翻訳エンジンの違いとは?
翻訳エンジンとは?
翻訳エンジンとは、各言語間の翻訳を自動的に行うシステムです。自動翻訳も様々な種類があり、各エンジンごとに特徴があります。
翻訳作業もビジネス文章、メール、論文、ニュースなど様々な分野があり、翻訳内容に合わせて翻訳エンジンを選択することで、より最適な翻訳結果を得ることが可能となります。
本記事では代表的な翻訳エンジン(DeepL、Google翻訳、Microsoft翻訳)についてご紹介させていただきます。
実際に翻訳結果を比較してみましたので、是非ご一読ください。
翻訳エンジンの違い
- DeepL
DeepLは、ドイツ企業のDeepL社が2017年から提供する機械翻訳システムです。
元々プロの翻訳者向けに提供されていたサービスだったため、その対訳データを基に学習しており、翻訳結果の流暢さと自然な表現が特徴です。
独自のニューラル機械翻訳を用いたその翻訳技術は、ブラインドテストによって世界最高レベルであることが示されたそうです。
その流暢性から、メールやニュースや論文などの翻訳に向いていますが、自然な翻訳結果のために訳抜けなどの見落としには気を付ける必要があります。
- Google翻訳
Google翻訳は、アメリカのGoogle社が2006年から提供している翻訳エンジンです。当初は統計的機械翻訳に基づいたシステムだったため翻訳精度には難がありましたが、2016年にニューラル機械翻訳を活用したことにより飛躍的に進化しました。無料で利用できることから多くのユーザーに親しまれています。
DeepLの翻訳結果と比較すると、口語表現が苦手な印象がありますが、契約書・利用規約・マニュアルなどの堅めの文章の翻訳に向いているといえます。
- Microsoft翻訳
Microsoft翻訳は、アメリカのMicrosoft社が提供する翻訳エンジンであり、ビジネス環境において広く使用されています。Microsoft Office製品などのユーザーマニュアルで使われている文章を利用し、翻訳精度を向上させているようです。また、マニュアルで使用されるようなIT系の文章を基に学習しているため、IT系の文章の翻訳に強いようです。
3つの翻訳エンジンの違いまとめ
●DeepL
自然な翻訳結果が出るので、ニュース、論文、メールなどに向いている。
●Google翻訳
マニュアル・契約書・利用規約などの堅い文章の翻訳に向いている。
●Microsoft翻訳
IT系の文章の翻訳に向いている。
実際に翻訳をしてみました
元Apple社の最高経営責任者のスティーブ・ジョブズ氏が2005年にスタンフォード大学の卒業式で行った有名なスピーチを翻訳して、それぞれのエンジンの結果を比較してみたいと思います。
DeepL・・・自然な表現だけど訳抜けが…。
DeepLでは「毎朝鏡を見ては」という表現が、そのほかのエンジンの「鏡を見て」と比べると、毎日鏡を見て自分に問いかけるというニュアンスをつかんでいる印象です。
全体的に自然な表現ですが、“It made an impression on me”「(その言葉が私を)感動させた」という部分の訳が抜けていることが分かります。
Google翻訳・・・ぎこちなく、符号が正しく使われず。
Google翻訳は全体的に文章がぎこちない印象です。また “If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?”「もし今日が人生最後の日だったら、今日やろうとしていることは本当にやりたいことなのだろうか」という部分が訳しきれておらず、今日はする?」と訳出されていました。鍵括弧が正しく使われていませんでした。
Microsoft翻訳・・・訳抜けは無いものの、不自然な日本語。
Microsoft翻訳も全体的に不自然な日本語です。「いつか必ず正しい」という訳文はその他二つの「いつか必ずその通りになる」という結果と比べると日本語として意味を読み取るのが難しいですね。訳抜けは無さそうですが、直訳しているようなぎこちなさを感じます。
最後にジョブズ氏のあの有名なフレーズも翻訳してみました。
DeepLが一番自然ですね。
Google翻訳では一文にまとめられており、口語のスピーチというよりかは文語の表現と判断されたようです。”hungry”を「渇望する」と訳すのはこの場合では硬すぎる表現ですね。
Microsoft翻訳は、 “hungry”を直訳してしまっていますね。日本語でも「ハングリー精神」といった表現も耳にしますので、この場合 “hungry”は「ハングリー」とカタカナで表現するほうが自然ではないでしょうか。
先ほどは英語から日本語への翻訳でしたが、日本語から英語への翻訳もしてみました。
こちらは3つともstayの代わりに“be”が使われています。フレーズ単体の翻訳なのでさすがに“stay”のニュアンスが掴めていませんが「愚か」に対応する英語が“foolish”と“stupid”で異なる単語が使用されました。
このシチュエーションでは“stupid”(人の性質を指すイメージ)という単語を当ててしまうと “foolish”(人の行動を指すイメージ)の表現する「あえて愚かでいる」というポジティブな意味での「愚かさ」の意味が台無しになってしまうような気がします。
ここでもやはりDeepLが口語表現の翻訳に優れていることが少し実感いただけたのではないかと思います。
まとめ
3つのエンジンでスティーブ・ジョブズ氏のスピーチを翻訳したところ、自然な表現かつ、原文のニュアンスを拾えていたのはDeepLだったかなと感じました。
ただし、原文の翻訳抜けも見られたため、自然な表現に目が行ってしまい、本来必要な情報が抜けていないかはしっかり原文と見比べて確認する必要がありそうです。
Microsoft翻訳は、直訳に近いような翻訳結果が印象的でしたが、今回は訳抜けが見られなかったので、訳抜けのリスクを極力減らしたい場合などはお勧めかもしれません。
Google翻訳についても、ややぎこちなさのある翻訳結果でしたが、堅い表現の訳出をする傾向があるため、ビジネス文章やマニュアルの翻訳には向いていそうです。
今回はスピーチの文章の一部を用いての翻訳だったので、翻訳する文章の種類によって結果は変動いたします。あくまでも参考としてご覧いただければ幸いです。
各翻訳エンジンを体験してみたい場合は?
以上が翻訳エンジンごとの違いの紹介でした。
各エンジン、違いがあるのは何となく実感できたかと思いますが、実際にサクサクと各エンジンを切り替えて、翻訳結果を比較しながら利用してみたいなと思った方へお知らせです!
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