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81歳の母へ旧友が会いにきた

先日、母の古い友人が遊びに来た。

Fさんは母の一歳年上で、私と同い年の子供がいる、いわゆるママ友だった人。

数十年前に一家で県外へ引っ越したあとも、年に数回の電話や手紙で交流が続いている。

そのFさんから電話があり、息子さんと一緒に母に会いに来てくれると言う。

久しぶりに旧友に会うことになった母は、ウキウキしていた。
Fさんを家に泊めてあげると言う。

布団を並べてガールズトークでもするつもりなのか。
何年かぶりの再会なのだから、多少の夜更かしも悪くないだろう。

2階の押し入れからお客さん用の布団や毛布、枕を出して、母が寝起きしている1階の和室へ運んだ。
Fさん用のバスタオル、フェイスタオルを洗濯した。
新米も買ってきた。
おかず用の少しの野菜、くだもの、お茶菓子も用意した。

金曜日の昼過ぎ、仕事の休みが取れた息子さんが運転する車で数時間かけて、Fさんはやって来た。

お茶を飲みながらしばらく3人で話したあと、家から20分ほどの場所にある、地元菓子メーカーの工場施設へ遊びに行った。

夕飯は家の近くの中華料理レストランですませ、Fさんと息子さんは予約してあったホテルに宿泊した。

次の日の午前中、母とFさん、息子さんは家から30分ほどの場所にある、立派な庭が有名なお寺を拝観した。
お寺好きのFさんは喜んでいたそうだ。

そのあと、Fさんと息子さんは母を家に送り届けてくれ、そのまま帰って行った。


そう、結果としてFさんはホテルに一泊しただけで、母の家で食事をとることも、お風呂に入ることも、寝ることもなかった。

私 「Fさん、泊まらなかったの?」
母 「うーん、息子さんと一緒だったからねぇ。ホテルに泊まったんだよ。」

Fさんともっと沢山おしゃべりをしたかったのだろう。
少しさみしそうに答える母が、いつもより小さく見えて、私は胸がぎゅーってなった。

おそらく、Fさんはホテルに泊まることをあらかじめ電話で母に伝えていたと思われる。

ダイニングテーブルの上のメモには、母の字で、『Fさん、◯〜◯日、ホテル』 としっかり書かれているのを私は知っていた。

脚が弱っているFさんは、外を歩くときには杖を使用していたらしい。
もし母の家の中で転んだりしたら迷惑をかけると思ったのかもしれない。

それでも、もしかしたら家に泊まってくれるのではないか、と母は期待したのか。
記憶能力に問題があってそう思い込んでいただけなのか、分からない。

それ以上はあえて母に問うことはせず、使われなかった布団を元の場所へしまった。

今、母はFさんからお土産でいただいたお漬け物を、毎食時に美味しく食べている。

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めい@アラカン女子
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