小学生の女の子たちはダンスで自己認識が変わった[研究紹介]

※文献情報は最後に書いてあります。この研究の情報をなんらかの目的で利用される際には、必ず原典をご確認ください。原典を確認しなかったことによる不利益には一切責任を負いません。


冒頭、強めな発言で申し訳ないですが…。大事なことなので、研究論文について書くときには、毎回書かせてもらうと思います。すみません。

ダンスの研究を紹介したいと思います。ダンスの研究をより多くの方に知っていただくことが、私がnoteを書く目的でもあるので、なんとかこの記事を作ることができてうれしいです。普段研究論文に触れていない方向けに書きたいと思っているので、専門用語は、理解しやすい一般的な言葉に置き換えたりします。「こんな研究があるんだー」というきっかけづくりが目的です。なので、何度も言いますが、研究内容を引用したり利用する際には、必ず原典を読んでいただき、研究内容を正しく理解してください。

今回は初めての研究紹介なので、わかりづらい部分もあるかもしれませんが、ご容赦ください~ では早速内容に入ります。



小学生の女の子たちはダンスで自己認識が変わった

踊ることの精神的な効果については、踊りに関わっている人なら経験的に感じるものがあるのではないでしょうか。

今回紹介する研究は、Puretz, Susan L.さんが1978年に発表した研究です。この研究では、女子小学生を対象に、モダン・ダンスの授業を実施し、心理的効果を検討しています。

Puretzさんは、経済的に恵まれない児童は、学校での適応に問題を抱えることが多いという問題点に着目しました。そしてその背景には、児童の自己認識の評価が低いことが関係しているそうです。

そこで、モダン・ダンスを行うことが経済的に恵まれない児童の自己認識の評価を高めることができるかどうかを、実験的に検討しました。

ダンスの授業は、①身体機能の発育 ➁創造的、自発的、即興的な運動の機会をもつ という2つの目的のもと、ラバン理論に基づいて実施されました(ラバン理論について具体的に書くと長くなってしまうので、割愛します)。この研究では、モダン・ダンスの授業において、身体は表現の手段と自己の投影として使われる、と述べられています

これを、1日30分を約4カ月間に渡っておこなわれました。

自己認識の自己評価は、実験の前後と、実験終了後からさらに3年半後の3回に渡って行われました。

分析の結果、4か月のダンス授業の前後で、児童の自己認識の評価は上がったことが統計的に示されました。

そして、実は、同じ4か月の期間に、ダンス授業を行わない、普通の体育のみ行うグループにも、調査を行っていました。

比較してみると、ダンス授業を行った児童の方が、普通の体育の授業を行った児童よりも、自己認識の上がり方が大きいという結果が示されました。

さらに、実験終了後からさらに3年半後にどうなっていたかというと、変わらず、ダンスを行った児童は、行わなかった児童よりも自己認識の評価が高い状態でした。

この結果から、モダン・ダンスは児童の自己概念をより良いものにする、という結論に至っています。



この研究から考えること

この研究は、ダンスと他の運動は違う、という可能性を示していると思います。

「ダンスって、他の運動と何が違うんだろう?」と考えたことのある人も多いのではないでしょうか。それに対する答えは一つではないようにも思いますが、この研究からは、自己認識の評価については、ダンスと運動は違う結果をもたらす、ということが言えそうです。


文献情報:Puretz, S.L. (1978) A Comparison of the Effects of Dance and
Physical Education on the Self-Concept of Selected Disadvantaged Girls.
DANCE RESEARCH ANNUAL
vol. 11 pp. 47-54


今後も、ダンスに関わる研究をこういった形で紹介していきたいと思っています。記事に対する感想、研究に対する感想、お気軽にコメントください。

また、この内容について間違いがありましたら、コメントください。

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