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配管のコーティングがはがれて穴があいた老朽原発!関電美浜3号と原電敦賀2号


美浜3号では1年もたたずにコーティングがはがれた

上↑の日経の記事を読むと関電美浜3号機で配管に穴がふたつ空いているのが見つかった原因は「直近の2023年10月の定期検査でもライニングの剥離を確認したため、全面をエポキシ樹脂のライニングでコーティングした」とあります。このコーティングがはがれたようです。

たった10ヶ月と10日で?!

関電の10月29日発表の資料「美浜発電所3号機 1次系冷却水クーラ海水系統戻り母管の調査状況 」*1を読むと「2023年11月23日以降、系統切替による約 1ヶ月の停止を除き、2024年10月4日まで通水していた」とあります。たった10ヶ月と10日、しかもそのうち一か月は停止していたのに、コーティングがはがれたのです。定検と定検の間隔は原則1年、最大13ヶ月となっています。その間も安全を維持できなかった!というわけです。

コーティングの素材を変えた

同じ10月29日発表の関電資料では「第14回定期検査(1995年2月) において、T字管を含む 1次系冷却水クーラの海水系統の大部分をポリエチレンライニン グが施工された配管に取り替え」たとあります。ポリエチレンライニングだった配管をエポキシ樹脂でコーティングしたら1年経たずにはがれたということ。こんな「補修」をした関電も、認めた規制委員会もひどいと思います。

敦賀2号では保護皮膜材料の注入量時間を減らした

13年以上停止中で、規制委員会の審査不合格の敦賀2号でもやはり伝熱管に穴があいているのが見つかりました。
こちらも保護被膜がはがれたようですが、原因は「保護皮膜材料の注入時間を通常の半分に減らしていたこと」と以下↓の記事にあります。しかも理由は皮膜材料の供給が足りなくなると言われたからと。足りないからって注入時間を半分にして、そのために皮膜が形成できずに配管に穴が空いたのです。これをやった日本原電も、これを認めた規制委員会もひどい!!です。

流れに乱れが発生することを考慮しなかった

日本原電の11月1日発表の資料「敦賀発電所2号機 B原子炉補機冷却水冷却器の点検について(原因・対策)」*4 から以下引用します。
=漏えいが発生したB冷却器の伝熱管32本を工場で調査した結果、伝熱管内表面の保護被膜 が剥離し、エロージョン・コロージョンにより減肉し貫通していることを確認しました。伝熱管内表面には、海水による腐食防止のため、硫酸第一鉄を海水に注入し保護被膜を形 成しており、この注入量や海水通水期間について調査した結果、
・硫酸第一鉄の在庫確保が困難となったことにより、事前評価のうえで注入量を減らした運用期間があったこと
・B冷却器を待機とするため伝熱管内の水を抜き、自然乾燥保管していた期間があったこと
を確認しました。
漏えい原因は、自然乾燥の影響で保護被膜にめくれが発生し、めくれた箇所が再通水時に剥離することで流れの乱れが発生することを考慮していなかったこと、また、硫酸第一鉄の注入 量を減らした運用としたことにより、保護被膜の形成が間に合わず、減肉が発生、進展したた めと推定しました=
つまりは、保護皮膜を作る材料の注入時間を減らしたせいで膜がうまくできなかった。それによりめくれたところが原因で、流れに乱れができて減肉が起きて、穴が空いたのですが、こういうことを事前に想定してなかったということです。

原発が停止している間も腐食は進んでいる

敦賀2号はずっと止まっていますが、原子炉は長期停止していても、使用済核燃料の冷却のために動かさないといけない部分があり、その配管が腐食したのです。
美浜3号の場合は、説明資料によると当該部分は「2023年11月23日以降、系統切替による約 1ヶ月の停止を除き、2024年10月4日まで通水していた」とあります。美浜3号の原子炉そのものは2024年1月20日に送電を開始、2月14日に営業運転を開始していますが、原子炉の運転に関係なく動いていたことになります。

停止期間を除外する原発の長期運転は認められない

規制委員会の審査や裁判所の命令、行政指導などで停止した期間を原発の運転期間から除外することで延ばす、たとえば除外期間が10年間なら、運転開始から70年まで動かせるという法改正が昨年5月に成立しました。でもここまでみてきたように、原子炉停止中も原発には動かさないといけないところがあり、そこの配管などの腐食は進んでいます。また原子炉が長期停止中に、鉄錆がたくさんたまり、それが悪さして細管の外側からの腐食が起き、丸ごと交換するしかなくなった高浜3、4号の蒸気発生器の事例もあります。原子炉の停止期間を除外した原発の長期運転は認めるべきではありません!

敦賀2号は73年以上も動かせることに

敦賀2号は、今年8月に規制委員会が審査に不合格の決定を下したにもかかわらず、廃炉にはせず、改めて審査の申請をする意向を社長が示しています。
13年以上停止しているので、73年間も敦賀2号を動かすことができます。改めて申請し、審査を開始して、また何年もかけて審査して、もし合格して動かすことができるようになったら、その停止期間をさらにプラスして稼働できることになってしまいます。とんでもないことです。

福島原発事故を忘れたのか💢

原子力ムラの人たちは、おんぼろ原発を延命させることで、少しでも原発のコストを安くしようとしています。でも大事故が起きたら終わりです。福島原発事故のことはもう忘れたのでしょうか?たった3gの燃料デブリ取り出しに大騒ぎの試行錯誤を繰り返しているのに。安全軽視、コスト優先の原発延命はぜったいに許されることではありません!

脱原発しかない!!

*1 「美浜発電所3号機 1次系冷却水クーラ海水系統戻り母管の調査状況 」

https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2024/pdf/20241029_1j.pdf

こんなに損傷しています↓ ぼろぼろです。
当該箇所は「減肉してない」と報告書にあるけれど、一番下の左の図をみると、当該箇所以外は大部分減肉していることがわかります。
美浜3号の2次系配管の減肉というと、2004年8月9日、20年前に発生した11人死傷の美浜3号事故を思い出します。「安全最優先の誓い」をしたはずの関電なのですが。

美浜3号の損傷した配管の調査状況(タイトル画像は一部拡大したもの)

*2 2004年の美浜発電所3号機事故についてhttps://www.kepco.co.jp/energy_supply/energy/nuclear_power/m3jiko/about.html 
2004年の美浜3号事故のことは以下のnoteにも書きました。

*3 ↑のnoteにも書きましたが、原発ムラの人たちは、定検の間隔を現在の最大13ヶ月から15ヶ月にしようとしています。
原発の定期検査間隔延長の試みhttps://www2.nra.go.jp/data/000428021.pdf

また原発を運転している間に原発を点検して補修することもできるようにしたいと思っています。
運転中保全(OLM)
https://www.nra.go.jp/data/000453528.pdf

ATENA(原子力エネルギー協議会)が画策しています。とても危険な動きです。

*4 「敦賀発電所2号機 B原子炉補機冷却水冷却器の点検について(原因・対策)」
https://www.japc.co.jp/tsuruga/news/2024/pdf/241101.pdf

敦賀発電所2号機 B原子炉補機冷却水冷却器の点検について(原因・対策)

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