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【季節のおすすめ絵本】1月:だるまさん

この季節だからこそ、味わいたい絵本、というものがあります。
もちろん、子どもたちが、真冬に水遊びの絵本が読みたくなったり、雪だるまの絵本が好きすぎて1年中楽しんだりする姿も、それはそれで微笑ましいので、あんまり厳密に「絵本を使って季節を教えよう!」とは思わないのですが。
もっと緩やかな感覚で、〈今年も、この季節だなぁ〉とか思いながら、手に取りたい絵本があってもいいよね、という想いで、月ごとの絵本をご紹介していこうと思います。

昨年、かがくいさとしさんのドキュメンタリーを観ました。絵本作家になる前から子どもたちに寄り添い続けてきたことや、子ども1人1人に向ける視線の暖かさが伝わってきました。

かがくいさとしさんにまつわるエピソードの中でも、私は、「だるまちゃんの読み聞かせ動画をお考えのみなさまへ」というブロンズ社さんのブログを、とても好ましく思っています。

ぜひ全文はリンクから読んで頂きたいのですが、趣旨としては、かがくいさん自身の意向を尊重し、ちいさな赤ちゃんのための本は、目の前のその子を大切に思うだれかが、肉声で読んであげてほしいと考え、動画の許諾はお断りしている、という内容です。

私は、特に下記のあたりが心に響きます。

子どもは知っています。ビデオの映像のように画一的な同じ声ではなく、お父さんやお母さんの声が毎日違うことを。そして、疲れてしんどい時にも、子どもと一緒に時を過ごそうと絵本を読んでくれていることを。どんな時代がこようとも、子どもの笑い声を聴きながら、踏ん張って歩いていきましょうね。楽天ブックス著者インタビューより抜粋

ブロンズ新社公式ブログ

という訳で、今まで何度もご紹介してきた「だるまさん」、また、やっぱり何度もご紹介してきた「だるまちゃん」の絵本を、改めてご紹介します。

まずは、「だるまさん」。

だるまさんシリーズ 3冊ケース入り』かがくいひろし:作 ブロンズ新社だるまさんの絵本は「こんな風に読むと楽しいですよね」という説明がいらない絵本です。きっと、絵が雄弁だからなんだな、ということに、かがくいさとしさんのドキュメントを見ながら気づきました。
初めて子どもと絵本を楽しむ大人も、小さな赤ちゃんも、子どもたちも、誰にも教わっていないのに、「だ・る・ま・さ・ん・が」って、絵本と一緒に左右に揺れているのです。そして、「ぷしゅー」って読めば、「ぷしゅー」って動きをマネしたくなる。「は」って読めば、自分の歯を強調してにぃぃっと笑い、子どもの歯を触りたくなる。「ぺこり」って読めば、2人で息を合わせて「ぺこり」ってやりたくなる。絵本の動きや、音を、そのまま真似したくなって、それが、そのまま遊びになるんです。
すごいなぁ。ほんとに、すごいなぁ。

そして、だるまちゃん。

だるまちゃんとてんぐちゃん』かこさとし:作 福音館書店
だるまちゃんの絵本は、てんぐちゃん・かみなりちゃん・うさぎちゃん・とらのこちゃん・だいこくちゃん・てんじんちゃん・やまんめちゃん・におうちゃん・・・と、多数あります。どれも、だるまちゃんの「相方」となる友達や、絵本のテーマそのものが、日本の風習や文化に根差したものばかりです。
どの本も、それぞれの魅力があるのですが、どれか1冊を紹介するならば、やはり「だるまちゃんとてんぐちゃん」。
ストーリーを楽しむだけではなく、ぜひとも絵を楽しんで頂きたいのです。例えば、ずらりと並んだ「はきもの」を見ながら、どれが好きかな、どれを履いてみたいかな、これは歩くのが難しそうだね、随分変わった形だね・・・などと、あれこれとおしゃべりしたら、いつまでも楽しめます。この帽子はボクの、これは妹の、これはお父さんで、お母さんで、園の先生で・・・と、誰に似合うかなぁ、って考えるのもいいですね。
かこさとしさんの絵本は、細かな絵1つ1つまで、心が行き届いているので。隅々まで味わい尽くせますね。

「♪だーるまさん、だーるまさん」と唄うのは、にらめっこ、ですね。

にらめっこしましょ あっぷっぷ!』長野ヒデ子:作 童心社
紙芝居です。参加型の紙芝居。
参加型の紙芝居は、子どもたちが自分で物語を進めている実感があるので、紙芝居の世界の中にぐいぐいと入ってきて、本当に盛り上がります。紙芝居も、ただ、だるまさんが笑うのではなく、子どもにとっては自分たちに反応して笑ってくれているように見えるのが、楽しいところですよね。
舞台があって、大勢で読むことの多い紙芝居ですが、親子で楽しむこともできます。親子で向き合って「パパ劇場・ママ劇場」にするのもいいし、絵本のように同じ向きに座って、一緒に絵を楽しんでもいいのです。図書館などでは紙芝居の貸し出しを行っているところも多いので、ご家庭でも利用してみてくださいね。

「にらめっこ」でもう1冊。

新装版 にらめっこ』杉田豊:作 講談社
絵本作家であり、グラフィックデザイナーでもある杉田豊さんの絵は、スタイリッシュで、ポストカードやインテリアに利用しても映えそうです。子ども向けのものだからと言って、キラキラした目でパステル調でにっこり微笑んでいるものばかりが良い訳ではなく、こんな風に洗練された絵も、ぜひ子どもたちに出会ってもらいたいです。
杉田豊さんのお名前はそんなに一般的ではないかもしれませんが、絵を見れば「あ、どこかで見たことがある」と思う人も多いかもしれません。すこーしだけトーンを抑えた鮮やかな色は、カラフルなのに落ち着きがあって、無国籍で多国籍。子どもの世界への、柔らかな眼差しを感じました。

いかがでしたか。
おめでたいモチーフである「だるま」を通して、子どもたちを見守る大人たちの暖かさを沢山感じたように思います。
良い年となりますように。

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