心に届く言葉を生み出してきたひと
成長の過程で「誰しもが、この人の言葉には出会ってきたに違いない」と確かに言える人は、誰だろうか。
例えば、日本語を母語として、日本で教育を受けた人たちならば、きっとこの人の言葉には出会ってきたに違いない、と確証を持って言える作家や文筆家や作詞家は、そんなには多くはないんじゃないか。
教科書に載っている人は、可能性が高いよね。
例えば、小学校1年生の教科書に載っている『くじらぐも』。この物語は、1971年に教科書に掲載するために書かれ、今でも教科書に載っている。
このお話を書いた人は、『ぐりとぐら』の作者でもある中川李枝子さん。
中川李枝子さんは、映画「となりのトトロ」の挿入歌「さんぽ」の作詞もしていて、この歌も教科書に出ているから、子どもたちは、何かしらの形で中川李枝子さんと接点を持っているんじゃないかな。
そして、小学校2年生の教科書に載っている『スイミー』。スイミーが教科書に登場したのは1977年で、そして、やっぱり今でも載っている。レオレオニのこの作品を翻訳したのは、谷川俊太郎さん。
谷川俊太郎さん自身の詩については、『朝のリレー』や『生きる』などが、教科書に載っていることで有名。
もちろん絵本を通して、その言葉に出会ったことのある人も多いと思う。私の大好きな『もこもこもこ』とかね。
色々考えてみたのだが、「子どもが出合ったかもしれない言葉」を生み出した人としては、この2人が圧倒的だな、と思った。
だからどうという訳でもない。多くの人に読まれればそれがスゴイ、と言いたいのでもない。
ただ、沢山の人がその言葉に出会い、笑ったり、心震わせたり、考え込んだり、想いにふけったりした、そんな風に、沢山の人の心の深いところに届いた人だったんじゃないか、と、勝手にそんな風に思う。
そして、できたら、子どもたちのまわりには「いい言葉」を置いておきたい。美しい言葉、心地よい言葉、リズムのある言葉、心の深いところに届く言葉。そういう「いい言葉」を生み出してくれた人に、改めて感謝の想いで一杯だ。