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詩: たどりつけない


脳内言語が汚染されて
《標記の件、進行管理、今後の見通し、当初計画との関係、メリット/デメリット、関係法令、懸念事項、フィージビリティ、戦略、効率的運用、観点、基準に照らし、至急ご回答、問題あれば、気づきの点あれば、ご参考として、》
目の前でさらに増殖する
5,000通の未読メール
いつまでも
澄み切った泉のような精神に
たどりつけない
心にくさびの跡を残す
絡まったコウモリの群れのように
わたしの脳内言語を
奪いつづける

1通1通、蛾のように潰しながら
ふと顔を上げると
どこかの秋の日
窓辺に置かれた本があり
緋色の表紙に、西陽が当たっている
という
知らない土地への切符のように
ふいに入り込んでくる
手紙
のようなイメージ
それがわたしを
どこへも連れて行かないと
知っているから
頭の中で止めて 破る




*****
詩の言葉がぜんぜん出てこない、というのがしばらく続きました。そのなかで書いていた詩。ここからやっと抜けられそうです。

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みえる
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