医療機器のデザイン会社とは
こんにちは。ミドリサーチの人です。以下の前回の記事では医療機器のヒューマンファクターエンジニアリングの専門会社をご紹介しました。この記事ではヒューマンファクターエンジニアリングに基づく医療機器開発を支援する製品デザイン会社をご紹介します。
医療機器のデザイン会社とは
海外にはヒューマンファクターエンジニアリングに基づく医療機器の開発を支援する製品デザイン会社というものが存在しています。ここではこの分野において比較的積極的に活動しているほんの幾つかの会社をピックアップしてご紹介します。
BlackHägen Design
Cleio
Delve
Farm
HS Design
Teams Consulting
Thrive
Worrell
Ximedica
最後2社は近年Veranexという会社に吸収されましたが、両社とも元々知られていた会社です。ここに挙げた会社以外にもこのようなヒューマンファクターズエンジニアリングに基づく医療機器開発を支援する製品デザイン会社は他にも色々あります。以前この業界規模に関する市場調査レポートを調べた際はそこに出てくる企業の中の多くが製品デザイン会社でした。昨日ご紹介したような専門会社よりも、製品デザイン会社の方が多かった記憶があります。
なぜこういった会社は日本にないのか
こういった医療機器の設計やデザインを支援する製品デザイン会社の特徴的な点としては、「Human Factors Engineering」と「UI & UX Design」というExpertiseを分けて記載していることが多いということです。
日本にはこういった会社は殆ど見当たりません。たとえ医療機器のデザインを支援している製品デザイン会社があったとしても、「UI &UX Design」やISO 9241-210の「Human Centered Design」に基づく支援しか謳っていません。なぜならそれしか分からないからです。日本でも「UI &UX Design」を支援できる人は多いのかもしれません。
でも医療機器に求められるのは「Human Factors Engineering」であるということをこういった海外の製品デザイン会社は理解しているのだと思います。なぜならWiklundさんの論文にある通り、米国では過去何十年と医療機器には「Human Factors Engineering」が求められると言われて来たからです。
日本は、その規制が遅れたこともあり、それがきちんと理解されて実践される以前にそこを通り越して現場の細かなニーズ聞きからの開発という医工連携や近年はバイオデザインといったデザイン思考に基づく開発などを推し進めてきました。なのに日本の医療機器産業は輸入超過が続いてきました。米国と日本では辿って来た道も産業構造も異なるのだろうと思います。
以前日本のユーザビリティの専門家とこの医療機器のユーザビリティエンジニアリング規制の話をしたことがありました。その方に「それじゃ戻るようなことになるじゃん。日本ではもう誰も興味ないんじゃない?」と言われたことがありました。本当にそうです。なぜこの規制ができるのが今になってしまったのか。
FDA HFE Guidanceと62366-1規格等で求める「Human Factors Engineering」と一般の世界の「UI &UX Design」の両方をきちんと理解する者であれば、この話が分かるのではないかと思います。
他の安全性が求められる産業界と同じく、リスクマネジメントが求められる医療機器には「Human Factors Engineering」は切っても切り離せないものです。両方重要だということを海外のこういった製品デザイン会社は知っているのだと思います。