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【季節のおすすめ絵本】3月:おてがみ

この季節だからこそ、味わいたい絵本、というものがあります。
もちろん、子どもたちが、真冬に水遊びの絵本が読みたくなったり、雪だるまの絵本が好きすぎて1年中楽しんだりする姿も、それはそれで微笑ましいので、あんまり厳密に「絵本を使って季節を教えよう!」とは思わないのですが。
もっと緩やかな感覚で、〈今年も、この季節だなぁ〉とか思いながら、手に取りたい絵本があってもいいよね、という想いで、月ごとの絵本をご紹介していこうと思います。

3月。出会いと別れの季節。
人とのつながりを愛おしく感じたり、一緒に過ごした時間を振り返ったり、大切な人への想いを言葉にしたりすることの多い時期。
そんな季節の想いをしっくり表すテーマは何だろうかと考えて、「おてがみ」だな、と思い至りました。

想いを言葉にして相手に届ける。そういう、心のこもったお手紙の絵本をご紹介します。

まずは、大切な相手を思いやる気持ちのこもった「おてがみ」。

ふたりはともだち』 アーノルド・ローベル:作 三木卓:訳 文化出版局
がまくんとかえるくん、2匹のかえるの友情を描いた物語が5編入っているこの絵本。「おてがみ」はそのうちの1つです。お手紙が欲しいがまくんのために、心をこめて手紙を書くかえるくん。最後の場面が本当に暖かいですよね。
小学校の教科書にも載っています。私も授業でやったことを覚えています。余談ですけどね、「お手紙がなかなか届かない時のかえるくんの気持ちを考えてみよう」という設問に、「遅いなぁ。どうして、カタツムリに頼んじゃったんだろう。とかげにでも頼めばよかったなぁ」と書いたクラスメイトの答えを今でも覚えています。(あまりのセンスの良さに驚愕したんですよね。)

「お手紙がほしい」と思うのは、がまくんだけじゃないんです。そう言えば、子どもたちもみんな、「自分へのお手紙」が届くと喜びますね。

おてがみちょうだい』 新沢としひこ:作 保手浜孝:絵 童心社
自分でもお手紙が欲しいウサギくんのお話。みんなが幸せそうな顔をしているから・・・という気づきがいいですよね。そして、お手紙が欲しいんだったら、まず自分から書いてみよう、という言葉もすてきです。お手紙に限らず、誰かへの想いって、まず自分から始めることが大切だよなぁ、としみじみ思うのです。

勇気を出して、自分からお手紙を書いたら、どんな素敵なことが起こるのでしょう。

とん ことり』筒井頼子:作 林明子:絵 福音館書店
とん ことり、という音がとてもいいですよね。音までもが、緊張している。緊張しているのだけれど、新しい出会いを形にしようとする勇気とエネルギーも感じられます。
子どもたちにとって、初めて声をかける、誘ってみる、一緒に遊ぶ、って、きっとものすごくドキドキすることなんだと思うのです。そのドキドキを乗り越えた先に、出会えた喜びがありますよね。
林明子さんらしい「絵の中にある物語を楽しむ」要素もありますので、1枚1枚、たっぷりじっくり味わってくださいね。

そして最後は、お手紙の楽しさを改めて思い出す本。

てがみのえほん』堀内誠一:作 福音館書店
〈「こどものとも」が200号を迎えたお祝いに、世界中から12通の手紙が届きました。〉という設定の絵本です。
どのページも、遊び心といたずら心?が満載で、読んだら誰かに教えたくなる。「ねぇねぇ、このページの、これはさ・・・」「ここに、この登場人物もいるよ!」って、見つけたものを伝えたい気持ちがむくむく湧いてきます。とにかく、楽しい本。そして、手紙の楽しさ、さらには、絵本の楽しさを改めて感じる本です。

いかがでしたか。
絵本の中には、すてきな「おてがみ」の物語が一杯あります。
絵本を読んだら、たまには、メールやメッセージではなく、形として残る「おてがみ」を書いてみたらいかがしょうか。

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