アナグラム詩: 愛した果てに/君はもういない(+アナグラム歌会中継④)
愛した果てに
君はもういない
(7リフレイン)
這う肝
吐きにきた
芋でも抱いて逝きたい
痛みはもうない
「愛してた」
──意味は、「愛してない」
「愛して」「愛した」
──意味は、もうない
名は、破棄。
愛は、海に、
死は、灰に。
愛は、死に似て──否。
君は、果てない。
もう
いない君に、
あたしに
も、
這う海。
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今回は、さりとてさんの投稿作品「君はもういない」と、まつおさんの投稿作品「愛した果てに」にインスピレーションをいただきました。長くなるので、末尾で語らせてください。
それでは【やすこ納言 部門】のご紹介!
言葉の箱庭さん、廻→月→重から恋歌の連作だったと判明。ぜひ通して読みたい!
はっくーさんからは、新しいテイストの2作品。三等星を詩に選ぶセンスに唸る。
なおみさんから、幸せがキラキラと舞い降りるような、恋の歌をいただきました。
青天さんは、手話フランス映画をモチーフに。泣ける動画も一緒にご覧ください。
あきやまやすこさんは2作品、「ゐ」と「ゑ」も入れた48文字でやすこは見た!
kesun4さんから、やっと出来たぁ!本当に待ってました。さすがの世界観です。
【みえる式部 部門】
つるさんは、きみまるこさんからバトンをつないだ、優しい1行詩アナグラム。
Shihoさんから、めっちゃ可愛い傑作が届きました。まず、このお題がすごい!
はっくーさんは、清冽な空の情景を。上の2作品とあわせてお楽しみください!
穂音さんから、お犬シリーズ番外編。お犬の口上と、田園の香りに癒されます。
【ぼーろ中将 部門】
今回も、素晴らしいコラボレーションが発生!
あきやまやすこさんの「野さい児」のインスピレーションの源となったゆうのうえんさんが、今度はやすこさんの作品の面白さを見事に紐解いてくださいました。
ゆうのうえんさんのエネルギーはさらに「アナグラムトートバッグ」に結晶!これが可愛い。「インスピレーション循環型社会」の未来を見ることができました!!
本日の大トリは……数理落語家 自然対数乃亭吟遊さん。すごいのが出ましたよ。本物の「アナグラム落語」!!こんなに見事な小咄が聞けて感謝です!!
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今日で歌会期間が後半に入りますが、なんとなく100本に到達できたらすごいなーと思っております。まだの方も、すでに投稿された方も、よろしくお願いします♪
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冒頭のアナグラム詩は、さりとてさんの投稿作品「君はもういない」と、まつおさんの投稿作品「愛した果てに」からお題とインスピレーションを受けています。
さりとてさんのこの詩は、前々回「現代詩らしい」とご紹介しましたが、アナグラムっぽくないのです。あとからこの作品の稀有さをじわじわと感じました。アナグラムは歌っぽいリズムに引っ張られてしまうことが多いのですが、さりとてさんはご自身の詩の呼吸に合わせてアナグラムを引き寄せています。「いいな」や「もう」で息を止められる自由さ。上の作品では、さりとてさんのタメや止めを意識してみました。本家のように自在ではありませんが。。。
まつおさんの作品も面白いです。撞着語法と呼べるような「舟+地」「炎+凍る」といった、正反対の要素が次々に繰り出され、愛の激しさと行く先の困難を暗示しています。この作品は、46音を2回使ったアナグラムでびっくりしたのですが、「2回」なのが興味深い。イメージが「対」になのと同じように、46音もすでに「対」になっているわけです。陰陽のらせんを描いて絡み合う二匹の蛇のような二人の姿が、内容からも形式からも浮かんできます。
愛をテーマにしたお二人の作品。さりとてさんの喪失の情景から、まつおさんの輪廻を経めぐる情景を、ひとつの作品としてつないでみました。わかりにくいですが、形ある「君」と「あたし」が今世で別れるとしても、二人は愛の海に溺れて死によってすら引き離すことはできない、そんなイメージで描いています。
這う肝を吐く、なんて、絶対自分の作品では書けなかったです。笑
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以上、アナグラム歌会の中継は、1日おきに投稿する予定です。
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