臆病者の作りし怪奇児童文学
最近、わたしの仲良くしている学校図書館司書仲間の間で、異様に盛り上がった作家、大海赫(おおうみ あかし)。
1966年にデビューして、1970年代以降、多数の児童書を刊行された大海氏です。当時の子どもたちの中には、強烈な影響を受けてずっと復刊を待っていた人もいます。
さらに、毎年、氏を囲む会も催されているとのこと。いい歳のとり方だと思います。Twitterもやられてます。
今回ご紹介するのは、裏表紙の絵(下の絵)が悪夢のような(いいところにバーコード貼られちゃってます…)、
『メキメキえんぴつ』
(1976年に刊行され2004年にブッキングより復刊)
挿画もすべて著者の作品です!すごい才能!
幼い頃から臆病で、その恐怖心を燃料にして、摩訶不思議な世界を描いてきたとあとがきで語ってらっしゃいます。
フランス哲学に傾倒し、学習塾で子どもに教え、児童文学の世界へ…という大海先生。
「インチキはすぐに子どもに見破られる」とおっしゃるだけあり(よしもとばななとの対談@復刊ドットコムにて・余談ですが、この対談を読んで、よしもとばなな氏が幼少の頃片目が不自由だったことを知りました。わたしも生まれつき片目の視野がまだらに欠けているので、妙に親近感湧きました)、大人も唸る、シュール世界。
この本の中には、デビュー作の「あなたのえらさはなんポッチ?」が収録されています。風刺が効いてていい感じ。
裏表紙の奇妙なモノは、えらさをはかる機械と、その中に入っているおばけです。すごいでしょ。