Mieko Shimizu

作曲家、プロデューサー、ボーカリスト。静岡県出身。ロンドン在住36年。英国長すぎて「あ…

Mieko Shimizu

作曲家、プロデューサー、ボーカリスト。静岡県出身。ロンドン在住36年。英国長すぎて「あんた誰」状態。周りを顧みず、昭和のギャグ出し過ぎ。

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異邦人一家、弥次喜多旅行 その6 京都 終点と出発

12月29日、昼過ぎに京都駅に到着。実は機嫌の悪い私。ロンドンを発つ前から金沢駅で駅弁購入を楽しみにしていた私だったが、何とその期待がギリギリのところで叶わなかったのだ。夫がまたやらかした。さあ、弁当買うべと体が売店方向に向くなり、「あああああ!ホテルに帽子忘れた!」これは珍しい事ではないのである意味慣れている。おそらくADHDが原因となる忘れ物常習犯の彼へのムカつきは年を重ねるごと減少してきた。年々大人になる私、とか思ってたけど、私の弁当はどーしてくれんだよ!!!どうでも良

    • 異邦人一家、弥次喜多旅行 その5 金沢

      12月27日。ついにやって来ました、金沢!金沢と言えば「キョン!!!」なわけないよな。要するに下調べなしで金沢到着。 2泊予定の宿泊先は金沢城公園や兼六園に徒歩で5、6分のところにある大正ロマン漂うホテル。あれこれうるさい兄貴大絶賛のホテルだったので、咳のシロップを飲み込むように彼の言葉をそのまま飲み込んで、何も調べず予約したけれど、成程、格式高いパターンだったのね。ステンドグラスの窓があるハイカラな高級ホテルでしかも温泉がついてるって、、、やっぱり日本、素晴らしいね。日本

      • 異邦人一家、弥次喜多旅行 その4 中津川、馬籠宿

        12月26日。名古屋経由で中津川駅に到着。出身地の島田の駅を彷彿させる地味な駅で、一瞬降りる場所を間違えたかと思い引き返しそうになった。目的の馬籠宿まであと少し。過去2年、穴が開く程Youtubeで見まくった中山道。とうとう古代の路に漂うロマンをシャワーのように浴びるためここまで来た。家族を連れて。 まず、ずるをして中津川駅からタクシーを拾う。これから中山道を3時間以上歩くつもりの私は、ウキウキと運転手さんに「馬籠宿お願いします。」と告げる。「もしかして、これから歩くんです

        • 異邦人一家、弥次喜多旅行 その3 牧之原大地

          12月23日。夕方5時。掛川駅で新幹線を降りると、湯たんぽのように暖かく迎えてくれる懐かしい夫婦。まっさんとすずみさん。笑顔に温泉の湯気のようなオーラがかかってる。彼らは、私を赤ちゃんの頃から世話をしてくれた老夫婦の長男夫婦。おじいちゃんとおばあちゃんはもう随分前に他界した。でもまっさんとすずみさんは、おじいちゃんとおばあちゃんの愛情を受け継いで、私の帰郷する家族でいてくれる。 彼らの車で牧之原に向かう。夜なので茶畑は見えない。見えなくても私の目にはお茶畑が映っている。とめ

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          異邦人一家、弥次喜多旅行 その2 横須賀ー三浦ー墓参り

          12月21日。夜7時に久里浜の焼肉店で兄の忘年会に合流する予定。その前に私たち家族は横須賀のデパートで時間を潰した。横須賀を選んだのは川崎方面で働く古い友人と落ち合うためだった。 せっかく友人と落ち合ってみたものの家族が一緒だと言語バリアが発生してゆっくり話はできない。かといって外は寒いし暗いしで、行動範囲がぐんと狭まり、お茶した後はデパートでの無目的ショッピングという頽廃的行為を避ける事ができず、私はガチャンコでプラスティックのイカの刺身、娘はネールバーニッシュ、そして風

          異邦人一家、弥次喜多旅行 その2 横須賀ー三浦ー墓参り

          異邦人一家、弥次喜多旅行 その1 横浜ー鎌倉ー東北

           12月、父も母もいない日本に帰った。私と夫、そしてボーイフレンド抜きの22歳になる娘。ボーイフレンドはクリスマスという事で、彼の母親に忠誠を尽くすため自国のアメリカに帰って行った、ふっふっふ。久しぶりに家族3人で日本を周遊しようという事になり、旅行が苦手な私だが、珍しくツアーガイドの役割を一手に引き受けた。そして、まるで曲を書くように、空間から空間への移動、訪れる場所に起こりうる一節一節の気持ちなどを予想し、丹念に美しい旅程を作り上げた。心の自由を保つため、何も決めない空白

          異邦人一家、弥次喜多旅行 その1 横浜ー鎌倉ー東北

          アキちゃん

          13年住み慣れたブリクストンからソーホーに引っ越して20年経った。ソーホーは十六世紀の初期に国王らが狩猟に使っていた土地で、狩猟の際に"Soho!"という言葉を掛け声に使っていたのが地名の由来となっているのだと、ソーホースクエアに診察室を構えるオーストラリア人のかかりつけ医が教えてくれた。 ソーホーには17世紀に建てられた建物から、フランシス ・ベーコンやルシアン・フロイドのような芸術家たちがたむろしていたプライベートクラブ、ストーンズやビートルズがレコーディングをしていた

          アキちゃん

          都会の鳩

          毎年うちの裏にある畳一畳半ほどのヤードに鳩のカップルがやってきて、散々いちゃついてから卵を二つ産む。必ず二つだ。ここには私以外は殆ど誰も足を踏み入れないので鳩のカップルにとっては最高の秘所だ。安心して雛を育てる事ができる。人間で言えばちょうど1LKのマンションに住むって感じだろうか。鳩の雛はお世辞にも可愛いとは言えない。はっきり言ってかなり醜い。ゴツゴツとした骨っぽい身体にボロボロに生えかかった羽が生えて壊れた笛みたいなクチバシでピーピーと鳴く。動物好きの人たちでさえその姿を

          アキラ

          私の父の名前はアキラ。そういうと、イギリス人やヨーロッパ人は「かっこいい。」と言う。アニメのアキラの事がすぐに浮かぶからだ。父の名は昭和の昭と書いてアキラと読む。明治生まれの祖父が選んだ名前だが、結構洒落てると私も思う。昭夫とか昭彦とかじゃなくてアキラ。お爺さんは静岡で材木屋を築いた人で、芸者遊びの最中、三味線が下手だと芸者の三味線を折ってしまうような短気な人だったらしい。すごく怖かったと父が言っていた。私は会った事がない。随分酒とタバコを飲んだ人であまり長生きしなかったらし

          ロックダウン 2 - ネズミ

          ネズミが走る。ネズミが走る。どこまでも走る。あっ。振り返った。私の事を見た。「なんでビデオなんか撮ってんだよ。馬鹿やろー。」ネズミは絶対にそう思った。そういう目をしていた。真昼間のセントラルロンドンの大通りの歩道をネズミが走ってるのはまず見たことがないからビデオを撮ってみようと思った。腰骨が突き出ていて痩せ細っていた。ロックダウンであさるゴミがなくてきっと他のネズミとの争いに負けて外に出て来たのだろう。あっまた走る走る。そしてふと誰かのフラットのドアの前で止まった。入りたそう

          ロックダウン 2 - ネズミ

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          Snake of summer

          アルバム『I bloom』より。 Stream Link :https://miekoshimizu.lnk.to/SnakeOfSu... Directed by Paul Black Produced by Peter Morris - Street Furniture Records Shot and cut by Paul Black Location: Richmond Park

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          ロックダウン1 ー ロンドン、ロックダウン

          ロンドンがロックダウンになる噂はあちこちから聞いていた。マーケットで働く人たちが、ロンドンに車で入る前に軍隊がロンドンに向かってるとか言っていた。「ほんとかな。」様子見に犬を連れて、グリーンパークまで歩いていたら、昔、マーケットで野菜を売っていたノーマンに公園入り口でばったり会った。彼は色々あってマーケットから追い出され、結局、市の清掃係の仕事を得て幸せになった。それはともかく彼が市からロックダウン後に市内で清掃作業をしても良いと書かれた許可書を見せてくれた。「明日からロック

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