにラーメンと餃子食べるよりも安い」
お値段で売られていました。
昭和30年代に3万5千円なので、現在の価値に換算するとどれくらいでしょうか。
現在の公務員の給与が21万円だとすると、実に額面の12倍なので、単純計算で42万円相当。
状態は
・どのレバーも動かない
・数字を動かすダイヤルも動かない
・桁送りの機構も動かない
・とにかく動かない
という具合です。
とりあえずカバーを外して、固着したグリスにへばりついた埃をできるだけ取り除き、クレ556を使って少しずつ動くようにして
リハビリをするようにちょっとずつちょっとずつ、動きを取り戻しながら出来るだけシルボン紙などで拭きます。
幸いなことに部品などに物理的破損はなかったようで、清掃+注油という基本的なメンテナンスだけで、本来の計算機として使用できるようになってくれました。
最近よくヤフオクなどで、古い機械などを見かけるときに
「使い方がわからないため、動作未確認のジャンクとして販売します」
というケースが多いように思います。
こんかい1,000円でジャンクとして購入したこちらの計算機も、簡単なメンテナンスで正常に動いてくれるようになりました。
昔のブラックボックス化されたところが非常に少ない機械だと、大抵の不調の原因は
・グリスの劣化による固着
・埃がグリスやオイルに付着して詰まる
・バネが外れた、レバー類が何かに引っかかった
のいずれかであるケースが多かったです。
点字タイプライターと同じく、この計算機もそれほど普段遣いする、といったものではないでしょうが、『修理したい欲求』を満たしてくれました。
満足満足。
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