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25年まえの「あそびの授業」
小学校で「あそびの授業」を実施した話は、数日前に書いた。
総合学習の授業の一環として、小学校5年生のクラスにお声かけ頂き「あそびとは何か」をお話してきた。話を聴いてくれる彼らの姿が素晴らしく、私自身、とても楽しかった。
あそびの専門家、として授業の依頼を頂いたのは初の体験だったけれど、小学校で「あそびの授業」を実施したのは、実は初めてではない。今までに1回だけ、チャレンジしたことがある。それは社会人1年目の3学期のこと。ちょうど25年前。
高校時代からボランティア活動で一緒だったお兄さんのような存在の人が学校の先生で、その年は小学校1年生の担任だった。彼が、ふっと言ったのだ。「みえちゃんさぁ、あそびの授業、やってみない?」って。
その時は生活科だった。生活科の単元の中で、みんなで遊ぼう、というテーマがあるという。45分自由に使っていいから、子どもたちと楽しく遊んでよ。それで、最後にはちゃんと、遊ぶってどういうことか、あなたの考えを子どもたちに伝えてほしいんだよね、と言う。
今にして思えば、声をかけてくれたお兄さんは、「おもちゃやさん(当時は自分のことをそう呼んでいた)」になりたての私に、子どもたちと関わり、私自身の想いを語る場を、作ってくれたんだと思う。
1クラス40人(当時)の子どもたちと楽しく過ごすために、何ができるかを考えた。トイの事業部の先輩に事情を話して、大勢で遊べるパーティーグッズをいくつか貸して頂いた。(ドラえもんだらけだった。)
授業がはじまる。大学時代、ずっと、小学校で人形劇の公演をやって、教室におじゃまする機会も多かったから、そんなに緊張はない。
子どもたちの前で荷物を開けて、中からドラえもんが出てくると、子どもたちの興奮は最高潮!ドラえもんが・・・というよりも、「学校におもちゃ」という、普段ならゆるされない組み合わせに盛り上がっていたように思う。
多くても4人程度で遊ぶことを想定したおもちゃを使いながら、どんな風に応用すればクラス全員で遊べるのかを考えて、準備した。おもちゃの機能を一部分だけ使って、レクリエーション遊びのようなものを展開したと思う。3~4つの遊びを用意していったんじゃないかな。
ひとしきり遊んだあと、子どもたちに少しだけお話をした。今日はおもちゃを使ったけれど、使い方を工夫したら、クラスみんなで遊ぶこともできたね。おもちゃは、楽しいものだけれど、大事なのは君たち自身で、遊びを工夫して作り出すことなんだよね。これからも、こんな風に、楽しく遊んでくれたら嬉しいな。
そんな話をしたと思う。
当時の私は、「遊び」や「おもちゃ」について語る専門知識や理屈は持ち合わせていなかった。でも、今よりも、もっとピュアにおもちゃのチカラを信じていたし、遊びの楽しさを実感していたんじゃないかな、と思う。
そう言えば、数人の保護者の方が見学に来てくれていたな。その時、保護者の方が「こんなに楽しそうに遊ぶ姿が見られて良かった」って言ってくれた。そう、「遊び」って、何かの学びや成長や効果を期待するものではないはず。「クラスみんなで、こんなに楽しめて良かった」って思ってもらえたら、それでもう充分なのだと思う。
あの時から、25年。
25年ぶりの「あそびの授業」は、「子どもと関わる仕事」を始めた頃のピュアな気持ちを思い出させてくれた。誰かに何かを教えているようでいて、私自身が、たくさんのことを教わっている。