詩: 火星への手紙
ハロー、ハロー。
おたよりありがとうございました。
地球は、いい天気です。春になりました。
火星には季節がありますか?
あ、地球にも、季節のないところがありました。一年じゅう夏とか。天気も、場所によってちがいます。でもとりあえず、私のいるところは、晴れていて、春です。
おたより、とてもおもしろく読みました。
「犬」は四足歩行です!でも、私たちとは違います。毛がいっぱい生えていて、舌が出ています。とっても可愛いですよ(写真も同封します)。
火星では四足歩行が流行っているのですね。手はどうするのですか?靴をはくのでしょうか?
犬のように私たちと一緒に住む動物のことを「ペット」といいます。火星には、ペットはいますか?
鉄砂のビネツ、大変ですね。
こちらは、花粉症が流行っています。春は、木々の花が開く季節なんです。建物の中でも、咳とくしゃみと鼻水が止まりません。四六時中マスクをしなければいけないので、けっこう大変です。
面白いことに、私たちのほうは鉄釘を舐めるように言われているんですよ。おばあちゃんの頃にはニクやサカナを食べていたのですが、今は食べなくなりました。だから、足りない鉄分を補わないといけないんです。火星の風と、私たちの海を、少し交換したらいいのかもしれません。
映画館とはとてもクラシックですね。地球では、もう動画配信しかありません。古い映画を見たい時だけ、DVDを取り寄せます。この間ハヤオ・ミヤザキの「借りぐらしのアリエッティ」を見ました。私たちの現在の暮らしともだいぶ違っていて、面白いです。
地球で作られた映画は、まだ宇宙に出すことが禁止されています。作り話と、本当の地球がごっちゃになるといけないからだそうです。そんなこと言われたら、気になりますよね?
ご質問いただいた件、パンはふわふわ・パリパリ、ごはんはもちもち・あつあつです。どうしてふわふわとパリパリが両立するのか不思議でしょ。物質転送ができるようになったら、パンとごはんとDVDを送ります。犬はちょっと心配なので、定期飛行便のチケットが当たったら、一緒に連れていきますね。
この手紙を、うまく20-y-21,0-m-2より少し先の未来に投げこめるか、少し不安です。もし前の手紙を読む前のあなたに届いてしまったら、ダイヤルを回して、先に前の手紙を読んでください。
p.s おばあちゃんに会ったら、よろしく伝えてください。おばあちゃんは20年前の定期飛行便で火星に向かいました。おばあちゃんの時代にはなぜ火星が砂漠に見えたのか、教えてあげてください。
20Q0年3月5日
お読みいただき、どうもありがとうございました!それだけで十分に嬉しいです。 もしもサポートをいただいたときは、ほかの方の詩集に、そして私が詩を書いている日々のノート(440円)に使わせていただきます♪