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【季節のおすすめ絵本】4月:たまご

この季節だからこそ、味わいたい絵本、というものがあります。
もちろん、子どもたちが、真冬に水遊びの絵本が読みたくなったり、雪だるまの絵本が好きすぎて1年中楽しんだりする姿も、それはそれで微笑ましいので、あんまり厳密に「絵本を使って季節を教えよう!」とは思わないのですが。
もっと緩やかな感覚で、〈今年も、この季節だなぁ〉とか思いながら、手に取りたい絵本があってもいいよね、という想いで、月ごとの絵本をご紹介していこうと思います。

今月のテーマは、「たまご」です。
たまごは、命の源であるし、カタい殻を破って、何かが生まれるという、不思議な存在でもあります。イースターの象徴でもありますね。

新しいエネルギーが芽吹く季節でもある4月、今月は「たまご」の絵本をご紹介しますね。

まずは、読み聞かせなどでも人気の高い絵本。おすすめ絵本●●冊紹介・・・のような雑誌の企画などでも、取り上げられることが多いです。

たまごのあかちゃん』神沢利子:作 柳生弦一郎:絵 福音館書店
たまごから赤ちゃんが生まれるのが嬉しくなる絵本です。
特に子どもたちは「でておいでよ」という繰り返しが大好き。一緒に「でておいでよ」とたまごに向かって呼びかけても楽しめますね。最初は、次は何の生き物が出てくるかな、とわくわくしながら、ページをめくるのを待っているんですよね。何度も何度も繰り返した後は、次に何が出てくるか、よく覚えていて、期待通りの赤ちゃんが出てくることを喜びます。

定番と呼べる絵本をもう1冊。

ふしぎなたまご』ディック・ブルーナ:作 いしいももこ:訳 福音館書店
お話そのものは、とてもシンプルです。シンプルだからこそ、動物たちがみんな、たまご(と、ひよこ)のことを本当に大事に思っていることが伝わってきます。
この絵本は、何よりも石井桃子さんの翻訳が素晴らしい。何気ない文章のようですが、声に出して読んでみると、歌うようにリズミカルで、軽快な明るさを感じます。すごいですよ。

とにかく、かわいい本

たたくとぽん』寺村輝夫:作 和歌山静子:絵 あかね書房
とにかく、とにかく可愛い本なので、まぁ理屈抜きに手にとって読んでみて頂きたいです。ちょっとしたナンセンス絵本ではあるのですけれど、和歌山静子さんのクレヨンタッチのひよこが本当にかわいいので、もう、なんでもいいや、と思っちゃう。きょとん、とした表情がたまらないです。
あかね書房さんからは、このコンビで「たまごの本」というシリーズを全部で4冊出しているようです。その中でも、一番かわいらしくて、思わずにっこりしてしまった絵本を選びました。

寺村輝夫さんの絵本を、もう1冊。

おしゃべりなたまごやき』寺村輝夫:作 長新太:絵 福音館書店
寺村輝夫さんで、たまご、と言えば、真っ先にこちらを思い浮かぶ人が多いかもしれませんね。これも、長い時間読み継がれてきた名作です。
寺村輝夫さんの描く「おうさま」は、子どもたちが共感できるような、無邪気さと、わがままさを充分に発揮している人ですが、この本では、ニワトリで大騒ぎを起こしてしまいます。
私は、最後の場面に出てくる、お給仕をしてくれる人の言葉がとても好きです。あたたかさとユーモアがあって。世のお母さんお父さんたちは、みんな、こんな気持ちで子どもと向き合っているのかもしれません。

世界の民話からもご紹介。

たまごからうま』酒井公子:作 織茂恭子:絵 偕成社
ベンガルの昔話です。日本の民話で言うと『ふるやのもり』を思い出そうような疾走感のあるお話。
なお、ベンガル地方では絶対にありえないことを表す時に「うまのたまご」という言い回しを使うそうですよ!土地で伝わる物語は、その土地の文化と深くつながっているものが多く、面白いですよね。(蛇足ですけど、月探査機を「かぐや」と名付けるように、昔から伝わる物語は、その土地の人に愛され続け、共通認識できる物語になるんですね。)

ちょっと不思議なお話です。

かぜひきたまご』船崎克彦:作 杉浦範茂:絵 講談社
ちょっとふしぎなたまごのお話。
最後まで、この「ふしぎ」の謎が解明されないところが魅力です。解明する必要もないんじゃないかな、と思うんです。
たまご、って、なんだか特別な力を持ってそうな、不思議な存在だと思うんですよね。命が生まれる、って、本当に神秘です。そういう「不思議な存在」は、不思議なままでいいんだな、と思います。世界には、まだまだ分からないことが沢山あるから面白いんです。

最後に科学的な切り口から。

たまごの図鑑』大木邦彦:文/構成 今泉忠明:監修 あかね書房
これは、何も説明はいりません。とにかく、私たちの予想を軽く超えるほどの色々な大きさ・形・形状・見た目・・・のたまごが、たくさん、たくさん登場します。見ているだけで、びっくりがたくさん!

いかがでしたか。
新年度は、新しい生活が始まって、大人も子どもも、ペースをつかむまでは、ちょっと疲れちゃうかもしれません。
そういう時こそ、好きな絵本を読んで、心落ち着く時間が過ごせるといいですね。

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