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理想なる住まい。
戸建て、マンション。
新築、中古、リノベーション。
都心、田舎。
職場、学区、環境。
…
何が重要で、何が不要か。
心に手を当てて、自分と対話。
家族と相談。お財布とにらめっこ。
そもそも、購入するのか賃貸のままか。
はたまた親族から相続、というラッキー案件もあるかもしれない。
住まいに関する希望は、人それぞれ。
理想となれば、さらに多種多様。
・
私たち夫婦の将来を考えた。
購入するかもしれない家のことを。
コツコツ貯金して、いつの日かそれを充てたい。来るかどうかもわからないイベントに備えて。
駅から15分圏内。場所はあのあたりが理想。
思い切って新築マンションを買えば、住人は同世代が多いかも。
中古を買って、リノベーションも捨てがたい。
それぞれの理想を共有する。
折り合いをつけて、きっとこうなるんだろうな、と思い描く。
語り合う時間が、たのしい。
6年間ほど、住宅業界に携わった。
若い方から定年を過ぎた方まで。家を売買したり、改装プランを練ったり。
ちょっとした生活のこと、人生の分岐点になるようなこと。さまざま。
”身の丈”と言いながら、理想を叶えた働き世代。
”ローンを組みたくない”、と堅実で着実なDINKs。
”あなたに任せるわ”、と設計士に委ねる老夫婦。
色んなカタチがあって、生き方があった。
私はどうだろう、とずっと考えてきた。
暮らしやお金を犠牲にしてまで、叶えたい理想はあるだろうか。
今ある生活以上のことを求めているだろうか。
好きで就いた仕事。
生活に寄り添い、理想のライフスタイルを叶えていく、素晴らしい役目。
家をカタチづくったのなら、生活はより豊かになるのだろうか。
”もっと”に、終わりはあるのだろうか。
「個室は欲しい。」
夫は自身の書斎を持つことを希望している。
通学している学校の関係で、設計課題に取り組んでいる。リノベーションをする家を私たちに当てはめて、間取りを作ってみることにした。
「寝室よりもリビングが明るい方がいいよね。」
「うん、リビングでお昼寝したいし。」
ふたりの希望を家に盛り込む。
申し分ない広さのキッチンがあって、お日様を感じるリビングがある。
小ぶりのWICに動線の効いた寝室。
夫の書斎も、私のワークスペースもある。
立派な本棚だって。
なんでもある。
”これは理想!”
と思った。
けれど、住みたいか、と言われるとわからない。
不満がある、ここを直したい、わけではない。
ただ、
”この家をほしい”
まで至らなかった。
所有したいと思う日は、きっと来ない。
私にも夫にも。
借りて住み続けるもいいし、家を構えるもいい。
だがそれは“手段”でしかない。
私は今満たされている。
住みやすい環境で、夫と暮らせて。
美味しいご飯にふかふかのお布団もある。
「家にかえろう。」
そう思える場所があれば、”豊か”なのだと、
ようやくわかった気がする。