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ヨガる、余暇。
体を動かすことが好きだった。
汗をかいて、気持ちもリフレッシュできて。
身体にも心にも、いいもの。
そんなストイックな自分にちょっと酔ってたんだと思う。
それも昔のこと。
今では、少しでも早い電車に乗りたいからと、勢いよく走り出したら息切れ動悸の大合唱がはじまる。
走ってるときはいい。止まるとどっときて、体がびっくりする。
そう、無理ができなくなってしまった。
地道にランニングでもすれば、体力を少しずつでも取り戻せるのかもしれない。
でもね、どうもやる気スイッチが入らないの。
ネガティブな言い訳をつらつらと並べ、
消去法で選んだのが「ヨガ」。
アラサー女性が辿り着くであろう場所に、もれなく私もやってきた。
Youtubeでまりこ先生に、お世話になる日々。
ほぐしたい体の場所、お馴染みのコースなど、お手軽にほいほいとこなす。
いい感じこの調子。
…けれど、どうしても偏っていく。
自分好みにみるみると。
これでいいものか。
もっとバランスよく、自分では選ばないポーズやコースを、してみてもいいのかも、と思った。
そしたら運よく、区が運営しているヨガレッスンに当選し、
ほくほくの気持ちで、初めてのスタジオへ。
若い方も、男性も、女性も、いろんな人がいる。
はじめましての方と、わいわい会話をするわけでもないのに、
そこにいる人たちの心が、穏やかで、落ち着いているのが伝わってくる。
観たことのあるポーズや、動きと流れ。
そこに先生のセリフが添えられる。場にあった音楽も加わる。
考えてみたら、内容もりだくさんの忙しい一時。けれど、慌ただしくは感じない。ゆっくりと過ごす、体と向き合う時間。
レッスンも終盤。
リラックスして立ち、片足を上げたり横にしたりして、1本の足で体を支える。数秒あるいは数分、そのまま片足に自分をゆだねる。
そして、ゆっくりと
つま先からかかとを地面に預ける。
その瞬間、はっとする。
「体がかるい。」
不安定だった重心が、2本の足で地面に立つだけで、こんなにも満たされる。
いつものこと、当たり前のことなんだけど、このときは違った。自分の体が自分だとわかる、そんな感覚だった。
日々を過ごすなかで、どこかに自分を置き去りにしている。それを取り戻し、体と心と一致させるような、儀式。
ほんの1時間の出来事。
暇ではない毎日に、余分なことを取り入れてみる。
必要ではないこと。
でもあったらいいなと思うこと。
そんな余暇を、体は求めている。