詩: Whole Life


毎週土曜日は病人になる
なんていい思いつきなんだろう
いつまでもこの感覚を忘れないように
毎週土曜日は手をとめて
ぼんやり窓辺に座っていよう
何の役にも立たないものを
ゆっくりなでてみよう

また仕事を始めても
こんなふうに本を読んだり
詩を書いたりできるのかなぁ
それが心配です
神様 せっかく取り戻した
なつかしい暮らしを また
手放さなければならないのですか?

週に一日では足りない、と思う
一日に一時間では足りない、と思う
いつまでも満足できない心を
なだめる方がよいのでしょうか
完全なわたしの暮らしを送りたいのに
神様 わたし病人でもいい
このままでいたい


  そんなふうに書いた詩を
  去年のおわりに書きとめていた
  約束どおり
  きょう土曜日は手をとめて
  ぼんやり窓辺に座っている
  タイムカプセルみたいな願いごとを
  ゆっくりなでてみよう

  病人になれなくても
  大丈夫 そのまま
  完全なわたしの暮らしを送ればいい
  こんなふうに本を読んだり
  詩を書きたいなら
  何の役にも立たないわたしを
  取り戻そう いつでも

  売り渡してしまった
  詩のこころを
  365日のからだに吹き込んで
  不可能だと思っていた
  完全なわたしの暮らしのなかに
  仕事や家事を招く
  毎週土曜日だけといわずに



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みえる
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