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建物さんぽ#4「旧公衆衛生院」要塞の中の優美な階段

趣味:建物探訪&散歩、「古い建物を見ながらコーヒーを飲みたい」が口癖の私が各地の建物を巡った記録をまとめていきます。

今回は、白金にある「旧公衆衛生院」です。

高級住宅地・白金にある巨大要塞…

「旧公衆衛生院」
そのなんだかものものしい名前の建物を知ったのは友人のSNSの投稿だった。

その写真に写っていたのは美しい階段…。階段フェチの私は行くしかない…!と、昨年夏に訪ねた。

白金の駅を降りてすぐのところにあるその建物は高級住宅街にあるには馴染まない外観をしていた。

そう、まるで要塞のような…

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写真だと伝わりにくいのが悔しいのだが、とにかく大きな建物で迫力がすごい、圧がすごい。パノラマ撮影でないと写しきれないほど。

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にしても、この入り口の荘厳さ、学校のようだなと思っていたら、それもそのはず設計者は東大の安田講堂などを手掛けた内田祥三だった。

旧公衆衛生院は、そもそも日本の公衆衛生の向上を目的とした研究機関の建物だったそうで、学校のような形をとっているのも当然なのかもしれない。

寮もあったとか。いいなぁこんな建物で暮らしたい。。。

昭和初期に作られたこの建物、現在は港区郷土歴史館として新しい人生を送っている。ちなみに「映像研には手を出すな!」の実写ドラマでロケ地になっていた。

円形の吹き抜けが優美な階段ホール

建物内に入って、ときめきすぎて死ぬかと思ったのがお目当てのこちら。

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円形の吹き抜け、中央から左右に分かれた階段。
クラシカルな手すり部分のかざり…。

吹き抜け周りの装飾…。

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この階段、ロマンが溢れすぎでしょ…。

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登って下を見るとまた違う美しさ。清潔で整然としたタイルの様子にハッとする。

頑健な外観から想像できないこのギャップ。…たまらない。

旧講堂で静かに時間の流れを思う

大学のようだという印象そのままに、建物の中は小さな部屋がいくつかで構成されている。

資料館のほか図書室、カフェなども併設されていて建物自体も広いし、見所もいろいろあるのだが…いち押しはここ。

4階の旧講堂。

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飴色の机やステージの色が美しい。

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休日の午後だというのに人もいなくて、ここにはただただ穏やかな時間が流れている。

ふと大学時代のことが頭によぎった。ここまで素敵ではないがこんな感じの大きな教室でよく授業を受けていた。

大学の最奥にあるそれなりに歴史ある建物の大教室で、備え付けの椅子は折り畳まれた状態から開くと必ずギッと鳴いた。

昼下がりの、憂鬱な、でも心地いい眠気。

教授ののんびりとした声。

窓の外には、夏の空と緑の木立。近くでセミが鳴いてる。

それまで思い出しもしなかった、特別な思い出ではない本当に些細な瞬間が鮮やかに脳裏に蘇り、この建物とは比較にならないけど、私も、私のそんなささやかな歴史を積み重ねてここにいるんだなと思ったのだった。

とても静かな午後だった。


旧公衆衛生院つまりは港区郷土歴史館の公式ページは写真が充実しているので、ご興味のある方はこちらもぜひ。


前回の記事はこちらからどうぞ。

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