【結婚3年目】 ビジネス夫婦のすゝめ。
「奥さんのこと旦那さん心配してましたよ〜」
いつも行く美容院。家から歩いて数分のこれ以上ないくらいベストな立地。そのうえ、明るくおしゃべり上手なお姉さんがいるので、夫婦ともにせっせとリピートさせてもらっている。
妻は平日休みの日に、夫は休日に出向くことが多い。なので、同じ担当のお姉さんにそれぞれが世間話をしており、周りまわって第三者目線から夫の話を聞くのが、私の密かな楽しみになっている。
どうやら、働き出した妻を夫が心配していたと言うのだ。
「え?私、夫の3分の1くらいしか働いてないんですよ」
お姉さんにすかさず、誤解を解くフォローを入れる。
パートの私と、激務の夫。単純に時間で換算すると、私は夫の3分の1ほど(もしくはそれ以下)しか働いていない。料理や洗濯、買い物を担当している時間を考慮しても、夫の2分の1に届くか届かないかであろう。
働くことが趣味だと語る、生粋の仕事人間にまさか心配されていたとは、これは驚いた。
お姉さんが続ける。
「休みの日もちゃんと休めてるかどうか…とも言ってましたね」
ぴん、ときた。
これは夫の勘違いだ。
私の休日は、平日とそう変わらない。だいたい同じ時間に起きて、しっかりと朝食を摂る。天気予報をチェックして、洗濯するものを見定めて、天気が良ければ普段は手が回らないものまで洗う。それから午前中には床の掃除も済ませておきたい。
それらが終われば、
コーヒーを淹れて、ゆっくりと本を読むのだ。
ガガガガ…
豆を挽く音を目覚まし時計代わりに、のそのそと夫がダイニングにやってくる(そして、夫はコーヒーを飲んでまた寝室に戻る)。
私と夫の休日の過ごし方はまるで違う。
真逆、と言っても差し支えないほど。
夫は、外出となれば、少しばかり寝坊しようが光の速さの身支度術でするりとおでかけモードに切り替わる。それがなければ、休日はせっせと睡眠に勤しんでいる。
それが夫にとって”休む”ということらしい。
一方妻は、予定があってもなくても、極力生活のペースを乱したくはない。前日の夜、寝るのが少しばかり遅くなっても、朝は朝の時間を過ごしたい。それから、家事をして、読書をして、ときには何もしないをしている。
それが私にとっての”休む”ことだ。
ぜんぜん違うね!と、今となっては笑い話みたいなもの。
でも、結婚当初はかなり頭をかかえた。
夫が「妻が休めているのか心配」と言うように、私は「夫がもう目を覚さないんじゃないか心配」だった。
どちらかに合わせてみたり、間をとって朝の時間を約束してみたりもしたけれど、その場しのぎの策では長くは続かない。相手の”休養”を邪魔してしまえば、バランスが乱れてしまう。やがて夫婦関係もぐらぐらとし始める。
だから、干渉し過ぎない、これに尽きる。
と、夫婦間でなんとなくの結論に至っていた。
美容院帰りの夜、
夫が言う。
「来週、〇〇さんが来日して会うことになってさ」
もちろん、妻が髪を切ったことに夫は気づいていない。これはいつものことだから特に気にしてはいない。
〇〇さんとは、アメリカ国籍の方で日本語は話せない。夫も英語は話せない。それなのに、夫にはるばる会いにくるという。
「通訳をお願いするの?」
「うーん、時間がないからねえ」
夫は、(妻からみると)脅威的なコミュニケーション能力の持ち主だ。初対面の方とはもちろん、国籍問わず、なんだかんだで会話を広げられる類まれな能力を持ち合わせている。
そのとき、ぴん、ときた。
「英語、一緒に勉強しない?」
「え?」
普段、必要としていない外国語。だが、このシチュエーションを迎えて、夫も必要に駆られているように見受けられた。
さらに、ぐいと押してみる。
「定期的にTOEICを一緒に受けるの。点数が低い方になにか罰ゲームがあるといいかも」
「ハーゲンダッツ奢るとか?」
「うーん…」
10年ほど前であれば、高級アイスで一喜一憂もお約束されていただろうに、30歳を過ぎた大人にはどうもパンチが足りない。
「あ、次回の受験料をふたり分出すのはどう?」
「わ!それは嫌やな…」
「じゃあ、決まりね!」
自腹で受験料×2は、30歳を過ぎた大人でもしっかり痛い。払いたくないし、それなら勉強しようかしら、とも思う。
一緒に受験するからといって、一緒に勉強をするかといえばそうではない。ライバルだから、という理由ではなく、時間の過ごし方がまるっきり違うから。
”休み”の時間にどう勉強の時間を組み込むか。それは妻と夫、それぞれが決めることだ。
「ちょっとやる気になってきたわ」
「私も!」
久しぶりに「勉強するぞ」と意気込むことは楽しみの一つではあるけれど、こうして夫婦で同じことに挑戦できること、これはずっと望んできたことかもしれない。
一緒に過ごす、これはときに簡単ではない。
ちょっとドライで、ちょっと味気ない。
まるでビジネスライクな関係。
「楽しい」アプローチを共有できなかったとしても、同じ方向を向いてみる。
そうすれば、互いに”いいね!“と言える日がくるのだろう。
そんな夫婦の在り方も、アリかもしれないな、
と思いながら
私は私で、ひとり机に向かうのだ。
珈琲次郎さんの企画に参加しました^^☕️
今回も楽しいテーマをありがとうございます♪ そして、まいど締切日に失礼しております。「結婚してよかった!」エピソードよりも「結婚して良かったのかしら?」エピソードの方が実は多いのかもしれない…と3年目夫婦は思ったり思わなかったり…
こうしてnoteに記事を書いて、「なかよしですね!」と言ってもらうたびに、「え??そうなの??」と内心疑問めいてましたが、「仲良し」とはこういう状態なのかと自分の中でひとつずつ発見に変わってきてる今日この頃です。
読んでいただいてスキやコメントをくださる皆さんに、改めてありがとう!を送ります✨\(^o^)/✨