how to live own life ( 3 )
7月の最後の一週間、マリヤとわたしと
子どもたちは毎日ブルーベリーや
ラズベリー、マッシュルームなどを
摘みに毎日森の中へ出掛けた。
猫じゃらしにベリーをビーズみたいに
つないでいって、最後にもぐもぐ食べる
夏のフィンランドでは7月から
ブルーベリーとワイルドストロベリー、
7月終わりからラズベリーと
ブラックカレント、レッドカレント、
8月中頃からリンゴンベリーと、
夏の間はベリー三昧の日々が続く。
摘んだベリーやマッシュルームは
冬を越すためにたっぷりと保存する。
その他にもネトルやラズベリーの葉などの
メディカルハーブもたくさん摘んで
太陽の下で乾燥させてお茶にする。
フィンランドの長ーい冬のために
短い夏の恵みを最大限に活用する。
イラクサはスープやピザに
ラズベリーの葉は香りのいいお茶に
白い花(名前が分からない)は
風邪によく効くお茶に
彼らはビーガンで、彼らと過ごした三週間、
わたしも初めてのビーガン体験をした。
正直な感想を言うと、たまに肉や卵、チーズが
恋しくなることもあったけれど、
基本的に平気だったし、身体は軽かった。
ピルタからいただく有機野菜が美味しかった
というのも理由のひとつだとは思うけど。
乳製品の代わりにオーツミルク、ソイミルク、
肉の代わりに豆類やナッツ類、キノコ類など、
栄養面でもしっかり代用できる。
毎朝食べたオートミールポリッジ
新鮮なベリーやジャム
ナッツやシードと一緒に
マリヤの家族はベジタリアンだったため、
マリヤは肉を食べたことがない。
そして十二歳の時彼女はビーガンとなり、
基本的に動物性の食品を摂ることをやめた。
なおかつマリヤは出来る限り地元または
フィンランド国内で生産されたものを
選ぶようにしていて、基本的に野菜は
ピルタのファームから、果物は夏に摘んだ
ベリーを冷凍したりジャムにするなどして
利用する。ほとんど果物は購入しないという。
ピルタの畑で収穫したイチゴ約15リットル
まずジュースに、残りに砂糖を加えて
ジャムにして保存する
たとえオーガニックであっても、
遠い国から運ばれてきたものは
輸送に沢山のエネルギーが消費されていて、
環境に配慮しているとは言えない。
マリヤは豆腐や味噌、醤油などの日本の
大豆製品が大好きで健康的だと話していたけど、
大豆を生産できないフィンランドでは
他の国から輸入せざるおえない。
二人の小さな子どもを育てる彼女は、
"健康的で栄養のある食品"、
"環境に配慮した地元の食品"、
何をどう選ぶべきかいつも迷うと話していた。
一緒にガーデンを作る子どもたち
自分たちの生活を自分たちの手で
作り上げることを両親の側で学ぶ
わたしは日本でベジタリアンや
ビーガンの知り合いはいなかったし、
私自身あまり考えたことがなかった。
デンマークで出会った友人達もそうだったけど、
ベジタリアンやビーガンであることは
動物性食品が製造される過程で消費される
大量の水やエネルギー(輸送も含めて)が
引き起こす環境汚染や気候変動等の
環境問題に対する意思表明でもある。
http://neutmagazine.com/meat-distroys-the-environment
よくチェックしているNEUTmagazineに
こんな記事があったので、共有
ひとつの見方として
日本で暮らしていたとき、食事に牛豚鶏の肉を
調理し口にすることに何の躊躇いもなかったし、
ブラジルやオーストラリアなど遠い国から
やってきた肉を使うことことだって
そんなに珍しいことではなかった。
自分が口にするものがどこでどのように
生産されてきたかそこまで深く
興味を持ったことはなかった。
もちろん野菜や果物だってそう。
わたしの両親は農家で自分たちの菜園もあって、
基本的な野菜や米は自給できているけど、
特にグレープフルーツやバナナなどの果物は
国産を手に入れるのはできない。
マリヤとも話していたけれど、
フィンランドに比べて日本は温暖な気候で
育てられる野菜や果物も多い。
そして味噌や醤油、漬物等、日本の気候に
合わせて作られた独自の発酵食文化もある。
ビーガンであることや、地元(または国産)の
食品だけでも十分まかなうことができるはず。
彼女と話しながら、いつもと違った視点で
日本の食文化について考えることができた。
庭で採れたルバーブの冷製デザートスープ
地元の食材を調理すること、食べることは
その土地の理解を深めることにも
つながるよね、愛着もわくよね
食べ物についてはダイレクトに
私たちの身体になってゆくものだから、
まず第一に考えたい事柄であるけど、
衣類や住居、日用品にも同じことが言える。
できる限り環境に負担をかけないものを
選びたいし、日本独自又は地元特有の
伝統技術だったり産業を支援したいとも思う。
・・・・・
長々と書いてしまったけど、ここまでは
わたしがこれまでデンマークやフィンランドで
いろんな人たちと過ごしてきて感じたこと。
何が正しいとか何が間違ってるとか、
そういうことではまったくない。
いろんな立場の人のいろんな意見がある。
ベジタリアンやビーガンになればいいとか、
自給自足や地産地消を貫くべきだ、
とかじゃなくて、自分の選択が、
何にどのように影響してゆくのか、
わたしたちは知るべきだよねと思う。
知ったうえで、自分がどの立場を選ぶべきか
決めればいい、決めることができる。
"選ぶ"ことができる幸運なわたしたちは、
その意味を考えないといけないな、とも思う。
ぎょっとするほど美しかった夕陽( 23:18 )
わたしたちは住む場所だって
"選ぶ"ことができるんだよね
フィンランドの家族と過ごした日々と
そのなかで考えたことを三回にわたって
記録したわけだけど、文字や写真だけだと
夢物語みたいにも綺麗事みたいにも見える。
彼らの生活はいろんなタイミングや条件が
重なり合って成立していて、
もちろん誰もが出来ることじゃない。
出会う人や場所、国の政治や経済、
気候や環境、歴史や時代の流れ、
いろんな条件が重なって可能になること、
不可能になることだってある。
結局のところは、
とにかく自分で選んでやってみて、
重ねていくしかないわけだ。
自分が手を伸ばせる範囲内で。
ここで出会った可愛いキッズたち
これからあっという間に大きくなって
いつか、いつの日か再会したときには
もう違う人みたいになってるんだろう
フィンランドの森の中で出会った
可愛い家族の未来がどこまでも
明るくありますように
わたしも、がんばるね
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