アリゼ「わたし、ロリータ」訳詞
以前から気になっていたAlizéeの「Moi... Lolita」を訳してみました。詩は、Mylène Farmerで、有名なウラジミール・ナボコフの小説『ロリータ』から着想を得たそうです。そういうわけなので、この小説の内容をふまえて訳すのが理想だとは思いますが、とりあえず訳してみました。Julien Doréのカバーもかっこいいです。
わたし、ロリータ
わたしの名前はロリータ
ローまたはローラともいうわ
どう呼ばれようと同じよ
わたしの名前はロリータ
狼を夢見るときは
血を流すローラ
ろれつが回らないときは
馬鹿みたいに笑うの
見世物ショーの奇人みたいに
わたしの名前はロリータ
生を謳歌するロー、愛が洪水のように溢れてる
わたしのせいじゃないわ
わたしが気を許せば
他人はすっかり
わたしに飛びかかる気になってる
わたしのせいなんかじゃない
まわりじゅうから声をかけられたって
ハロー、やあ、きみAだね、(ロ、リ、イ、タ)
わたし、ロリータ
わたしの名前はロリータ
メチレンのブルー・
ソックスの中学生
わたしの名前はロリータ
すぐかっとなるし、許せないの
中途半端なのは
ママには言うもんですか
わたし、変人なのなんて
わたしの名前はロリータ
生を謳歌するロー、愛が洪水のように溢れてる
わたしのせいじゃないわ
インターネット上の既訳と比べてかなり違うところがありますので、以下はいちおうその説明です。解釈に自信があるわけではありませんが。
aussi fou qu’un phénomène : phénomène にはindividu anormal の意味があり、「Phénomène qu’on montre dans les foires」いう辞書の例文にもあるように、ここでは見世物ショーの奇人としました。fouは道化の意味もあります。
Bas-bleuには才女femme savanteの意味があるので、méthylèneという学術的な用語とも合わせて、才女を表す意味でブルー・ソックスとしました。ちなみに才女の意味のbas-bleuは英語ではブルー・ストッキング。このストッキングは膝上までの長い靴下のことで、日本語のストッキングとはだいぶ違います。
Mi-cotton mi-laineは、mi-figue, mi-raisin を連想するので「中途半端」としました。またその前の「pas」は「coléreuse」ではなく、mi-cotton mi-laineにかかっている。
Motus et boucheは「わたし」の補語と考え、黙っている(私)。この句はqui n’dit pasの先行詞なので動詞がditですが、意味上の主語は「わたし」。
Loは水を表している説があり、なるほどと思いましたが、パクるのはやめておきました(笑)。