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④こころの中の図書館~こころの眼を開く道~

ビラ配りの老人と【僕】の不思議な物語を
描いています。

はじめにこちらをお読みください↓

こころの中の図書館~ビラ配りの老人と【僕】の旅の物語~はじめに~

②こころの中の図書館~プロローグ~と~ハムスターの回し車と自分時計~

③こころの中の図書館~オールド・ワイズマンとの出逢い~


◇◇こころの眼を開く道◇◇


老人に導かれながら
僕は、その何とも世にも奇妙な?
その図書館に向かっていた。


駅前を通り過ぎ
少し、繁華街から外れた道に入っていった。


その間も老人の興味深い秘密めいた話は
止まらずに炸裂だった。


駅前でさっきまでキョロキョロしながら
ビラ配りしていた老人とは別人のように思えた。


そうして歩いていくと
今はもう古びてしまった商店街の通りがあり


その通りを過ぎていくと
ちょうど、商店街を出たところに
これまた、古びた公園があった。


僕はこの周辺にもう何十年と住んでいる。


それなのに、この商店街も公園の存在も知らなかった。


この一角はなぜか、時が止まったような空気が
漂っていた。


すると、老人が僕の心の中の疑問に答えるように
「目に見える世界だけに目が奪われている間は
見えない世界があるんだよ。」
とまた、興味深い言い方をした。


古びた商店街も古びた公園も
よく見てみると


誰か手入れをしているようで
ゴミも落ちておらず
樹も生い茂ることもなく
花達もイキイキと咲いていた。


その公園を掃除する時に使う道具が
入れてあるであろう簡易式の倉庫の裏に
木造の建物へ続く小さな扉があった。


僕はこれまで体験した事のない
この空間や時間が
まるで夢を見ているみたいに思えて


自分の頬をツネるという
漫画に出てくるような確かめ方をしている自分が
可笑しかった。


その様子を見た老人は
また、微笑んだ。


老人がその扉を開くと
目の前には、石畳の道が続いていて
その先にお寺のような神社のような建物があった。


その建物の中に入ると
僕以外の人もいるようで
靴がいくつか並んでいた。


その建物の中を歩いていくと
ひとつの部屋に通された。


その部屋の障子から
太陽の光が心地良い具合で
僕と老人を照らす。


もしかしたら
昔の人は、この障子と太陽の光の
ハーモニーの心地よさを
どこかで知っていて、
こういう造りにしていたのかな~なんて
ふと思った。


そんな事を考えていたら
老人が、

「こちらのフスマを開けると階段があります。

その階段を下へ降りてください。
降りたところに図書館があります。

私は、別のルートより
図書館へ向かいます。

図書館で待っていますね。
それでは」と言って

老人は、部屋を出ていった。


残された僕は少し不安に感じたが
ここから逃げ出したいとは思わなかった。


その部屋の障子からこぼれる太陽の光が
心地よかったからだ。


ふぅ~。と息を吐いた。


そして、目の前のフスマを
好奇心というドキドキと
ちょっとの不安と怖さのドキドキとか
入り混じった思いの中


そのフスマを開けた。


次回~暗闇の泉~をお届けします。

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