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with the nature ( 1 )

わたしにとっての三つ目のworkaway先は
ヘルシンキからバスで六時間、
400km北東に位置するJoensuuという町の
外れにあるvaivioという小さな村の森の中。

フィンランド人のマリヤと
アイルランド人のミック、
愛息子レオ五歳と愛娘ルナ三歳。

毎朝みんなでえっちらおっちら森を歩いて
仕事場(未来の我が家)へと向かう


この村はマリヤの故郷で、
アイルランドでミックに出会い、
四、五年の遠距離恋愛の末に二人で
この村に移り住むことに決めたそう。

夏の間、毎週土曜日には
村の小さな市場が開かれる
手作りのお菓子や手工芸品等が並ぶ


いま住んでいる古い木造のおうちから
500メートルほど森を歩いたところにある
土地を拓いて、大工のミックが自ら
ストロベイルハウスを計画し建設している。

現在は屋根がひと段落して
壁に取り掛かるところ


基本的にこのプロジェクトのために夏の間は
workawayを通じてヘルパーを募集していて、
きっと来年がラストスパートになるので
これをみて興味の湧いた人はぜひ!


http://pikkuroundhouse.blogspot.com/
ミックが更新しているblog


基礎の土台は土地を拓いたときにごろごろ
出てきた巨大な岩を利用し、使用する木材も
自分たちで切り出し製材し乾燥させたもの。窓枠や扉も古材を利用し、これから着手する
ストローベイル(藁のブロック)も土や漆喰も
地元で手に入れたものばかり。

切り出した松を2×4に製材し
乾燥させているところ


この家の中心に置かれるのは
煉瓦造の薪ストーブ兼オーブン。
いま暮らしている古い木造の家もそうだけど、
彼らはガスコンロや電子調理器を使わずに
毎日朝と夜の二回薪ストーブで料理をし、
皿洗い用とお茶用の温水を作っている。

ほぼ直火なので火加減の
調整はものすごく難しい


そして冬は薪オーブンでパンやケーキ、
ラザニアなんかのオーブン料理を作る。
その熱が家全体を温めるという仕組み。
建設中のラウンドハウスは煙突として
屋根の上まで煉瓦を積んでいるので
二階部分まで温めることができる。

このおうちはこのオーブンを
中心にしたまるい形


いま暮らしている家の横にはミックお手製の
アースオーブンもあって、夏の間は
屋内オーブンは暑すぎて使えないので
ここでピザを焼いたりなんかするらしい。
なんとまあ素敵な生活だなあ。

ただし今現在故障中で
わたしはアースオーブン
初体験ならず...


滞在中にルナの三歳の誕生日があって、
庭で焚き火をしてパンケーキを焼いて食べた。
柄の長いフライパンを使って
それぞれ自分のパンケーキを焼く。
それだけでなんだかものすごく特別で、
いつもより美味しくて楽しい。

この焚き火の釜と
柄の長いフライパン
絶対作るぞ


トイレはコンポストトイレ、シャワーは
水のみでお湯はサウナを焚きながら作る。
長期保存をするための冷凍庫はあるけれど、
食事の残りや野菜の保存は冷蔵庫ではなく
地下に作られたアースセラーを利用する。
使用する水や電力は最小限。

火を焚くための薪は
冬の間にたんまりと
割って備えておく


日本は電力に関する問題がたくさんあって、
特に八年前の原子力発電所の事故のあと、
わたしたちはいかに電気に頼って
生活しているのかを思い知った。
しかもどこでどのように
作られているのかも意識せずに。

わたしは原発には反対だし、
太陽光や風力、地熱等の持続可能な方法が
もっと普及するといいなと思っている。
だけどそれ以前に、わたしたち自身が
何にどれくらいの電気を消費しているか、
それらがどこでどのように作られているのか
意識するべきだし、浪費しないように
努力したり、なるべく使わずに暮らす
知恵を身につけることも必要だと思う。

夏の間のケーキはオーブンを使わない
チーズケーキなどのローケーキを


彼らとの暮らしの中で、
わたしは日本での暮らしを顧みることができた。
そしてたくさんの暮らしの知恵や
アイデアを教えてもらった。
考え方やり方次第で自分たちの暮らしは
自分たちで組み立てることができる、
もっと身近になる、楽しくなるのだと
身をもって知ることが出来たことは
何よりも大きな収穫だった。

ここまでの暮らしを実現するのは
簡単なことではないけれど、
わたしたちの生活に少しずつでも
取り入れることは出来るはず。

近場に行くときは自転車で。
二人の子どもを乗せて
自転車に接続できるワゴン


なにもかも速くて便利で安くなってくなかで、
自分の手で作り上げられるものって、
何が残るんだろう、と考えてしまう。
わたしたちはどこに向かっているんだろう、
わたしはそこへ向かいたいのだろうか。
わたしはただ、優しく穏やかに、
そして平和に暮らしてゆく方法を選びたい。

家の近くの赤詰草の草原
甘い香りが漂っている


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