時間
絵を描くことを止めた時から、
わたしの時間は止まったままだった。
幼い頃から絵を描けることが
周りの人に当たり前に知られてて、
描けることを褒められることはなかった。
学生時代は、描ける素振りもしなかった。
芸術とは無縁な人間のように振る舞い続けた。
大人になって久しぶりに絵を描いた時に、
自分がもう一度、描くことを許すことができた。
過去は戻らないけれど、
現在を進めることはできるのかもしれない。
あの頃の芸術に対する感性は戻らないし、
現在の自分をそれなりに受け入れている。
一度、手放した自分のことを
もう一度、手に入れることは難しい。
絵を描けることに意味があるのだと、
大人になったわたしには、痛いほどわかる。
わたしはこの先、どんな作品を残せるのか?
動き出した時間に乗り遅れないように、
わたしはこれからも絵を描き続けるだろう。
人生の最期まで絵と向き合うことが、
わたしが生きた証になるような気がしている。
最後までお読みいただきありがとうございます。
では、またお会いできたら。