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Nagpur紀行2025その1「パールシーの豪華結婚式編」
はじめに
2025年1月、Nagpurに2度目の滞在をしました。
今回は、2年前に滞在した際に大変お世話になった(ずっと家に泊めていただいたり、修行するサオジレストランを手配してくれたり!)Bhagwagar Familyの、娘さんの結婚式にお呼ばれして、お祝いをするために滞在しました。
せっかくインドに行くので、少し長めに滞在してまたSaoji Restaurantに行って修行したり、サオジの人気店に行って食べ比べをしよう、と思いながら、2年前の滞在では信じられない出来事がたくさん起きたので、今回はそうも行かないだろうな、と思っていました。
ところが、前回を上回る、想像もしていなかった大変な出来事が立て続けに起きたのです。。。
主な出来事を四部に分けて書いていきたいと思います。
主な出来事
細かい出来事ですら、それぞれが大変な経験だったのですが、なかなか経験できないような驚くべき出来事をピックアップしてnoteに残します。
・パールシーの豪華結婚式編
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・現地人気No.1のサオジレストランで僕のサオジマサラをチェックしてもらった編
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・インドで入院、そしてRepublic Day(インドの共和国記念日)の式典で何故かスピーチをすることになる編
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・初めてのPune滞在編
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その1「パールシーの豪華結婚式」
皆さんはインドの結婚式について、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
何百人も集まって色とりどりのライトアップや派手なダンス、美しいサリーやクルタなどを着こなして、鼓笛隊や花火の演出あり、のド派手なセレモニーが数日に分けて行われる、といったイメージはご存じの方も多いと思います。
いわゆるヒンドゥー教の伝統的な結婚式のトレンドがそれにあたるそうで、財産のかなりの割合をかけて、中には借金してまで豪奢な結婚式をするのがインド流だそうです。
(様々な習慣や様式がありそうなので、こんなのもあるよ!というご意見がありましたらぜひお聞かせください!)
僕がお世話になっている Bhagwagarファミリーは、Parsi(インド国内に於けるゾロアスター教徒の呼称)でして、パールシーは社会的成功者が多いそうで、このファミリーもそれはそれはリッチなお家で、通常では到底経験できないようなセレブ体験をさせて頂きました。
セレモニーは大きく3日に分けて行われ、初日夜、2〜3日目昼夜、計5回に渡って宴が繰り広げられました。
そのどれもが豪華な邸宅やBhagwagar家主人のRukshadさんの会社で特設ステージや豪勢なケータリングが備えられて、全世界から集まっていた参加者も皆一様にセレブでした(笑)
おそらくですが、富裕層には富裕層のコミュニティがあって、そのコミュニティ内だけの招待だったため、多くのトラディショナルなヒンドゥー教の結婚式のように、知り合いを全員呼ぶぞ!という雰囲気とは違う趣があるように感じました。
今回のウェディングセレモニーについて、駆け足で書いてみたいと思います。
Shyla George Wedding Ceremony Day1
初日夜はチャイナコンセプトのウェルカムディナーでした。
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Rukshadさんの従姉妹(だったはず)の豪邸にて行われ中国の装飾や料理をコンセプトにした宴で、いわゆるインド中華ではなく、インド人がイメージする本物の中国パーティーを再現してみよう、と言わんばかりの(何故か寿司やキムチもありましたが!)本格ケータリングでした。
美味しい料理や大好きなオールドモンクに舌鼓を打ちながら、まだインドに着いて間もないため、外国語での会話に緊張しつつウロウロしていると、新郎のGeorgeがロンドンに住んでいるため、ヨーロッパからもたくさんの参列者たちが続々と集まってきました。
なんと皆んなに僕のことを話してくれていたみたいで、君が日本でガチインド料理を出してるシェフか!と歓迎してくれて、少しだけ飲みすぎながら初日の夜が更けていくのでした。
Shyla George Wedding Ceremony Day2
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2日目はRukshadさんの会社の敷地でBlessingsセレモニーとダンスパーティが昼夜に分けて行われました。
笑いあり涙ありの、とても和やかな雰囲気でセレモニーが行われました。
そしてこの日はRukshadさんおすすめのパールシーシェフのBawa Lunch(パールシー料理)が並ぶ日です。
昨年12/24、当店の3周年イベントにて本格的なパールシーディッシュを当店でお出ししてから大変な反響をいただいたので、これからパールシー料理も提供していく決意を固めていた僕としては、またとない勉強の機会でもありました。
パールシー料理の感想については、お店でお話し会を計画していて、その時にお話ししたいと思っているので、ここでは割愛します。
とにかく最高の料理とお酒がずらりと並び、美味しいインドのカクテルやオールドモンクを飲みすぎたのは言うまでもありません。。。
夜の部のレイアウト変更のため式は一旦閉幕し、参列者全員に用意されているこれまた豪華な五つ星ホテルに送迎バスで戻り、着替えて夜の部に臨みました。
到着してみると、ステージやスピーカーの位置が変更してあり、ステージ前には謎のお立ち台もあり、ライブ会場やクラブのような雰囲気が演出されていました。
インド映画が好きな方はピンと来るかと思いますが、そのステージやお立ち台で、皆さん団体で踊り狂うのです。
お年寄りから若い方まで、とても上手な振り付けで踊っていて、まるで映画の中のようでした。
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印象的だったのが、イギリスから来たスキンヘッドのパールシーレストラン経営者の方が、江南スタイルをセレクトしたDJに合わせてキレッキレで踊っている横で、スキャットマン似のおじいちゃんも一緒になって例の馬のダンス?を踊っていたことでした。
この日は夜中3時ぐらいまで踊り明かしていたそうですが、僕は2時ぐらいに事切れてホテルに戻りました。。。
Shyla George Wedding Ceremony Day3
3日目はお昼にBhagwagar家でパールシーの儀式があり、身内以外は参加できない儀式でしたので、参列者は儀式を見守り、全ての儀式が終わってから南インド・ケララのランチが始まりました。
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個人的に、これまで経験した南インド料理(詳しくないのでエリアによって随分違うのかもしれませんが)は、なんか味が薄いような、、、?と思うことが多々あって濃い味が好きな僕としては敬遠していたのですが、その日いただいたケララ料理は驚くほど塩が完璧にきまっていて、南インド料理のイメージがガラリと変わったのでした。
弾き語りの演奏に合わせて、新婦Shylaの友人で歌手の方によるスイートな歌の披露が始まると、父Rukshadと娘Shylaがチークダンスを踊っていて、寂しそうな背中で娘を抱く父の姿にウルっと来てしまいました。
その日、Shylaが結婚後ロンドンに住むというのを聞いて、僕はRukshadに、寂しくなるね、と声をかけたら、CRAZY!と嘆いていた溜め息の行方がその背中に繋がっていたような気がしました。
夜になると、またRukshadさんの会社でセレモニーとディナーでした。
前日の饗宴(狂宴!)は鳴りを潜めて、この日は正装で穏やかな最終セレモニーでした。
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夜のお料理は前回の滞在でお世話になった、Centre Point Hotelのケータリング。
さすが一流ホテルの名に恥じない豪華な北インド料理が中心で、マトンローガンジョシュやビリヤニ、フレッシュメティ炒め物やほうれん草カレーetc…締めにスイーツとチャイもおかわりして、心もお腹も大満足の最終日でした。
そして、この暴飲暴食が後日とんでもない事態を招くのですが、それはまた別のお話、、、。
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と、駆け足でセレモニーの内容を書きましたが、前回会った皆さんが皆僕のことを覚えていてくれて、おー!日本のサオジガイ!よく来たな!と歓迎してくれたのがとても印象的でした。
初めて会う方を紹介してくれる時も、英語が苦手な僕に代わって皆さん率先して僕の経歴を伝えてくれて、皆さん一様に、日本にサオジがあるなんて奇跡や!と驚いておられました(笑)
そして、皆さんの経営している会社の概要や保有している別荘などが異次元すぎて、こりゃあなかなか出会えないインドの一握りの富豪の方々と、めちゃくちゃ貴重な経験をさせて頂いてるなぁ、と改めて度肝を抜かれました。
一般的に旅行者が目にするインド、バックパッカーの聖地であるインド、どれも本当のインドの姿ですが、こういったごく一部の富裕層によってインド経済の爆発的な成長が支えられていて、豪奢な暮らしを享受できる層がはっきり分かれている、これも紛れもないインドなのです。
そして、Parsiの方々からパールシーシェフネームを頂いたり、ガチのパールシーシェフやパールシーレストランの経営者の方など、いろんな方とご縁ができました。
最後に、ShylaとGeorgeのハネムーン旅行はなんと、日本に行くよ!と言っていたので、Bhagwagar家から頂いた恩義には到底及ばないかもしれませんが、最大限のおもてなしをすることを固く決意したのでした。
続く