ねむれない夜にすいみんくるを(東京都在住30代男性歌人の場合#5)
もうだいぶ前からみんくるの虜である。
東京都に住んでいる方にはおなじみだと思うが、みんくるは、都営バスのマスコットキャラクターである。
みんくるは、愛らしい見た目に反して孤高の存在である。
あの「ゆるキャラ®グランプリ」に不出場なのだ。
ブームにあやかろうなんて寸分も考えないという見た目の愛らしさに反してかなりトガッたやつである。
そんなトガりは、みんくるのホームページでも遺憾なく発揮されており、特にこのぬりえのページがキている。
ぬりえのページの一番はじめに出てくるのだが、色を塗った後にスマホで撮影するとみんくるが立体的に見えるという「トリックアートみんくる」である。
そのあとも、「上級者向けぬりえ」「塗り絵クイズ」「塗り絵ペーパークラフト」と、トリッキーなぬりえが続き、ようやく最後に普通の塗り絵が出てくる。
そんな普通の塗り絵も、
「おうちエクササイズでパワーまんたん♪ 元気いっぱいでも、かけこみ乗車はきけんだよ!」
「みんなでわいわいトランプだ♪ 話足りなくても、バス車内での通話はひかえよう!」
と、よく読むとかなりの剛腕でバスにこじつけるパワープレイが光るコメントが添えられている。
そんなみんくるは、公式YouTubeチャンネルを持っていて、これがかなりヤバい。
特におススメなのは、「すいみんくる」である。
行列を作るみんくるが、羊よろしく柵を越えていくのを数えていく動画なのだが、まず、ずっとでている数を数えるテロップが「みんくるが○人(匹?)」となっている。
みんくるをどのように数えればいいのか。
いわゆるゆるキャラだと、犬や猫などの動物をモチーフにしていたり、名物を擬人化したようなものが多いが、みんくるは、都バスのフロントをデフォルメして誕生している。
そう、みんくるは、バスそのものをデフォルメしたキャラクターなのである。
だとすれば、数え方は「台」、もしくは、キャラクター自体の数え方として「体」のはずである。
しかし、動画では、「人(匹?)」とまったく想像外の数え方を提示してきて、この動画を作った人がみんくるを何だと思ってこのテロップを入れたのか考えていると、全く眠れない。
そして、柵を越えていくみんくるだけでなく、雲に浮かぶみんくるや流れ星に乗っているみんくる、ついにはバス自体が空を飛んでいたり、そうとうカオスなつくりで目が離せない。
あと、この動画は、YouTubeKidsになっている。
さすが都営バスを運営する東京都交通局は公的機関である。
こんなセンスの塊みたいな動画で子供を寝かしつけることで、日本の子供のクリエイティビティを伸ばしている。
そんなことを考えているといつの間にか寝ている。
なので、眠れないあなたに最適である。
なお、残業終わりのバスで乗り過ごしたときの絶望は、シンプルに死にたくなるほどなので、ご自宅でご覧になることをおススメします。