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人生における名言はいくつもある

「つくって、あそぶ、という活動は、とてもいいと思っているんだ」

サークルの同級生は、そう言った。
つくるのが好きとか、あそぶのが好きとか、競うのが好きとか、子どもによって1人1人違う「好き」を大事にできるからね、と言葉を続けた。

トントン相撲大会は、とても盛り上がったらしい。紙で作るお相撲さんにこだわる人もいれば、どうやったら強くなるのかを研究する人もいる。ただただ箱をドンドン叩くのが楽しい人もいる。遊びの中に、色々な「好き」が詰まっている。

この時の同級生は、「1人1人違う好きを大事にする」という言葉を一般論として使ったのではなくて、その「1人」「1人」をはっきり思い描きながら話してくれたってことが、ひしひしと伝わってきた。一緒に活動をする子ども1人1人を本当に大切に思って、彼らの目線で向き合っているんだなぁってことが伝わってきた。想いの通った、本物の言葉だった。
だから、私は今でも、この言葉をとても印象的に覚えているんだと思う。

今でも「つくって あそぶ」という活動を準備している時には、この時の同級生の言葉を必ず思い出す。そして、私もやっぱり「つくって あそぶ」活動は、とてもいいと思う。

「子どもたちにとって道具は魔法だと思ってる」

人形劇を作る活動を、3年間一緒にやってきた同級生は、そう言った。
誰もやったことがないようなことを思いつく豊かな発想の持ち主で、その発想を実行する時には誰かに丸投げできる潔さも持ち合わせていた。彼の思いつきを形にするのは、私の役目だった気がする。

手作りの人形劇は、舞台装置も、人形も、大道具小道具も、全部自分たちで作る。彼の演出する劇には、いつもインパクトのある大きな道具が登場し、道具が出てくるたびに、子どもたちがわぁっと歓声をあげた。

人形劇の道具のことを言っていると思っていたら、彼は、こんな風に話を続けた。

女の子にとってもさ、アッコちゃんのコンパクトとか、そういう役割を持っているでしょ、まぁ、みえぞうくんは、これから、そういう魔法を作るんだろうけれど。

それは、玩具メーカーへの就職が決まった私への彼なりのエールだった。そして、魔法だった。おもちゃを考える時、手に取ってくれた子どもにとって、違う世界に誘う魔法の入り口になるんだなぁ、って、思えることは幸せだった。

「本物の人形劇を見せてくれてありがとうございました」

小学校での公演のあと、全校代表の子どもが挨拶してくれた言葉を聞いて、大人たちは微笑んだ。かわいい表現をするな、と言う風に。
彼はもしかしたら、「ナマの人形劇」というくらいのニュアンスで「本物の・・・」と言ったのかもいれない。ただ、その話を聴いながら、「本物の人形劇」であらねばいかんな、と、改めて思った。

本物の人形劇とは何か。人形にちゃんと命が吹き込まれていることかもしれないなぁ。子どもたちに観てもらう劇を演じる上で、演じる私たちが本気で向き合い、創り上げる、その過程と想いがホンモノなんじゃないのかな。

その時の決意は、今も変わらない。子どもに関わり続けているからこそ、子どもたちに「ホンモノ」を届け続けなくちゃいけない、私自身が本気で向き合わなくちゃ、って、思ってる。


人生における名言は、いくつもある。
誰かにもらった名言をぎゅっと抱きしめて、大切な拠りどころにしていたい。

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