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【季節のおすすめ絵本】5月:今日は なにを 着ようかな

この季節だからこそ、味わいたい絵本、というものがあります。
もちろん、子どもたちが、真冬に水遊びの絵本が読みたくなったり、雪だるまの絵本が好きすぎて1年中楽しんだりする姿も、それはそれで微笑ましいので、あんまり厳密に「絵本を使って季節を教えよう!」とは思わないのですが。
もっと緩やかな感覚で、〈今年も、この季節だなぁ〉とか思いながら、手に取りたい絵本があってもいいよね、という想いで、月ごとの絵本をご紹介していこうと思います。

「服」は1年中着ていますが、春先は、ちょっぴり特別な気がします。冬の間いつも同じコートを着ていたのに、春になって、コートを脱ぎ、青空の下で、毎日違う、色とりどりの服が着られる季節。なんだか、脱皮して、美しい羽根を披露するちょうちょみたいじゃないですか?
そこで、5月は〈今日は なにを 着ようかな〉というテーマの絵本をご紹介します。

最初は、毎日のお着換えの時に役立つ1冊から。

おててがでたよ』 林明子:作 福音館書店
小さな子どものお着換えの場面。「おててがでたよ」「ぬぅーあたまがでてきた」「ぱっ おかおがでたよ」と、手や顔や足が洋服から出てくる時の言葉1つ1つが、わざとらしくないのに楽しい。
実際にお着換えする時に、「あれあれあれ、おててはどこかな?」と、絵本のまねをして声をかけたら、楽しく着替えられそうです。

最初は、大人の手を借りていた子どもが、だんだん、自分でもお着換えができるようになります。最初は、なんだか間違えながら覚えていくもの。
でも、そのうち、わざと間違えて大人の反応を面白がったり、間違えた自分の姿を見て笑い転げたりと、ちょっぴりふざける余裕も出てくるんですよね。

どうすればいいのかな?』わたなべしげお:文 おおともやすお:絵 福音館書店
パンツやシャツ、お着換えの時に、ちょっとずつ、間違えるくまたくん。ちょっぴりふざけているのかもしれないけれど、大マジメな表情が良いのです。言葉の丁寧さにも信頼が持てます。
お着換えが自分でできるようになってきた2~3歳くらいのお子さんのツボに入りやすい絵本です。どうして間違うだけで、こんなに笑えるのかなぁ。

そして、お洋服絵本の定番。着替えていないのに、服が勝手にどんどん変わっていく絵本。

わたしのワンピース』にしまきかやこ:作 こぐま社
お花畑を歩けばお花模様に、雨が降れば雨粒模様になる、という、とても魅力的なワンピース。シンプルな繰り返しのお話ですが、次はどんな模様になるかしら、と想像しながら読むと、わくわくしてきます。

別の記事では、『わたしのワンピース』から広がる遊びも紹介しています。

そして、私の大好きなタイプの「モノがここにやってくるまで」に想いを馳せることのできる絵本。

もぐらとずぼん』エドアルド・ペチシカ:文  ズデネック・ミレル:絵  うちだりさこ:訳 福音館書店
青いずぼんが欲しいもぐらくん。ずぼんを手に入れるために、草を集めて布を織ってもらうところから始めて、1工程ずつ、憧れのずぼんに近づいていきます。自分たちの身の周りにあるモノは、こうやって、いくつもの工程を経て手元にやってきている、ということ、1つ1つの工程をそれぞれの職人が担い、その仕事や技術への敬意の想いが余すことなく語られていることなど、大事なことが、きちんと描かれています。
それでいて、ユーモアも忘れないので、ちっとも堅苦しくなく、青いずぼんが手に入ると本当に嬉しくなります。

身の周りにあるモノは、作ってくれる誰かがいるからここにある・・・というのと同じように、考え方や思想についても、それを最初に言葉にしたり、行動したりした、〈誰か〉がいます。自分たちの習慣や考え方、当たり前だと思っていることは、本当に当たり前なのか、その「当たり前」は変えることができるのだろうか・・・と、考えるきかっけになりそうな本がありました。

せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』キース・ネグレー/作
石井睦美/訳 光村教育図書
女の子はズボンをはいてはいけない、という時代に、そのことに疑問を抱き、自分は自分の着たいものを着る、と行動を起こした人の話。
色々な切り口から、考える材料があると思います。「当たり前」を自分の感性で考え直すことの意味、自分の好きなものを身に付けるとはどういうことか、時代によって価値観が変わる中で自分の行動規範をどこに置けばいいのか・・・などと、私は感じました。絵本をきっかけに、自分ならどうするだろう、と考えを深めることもできそうです。

いかがでしたか。
毎日、服を選んで着る、という日常の中にも、面白がったり、うきうきしたり、その先のことに想いを馳せたり、という色々な要素が詰まっていますね。
今日も、お気に入りの服を着て、わくわくした1日となりますように。

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