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関西電力高浜原発の2023年度の作業員の被ばく量、最大は13.2mSv!
老朽原発再稼働で下請け作業員の被ばく量が増えている?!
高浜原発で最大13.2mSvの被ばく
2024年5月に発表された2023年度の全国の原子力施設の放射線被ばく量をまとめたものが、10月1日発行の「原子力資料情報室通信」No.604 https://cnic.jp/51781 に載っていました。
これを見ると、関電の高浜原発で最大13.2mSvの被ばくがあったと報告されていました。
福島第一原発の燃料デブリ取り出し時の被ばく労働の限度は12mSv/年とされており、それを超える被ばくをした作業員がいたことになります。
ちなみに福島第一原発の作業員の23年度の最大被ばく量は17mSvでした。この情報室通信の元になるデータは以下↓のところにあります。(P7 タイトル画像)
5mSv超え下請け作業員75人
また、高浜原発の被ばくした作業員合計4135人のうち、5mSv以上10mSv未満が62人、10mSv以上15mSv未満が13人、合計75人が5mSv以上の被ばくをしています。(すべて下請け)これもかなり異常な数字です。前出の情報室通信によれば、23年度、福島第一原発以外で、5mSv以上被ばくした作業員は大飯原発3人、川内原発ふたり、女川、伊方、玄海がそれぞれひとりだけ(すべて下請け)、10mSv以上はゼロでした。
24年1月22日 高浜1号蒸気漏れ
高浜原発で何が起きていたのでしょうか。
運転開始から49年の高浜1号が24年1月に蒸気漏れを起こしました。この時関電は高浜原発の運転を停止せず、出力を40%に落とした状態で、故障箇所や原因を特定し、蒸気漏れを起こした配管を交換しました。その後出力を100%に戻し、運転を継続していました。この際に大量被ばくをした可能性が高いと思われます。原発を動かしながらの調査、修理はやめるべきです。
高浜3、4号の蒸気発生器で伝熱管損傷
高浜3号の第26回定検(23年9月から24年1月)では、蒸気発生器の伝熱管2本に損傷が見つかり、施栓しています。
高浜4号の第25回定検(23年12月から24年4月)でも蒸気発生器の伝熱管4本に損傷が見つかり、施栓しました。
高浜3.4号の蒸気発生器は関電の中で最古のもので、施栓した伝熱間の数も多くなり、検査に時間がかかり、効率が悪いので交換を予定しています。点検期間が長くなっているので、作業員の被ばく量も増えていると思われます。
高浜3号は対応区分を引き下げられていた
高浜3号は22年7月から23年6月までの1年間で4件の「運転上の制限の逸脱」があり、対応区分を引き下げされてていました。(23年8月23日第27回規制委員会「重大事故等対処設備の運転上の制限からの逸脱件数が累計4件あった」という理由で対応区分の一段階引き下げを承認)規制委員会は関電に対して、直接原因及び根本的な原因の特定、安全文化要素の 劣化兆候の特定、並びにそれらを踏まえた改善措置活動の計画の報告を求めていました。
以下↓が関電の運転上の制限に関する情報を集めたHPです。
このことが作業員の被ばく量の増加に繋がっているのかどうかは不明ですが、老朽原発の再稼働によりトラブルが頻発していることがわかります。
高浜1、2号再稼働
日本最古の高浜1号が12年半の長期停止期間を経て、23年7月末に起動、8月から本格運転を開始しました。また高浜2号も9月に起動し、10月から本格運転を開始しました。老朽2基の長期停止後の再稼働時に、被ばくが増えた可能性もあります。
下請け作業員の被ばくがないと動かせない原発
今回衆議院選挙で国民民主党が大きく議席数を伸ばし、玉木代表が石破首相に原発の新増設を直談判したと報じられました。(*1)原子力産業も勢いづいているようです。(*2)
国民民主党はなぜ自民党以上に原発推進なのか、それは電力総連(全国電力関連産業労働組合総連合)の支持を受けているからです。竹詰仁(関東電力総連)、浜野喜史(関西電力総連)二人の国民民主党の参議院議員がいます。
前出の放射線管理等報告書(タイトル画像)をみると、23年度の高浜原発の作業員の被ばく量合計は社員が0.05人・Sv、下請けは1.84人・Svで、実に社員の36.8倍の被ばくを下請け作業員がしています。こんな状況を知りながら、また福島原発事故があっても、放射性廃棄物問題や核燃料サイクルの破綻にも目をつむって、原発を推進する電力総連の姿勢は労働組合として問題だと思います。
原発は差別で成り立っています。弱い者に被ばく労働を強いる原発は止める!!べきです。
脱原発しかない!!
*1
*2
上↑の日経ビジネスの記事より引用
==躍進しキャスチングボートを握ろうとしている国民民主党は、原子力政策で再稼働やその先の新増設を推進する立場をとっており、与党以上に前のめりだ。日本維新の会も推進する立場をとっており、原子力を推進する勢力が衆院で過半数となる公算が大きい。
泉沢社長は原子力事業の新卒・キャリア採用を強化する方針も明かした。現在、グループ全体で約4400人いるが、手始めに26年度までに三菱重工本体の人員を1割増員する。ただ、堅調な業績の一方で泉沢社長は「技術伝承を強化する取り組みを数年前からしているが、中間層、キャリア採用のメンバーが思ったより集まらない」との懸念も口にした==
*3 ランチタイムの女たち(毎月26日のランチタイムに関電前に集まる女たちと 日本消費者連盟関西グループ)で、この最大13.2mSvの被ばくについて、何があったのか等関電に質問しました。しかし、関電広報は「この数字がどこから出てきたかわからない」といってきて、回答をもらえませんでした。年に1回、原発の作業員の被ばく量を国に報告していることも知らないのかといささかショックを受けました。規制委員会のデータを示して再質問しました。ちゃんとした回答がくれば、報告します。