「小説:『夢を与える』から不滅の愛を考える」 2020.02.03

・知り合い以上、友達未満の人に、家具と大量の活字(主に小説!)をいただいた。

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・小中学生の時はめっちゃ本読んでたんだけど、だんだん読む数も少なくなってしまっていたのでとても嬉しい。一番最初に、綿矢りさの「夢を与える」を選んだ。私にとって、綿矢りさはラノベ。正味何が評価されてるのかがさーぱりわからん。なんか文体が軽すぎてあまり好きじゃないけど、(東野圭吾もそう。。)今は軽く読める、そういうのが気分だった。

クォーターの少女・夕子がチャイルドモデルとしてのCM出演から国民的アイドルになり、スキャンダルによって転落するまでを描く。執筆期間は約1年半で、それまで中絶した作品がいくつもあったという。芸能プロダクションの関係者に話を聞いたり、大学1年生の時にテレビのスタジオ閲覧に自分で応募して見にいくなどして取材を行なった。 『夢を与える』というタイトルは、「違和感を覚えた言葉」「高飛車な言葉」で、作品中に何度も出てきたことからタイトルに採用したという。

・この作品が発表されたのが2007年だから「スキャンダル」の考え方とスキャンダルの影響って、今とはまったく違うものになったと思うんだけど。
当時のスキャンダルで私の記憶に残っているのは倖田來未さんの「羊水腐る」発言かな。。私は当時アンチ倖田來未だったから(下品で下品だし、下品だったから。あと、私の大好きなSMAPの中で中居くんと熱愛報道が出されたり、慎吾ちゃんとソロデュエット曲出してて嫌いだった。)、2ちゃんでくそみそのフルボッコにされてる彼女をみてスカッとして、学校でワンセグ携帯立ち上げて謝罪記者会見見てプゲラしてるクソガキだった。。笑

・今や、アイドル戦国時代も終末を迎えているけれど、2007年つったら、そんなに若い子が活躍していたイメージないし、熱愛とかですっぱ抜かれて「世間」に叩かれてたっていう記憶があんまりないんだよなー。そういうスキャンダルで記憶に残ってるのは、元AKB峯岸の坊主事件(2013)かなあ。。まあいいやスキャンダルの話は。

・この小説では、
主人公の夕子、母親の幹子、父親のトーマの「愛情の満たされなさ」が全編に渡って一生晴れない霧とか霞のようにおんも〜〜く横たわってる。中学に入学してブレイクしていく夕子と、なぜか反比例するように両親の関係は希薄になっていく。夕子のために一生懸命考えて動いてくれる芸能事務所の社長とマネージャーも、幹子の言う通り「結局は、夕子を商品としか見ていない」し、親類も、夕子の活躍を楽しみにしているけど野次馬根性でしかない。高校生になった夕子はクラスメイトにうまく馴染めない。初めて恋に堕ちたのは、クズダンサー。一方、夫からの愛の不足を埋めるように夕子へ異常な愛の注ぎ方をする幹子。妻のメンヘラ具合に辟易として「友達のような関係」を自称しつつ、母娘に内緒でフランス人の女性と同棲をしている父。。。

・愛と信頼がどれだけ手に入れにくいものか、どれだけ簡単に失われてしまうか。を知らしめられる。

・この物語では、上記のように夕子を中心に様々な関係が生まれる。それは一見、愛情でつながっているように見えるけれど、あっけないほど簡単に失われてしまう。
CMクライアント「スターチーズ」との10年以上の広告塔とクライアントの関係は、お互いの信頼と親愛で成り立っていたが、「熱愛」たったそれだけのスキャンダルで契約が解消される。所属事務所には逸材と推され、社長もマネージャーも本気で夕子を守り、育てていたけど、最後の最後の最後で夕子が裏切ってしまう。関係の終わり。
中学の同級生「多摩」とは特別な感情(それは本当にただの友情だったけれど)を持っていたけど、実家は空き家になってしまっていて本当に彼を欲していたときにはもう会えない存在になってしまう。クズダンサーは、本当に、クズでなんだけど、連絡を心待ちにして、会っている間は幸せで満たされているけど2日くらい経つと愛が足りなくなって会いたくてブルブルシェイキンマイハートなのとか、「わかりみ深〜い」って笑えた。結局、夕子は捨てられる。ジュニアアイドル時代、唯一尊敬していた先輩とも死別。父も密かにマンションを契約して、謎の女と同棲。夫婦関係風前の灯火。

・そうなんよなあ。唯一壊れたり、終わらなかった関係は、母と娘だけなんよなあ。筆者の綿矢りさがどんな家庭環境で育ったかはわからんが、ありがちエンドっていうかね。母の娘への愛情が夫のつれなさの反動もあって、過干渉で、一歩間違えれば親娘関係崩れそうなんだけど、最後まで持ったね。どんだけ夕子がだらしない態度でいようと、母は見放すことができなかった。夕子が言い放った「信頼を失ったら、もう取り戻すことはできない」
この真実の前に何も言えなくなっちゃっただけだけど、これに反論することなく、彼女の芸能生活の終わりを許したのは愛なのかもしれない。

・夕子は、この先自殺するそぶりもなかったからこれからまだまだ長い人生が待っているのに、そこそこのバッドエンドで終わらせるのには意図を感じた。「信頼を失ったら、もう取り戻すことはできない」と、「栄枯盛衰」かなあ。夕子、性格は全然きらびやかな芸能生活に興味も持たず腐ってなくて真面目で純粋だから、浪人して普通の大学に行って、普通の恋愛をして、普通にいい人生を歩んでほしいです!がんばれー。

・読んでる最中は、いろいろ思うことはあったんだけど、忘れちゃったな。てか、なんか、読みにくかったですよね、今回の文章。なんていうか、感想ないのに無理やり絞り出した感じがあるからかも。。。。すみません。まあ、とにかく好きだったのは、夕子がクズダンサーにハマって、生活が堕落して精神を病んでいくとこと、それを周りが愚かだと言ってるのに「好きなんだからしょうがないじゃん!!!!」って恋愛を突き通そうとするとこ。ワシはそういう恋愛脳の人を尊敬と軽蔑をする節がある。

・綿矢りさはすぐ何かと受賞するからいろいろ読んできたけど、まあ、やっぱ浅いってゆーか、ラノベだよね。すぐ読めるから手出しやすいけど、好きじゃないや。かてえのを読みてえ。

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