最初の希死念慮は16歳の冬に訪れた。 「死にたい」という気持ちは容赦がなく、当時の僕はそれをやり過ごす方法も知らなかったから、絶えず襲い来るそれに真っ向から対峙し、浅い眠りの狭間、わずかに差し込む窓からの光を手繰り寄せるように膝を抱えて泣いて過ごした。泣くと少しだけ僕は満足したが、大して持続しなかった。 それは、時と場所を選ばず、ふいにドア口をノックする訪問販売員のごとく僕の心を訪ねてくるのだった。ある時は友人と集まった深夜のファミレスで、ある時は恋人と行った映画館の座席で