穏やかでアグレッシブな組織づくり~ワークライフバランスと心理的安全性~/micro development inc.【座談会】
ローカルではじめる人を応援する会社、micro development inc.。
一人ひとりが小さな一歩を踏み出すことのできる社会を目指して、空間デザインを軸に、ローカルでの事業立ち上げを伴走支援するプロジェクトコーディネートカンパニーです。
小さな一歩から始め、大きな理想の実現を目指すmicro development inc.(以下、マイクロディベ)は、「働き方」においても理想を実現しようとしています。
そんなマイクロディベの働き方に焦点を当てた座談会を実施しました。
前編の記事では、「都心とローカルの “地域横断”」「複数の組織で働きながら相乗効果を創る “パラレルキャリア”」について掘り下げたところ、それぞれの働き方から、マイクロディベの強みである「橋渡しをすること(=プロジェクトコーディネート)」とその源泉が見えてきました。
前編の記事はこちらからご覧いただけます!
今回の記事は、マイクロディベの働き方を深掘りする座談会の後編。
「仕事と生活(家庭、子育て)を両立する “ワークライフバランス”」「穏やかな雰囲気で、意見を言いやすい “心理的安全性” が高い組織」について掘り下げていきます。
前編に引き続き、インターンの今井寛太がお届けします。
働き方のひとつの選択肢として情報を提供すると同時に、「マイクロディベではどういう人たちが働いているのか」もお伝えできると嬉しいです。
ぜひ最後までお付き合いください!
3.「仕事と生活(家庭、子育て)を両立する “ワークライフバランス”」
座談会前編の記事でもご紹介したように、マイクロディベのコアメンバーは複数の組織に属しながら仕事をしています。さらに、全員が家庭を持っており、守屋さん、荒武さん、門井さんは子育てにも奮闘中。
忙しく仕事に取り組みながら、生活との両立もされている皆さんはどのように取り組んでいるのか、伺いました。
3-1.スタートアップの経営と子育ての両立
守屋さんは、スタートアップの経営と子育ての両立をテーマに取り組んでいるそう。
1歳のお子さんを育てながら働く守屋さんの生活スタイルはこちら。
守屋:「こんな感じだったらまだなんとかなるけど、子どもがなかなか寝付けないことがあって、普段の仕事に余裕を持っておく必要性を感じています。この前は最長で4時間寝ないこともあったから、抱っこしながら仕事するという仏のようなこともしていた(笑)。取り組めていない分を取り戻さないといけないし、仕事が詰まっていると子どもにもバレちゃうので、ゆとりを持ちながら生活しないといけない。
スタートアップの経営と子育ての両立はやってみたいテーマのひとつ。『できない』と思って色々なことを諦めている人もいっぱいいる気がしているけど、諦めずにやっていくことで、子育てしながら働ける社会をつくっていきたいと思っています」
3-2.今の生活は家族の理解がないと成り立たない
同じく子育て中の門井さんは、「仕事と子育ての両立はできると思う。けど、それは奥さんの理解がないと成り立たないな、と感じてる」とのこと。
門井:「しんちゃん(守屋)とは逆で、夜は作業しなくて朝にすることが多いかな。子どもを寝かしつけるのが20時半くらいで、そのまま疲れて一緒に寝ちゃう。3時に起きて仕事をしてそのまま一日稼働するっていう生活をしていて。
保育園の迎えは行くけど、送るのは奥さん。最近は子どもも少し大きくなったし、理解をもらえるようになってきたけど、奥さんの理解がないと、今の生活は成り立っていないかな。時間をかけて両立できるようになってきたと感じています」
3-3.東伊豆町ならではの子育ての仕方
一方、荒武さんは、東伊豆町でできる新しい子育ての仕方を模索中です。
荒武:「うちの子は早生まれで、成長がまだなので、保育園に通わせて同年代の子たちと遊ばせるというよりは、今はうちらで見ながら育てていきたいなと思ってる。
僕らの暮らしではオンもオフもなくて、子育てと仕事との境界が曖昧になってます。というのも、湊庵でやってる業態の宿泊業と飲食業だと、子どもも同じ空間にいながらお客さんをお出迎えできるから。そして、子どもが少ないからこそ、近所のおじいちゃんおばあちゃんたちが面倒を見に来てくれる。
子どもが色々な世代の人たちと触れ合うことができるし、子育てを通して地域と関わることもできる。楽しみながら、このまちならではの新しい子育ての仕方を模索してます。子どもがどんな風に育つのかはまだ分からないけど、子育てしやすい環境だということもこれから発信していけたらな」
守屋:「荒武の『地域を巻き込んで子育てしていく』やり方は本当に面白いなと思ってる。地域と子どもとの関係性っていうのか、向かいのおじいちゃんもすごく来てくれるもんね。うちらの地域では考えられないし」
門井:「うん、ない。この前、そのおじいちゃんが風邪を引いてて、直接は会えないんだけど窓越しにずっと手を振ってくれていたりもした(笑)」
守屋:「子育てと暮らしと仕事が全部密接して良い循環ができているのが、荒武のうまいところだなと感じる」
森本:「うまいよね」
荒武:「本来なら親だけが感じられる子どもの成長を、地域の顔の見える関係者全員で見守っていけるのが、子どもが少ないこのまちだからこそできる、子育てをする上での良いところだな、と感じる。もりけんも会ったときにはあやしてくれるし」
森本:「嫌われてるけどね(笑)」
門井:「顔が怖いから(笑)」
3-4.仕事と私生活との境界
先ほどの荒武さんのお話でも触れられましたが、「仕事と私生活との境界が曖昧になること」もしばしば起こりうる現象です。
働き方が生き方に大きな影響を及ぼし、互いが密接に結びついている中で、その境界をどういう意識で引いているのかについて、皆さんのお話を伺いました。
守屋:「めっちゃ分けたい派で、仕事とプライベートは意識して分けてる。というのも、昔のトラウマから来ていて。
子どものころを田舎で育ったから、プライベートが全部バレていて、監視されているみたいで嫌だなと感じていた。それがあって、暮らしに匿名性が欲しくて東京に住んでる。仕事はオフィシャルな自分としてオープンだけど、プライベートは守りたい」
森本:「プライベートでも仕事のことは考える?」
守屋:「脳内では考えているけど、携帯は見ないようにしてるかな」
門井:「Googleチャットで連絡がくるときは仕事の内容で、LINEで連絡がくるときは友達としてのしんちゃん(守屋)だ、と思ってる(笑)」
守屋:「この前あったワークショップでマインドマップを作ったんだけど、カタカナで『モリヤシンイチ』って書いていることに気付いた。『カタカナモリヤ』は仕事用のキャラとしてブランディングを考えていて、漢字の『守屋真一』は休日のプライベートな自分って感じで、仕事とプライベートはきっぱり分けたい」
森本:「めんどくさそう…(笑)」
門井:「しんちゃんは全部きっちり決めていくのが心地良いタイプだよね」
他方、森本さんと荒武さん、門井さんは仕事と私生活は分けない派のようです。
森本:「いつ仕事のメールが来ても返す。テレビを見てても遊んでても、いつも仕事だと思っているタイプ。何か仕事のヒントがあるんじゃないかと思って過ごしてる。もしかしたらお笑い芸人の間合いからでも仕事に繋がるヒントが得られるかもしれないし」
守屋:「それは分かる。ディズニーランドも、動線とか演出とか考えちゃうから純粋に楽しめない」
森本:「常にそういう感じだから、急にメールが来ても返してる。でも睡眠時間だけは絶対守りたい。プライベート=睡眠(笑)」
荒武:「自分は一時期オンとオフを分けようとしたんだけど、宿泊業をやっているからオフにも電話がかかってくる。それで『休めてない!』ってなるのが嫌になって、起きてるときは仕事、仕事に疲れたらオフ、という感じになった。オフのときに来た連絡は、緊急のものは返すけど、それ以外は保留にさせてもらってる」
そんな荒武さんは娯楽も絞っているそう。
荒武:「根本的に社会に対して批判的な人間だったりする関係で、入ってくる情報によって気分が影響されるのが嫌だから、自分がご機嫌でいられるようにしてる。こんなこと言うと昔はしんちゃんに怒られてたけど(笑)。最近は、仕事はできるように情報も取り入れてる」
3-5.仕事を仕事だと思っていなくて、わくわくがずっと続いている
門井:「ゲームのしすぎで親に怒られるっていうのは子どもの頃のあるあるだけど、最近は、仕事のしすぎで奥さんに怒られることが多い(笑)。だから、いかに仕事をしていない風に見せて仕事をするか、というのがテーマになってる。
あと、最近心がけてるのが、即レスすること。そこから何か仕事に繋がることもあると思うから、通知が来た瞬間に返すようにしてる」
守屋:「門井さんが一番ストイックだよね」
森本:「うん、もともとストイックな人」
門井:「血圧が高くてさ。前職で徹夜で作業していたときも、少し寝て起きたらすぐ100%で仕事できるくらいの元気があって、だから早死にするかもしれない(笑)」
今井:(困惑)
森本:「今井くん困っちゃってるじゃん。でも、みんな根本的に仕事を仕事だと思ってないかも」
守屋:「ゼミとか研究の延長で、今は社会人になってお金をもらえてるって感じだね」
荒武:「感覚は空き家改修プロジェクト(※)のわくわくがずっと続いている感じ。当時から『自分たちのアクションがどのように地域の役に立つか』を考えていたから、それがうまくハマって仕事になった」
守屋:「自分のやりたいことも、目的には、社会が良くなるために、というベースがあるから、社会貢献に近いようなビジネスが大学時代の延長でできている。学生時代の空き家改修も、単位になるわけではなく、やれと言われたわけでもなかったけど、自分たちでやっていく中で充実感もあったし、変わっていくまちや人を見れたのが糧になって、それをずっと継続してる」
森本:「4人ともめちゃくちゃ自己肯定感高い(笑)」
今井:「皆さんの自己肯定感が高いのは元々なのか、色々やっていく中で高くなっていたのか、気になります」
門井:「芝大(=芝浦工業大学)の建築学科あるあるかもしれないけど、協調性が高くて、批評性がないっていう特性があって(笑)。みんなで褒め合いながら盛り上げて行ってたのも理由のひとつかも」
守屋:「あと、みんな小さな成功を積み上げてきていて、それが自信になり、自己肯定感が上がってきた。最初から自信過剰だった訳ではないけど、そんな学生生活を送ってたから、肯定できるようになってきたかな」
4.「穏やかな雰囲気で、意見を言いやすい “心理的安全性” が高い組織」
マイクロディベの大きな特徴のひとつとして挙げられるのが、穏やかで、発言しやすい組織の雰囲気。守屋さんとの定例の広報ミーティングでも、意見の言いやすさを実感しています。
この章では、「心理的安全性の高さ」とも表せそうな組織風土を生み出すカルチャーについて伺います。
…と意気込みつつ、当初20分で予定していたパートを終えた時点で1時間経過…!想像以上の盛り上がりの中、時間には限りがあるので以降テンポを上げていきます(自分のタイムマネジメントの課題が見えてきました)。
4-1.みんながポジティブな原動力で動けるようにしたい
森本:「しんちゃんがすごい気を遣っているよ。みんなが発言しやすいようにって、態度が悪かったら怒られる(笑)。びっくりマークつけてとか、ちゃんと返信してあげてとか。テクニックをしんちゃんから教えてもらってる。
基本的には、『言いたいことを言い合いましょうよ』っていう目的意識が共有できているから、それをみんなでフラットな関係でやっていけるように心がけてるって感じかな」
守屋:「学生時代も、先生がいない中でフラットにアイデアを出し合って決めていってた。プロジェクトがどう成功するかを大事にしているから、変な社内政治とかはないようにしたい」
森本:「アウトプットが面白ければOKって感じ」
守屋:「基本ポジティブで、あまりネガティブな発言はないね。『怒られないように』というネガティブな原動力より、『めっちゃ楽しい!もっとこうしたら良いんじゃないか』というポジティブな原動力の方がパフォーマンスは上がると思っているから、みんながポジティブな発言ができるような環境を作りたい」
4-2.働く上で大切にしていること
門井:「丁寧に仕事をする。仕事でも全て積み重ねで、一回崩れたら元に戻すのは大変だから、常に丁寧に、と心がけてる」
荒武:「最初の質問(座談会前編にて)でも触れてたけど、複数のプロジェクトを並行して進めていく中で、色々なアイデアをストックとして引き出しに入れて、他のところでも何かと結びつけられないかな、というのを意識してます。引き出しを開けつつ、それぞれのプロジェクトをもっと面白くしていきたい、と考えながらやってるかな」
森本:「社会価値と利益を追い求められるように、という意識でやってます。以上!(笑)」
守屋:「最適化。人のパフォーマンスを伸ばせるように、基本的にはプロデュース視点を持ってやってる。誰がどんな仕事をすると力を発揮できるのかとか、この子が活きる場所を作ろうとか、この仕事はこういう風にやったらもっと良くなるんじゃないかとかをすごく考えてる」
4-3.どんなモチベーションで働いているか
守屋:「一緒に働いてくれる人が一番大事。自分たちのチームも、クライアントも、お客さんも。みんなが幸せになることを意識してやってる。
基本ずっと『文化祭マインド』で、プレイヤーも楽しい、お客さんも楽しい、まちにも賑わいが生まれる。そんな場を作りたいなと思ってます」
門井:「このまちにどんな価値を提供できるんだろうか、を大切にしてる。それぞれの経験、スキル、人との繋がりから、どんな価値を生み出せるのか、追求していきたい」
森本:「迷ったら面白い方を選べると良いな、と思ってる。色々やってると、会社を守らないといけないこととかもあるけど、最後はポジティブな方でやれると良いなと思ってます」
荒武:「しんちゃん(守屋)と似ていて、関わる人みんなでより豊かに、より高みへいけるような関係性を作っていきたい。僕はまちが主語になりがちなんだけど、まち全体で上がっていけるような仕事をしていけたら良いな、と思いながら生きてます」
5.おわりに
読者へのメッセージ
最後に、記事を読んでくださっているあなたへ、守屋さんからメッセージをいただきました。
守屋:「『ローカルではじめるなら。』というキャッチコピーが気に入っていて、はじめられる人が増えると良いな、と思っています。それが自分たちの存在意義でもある。
友達の中でも、こういうのやりたいと思っているけど諦めている人はいっぱいて。本人にとっても、社会にとってもそれで良いのかな、と思ってる。だから、もっといろんな人が、もっと簡単にはじめられる社会をつくりたい。
『プロジェクトコーディネートカンパニー』というのは、何かをはじめるみなさんと伴走していく会社です。何かをはじめたい人はぜひ、相談してください。一緒にやりましょう!」
まとめ:根本にあるのは「楽しい!」という気持ち
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
メンバーの働き方を知りつつ、それぞれのキャラクターも伝わる、とても中身が濃い座談会になったのでは、と感じています。
終始穏やかな雰囲気で進みながらも、背景に莫大なエネルギー(=「アグレッシブさ」)を感じるお話をたくさんしていただきました。
仕事と生活の両立が大変なのは事実だけれど、本気で楽しめることを仕事にしている(かつ、それを社会にとっての利益にうまく繋げられている)からこそ、大きなエネルギーが生まれ、両立を実現することができているし、お互いが働きやすく良い仕事ができるように、という意識も生まれているのだな、と感じました。楽しそうに話してくださった皆さんは、自分がかっこいいなと思う大人像と重なっていました。
何かやってみたい!と思っている方。
それほどパッションタイプではないけど、実ははじめたいことがある方。
ぜひ一度お話しましょう🙌WEBサイトの「CONTACT」からお待ちしております!
マイクロディベでは、以下のSNSで活動を発信しています。
こちらもご覧いただけると嬉しいです!
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〇micro development inc. WEBサイト
おまけ:守屋さんのきっちり話
本編に入れるとあまりにも大ボリュームになってしまうため省略していた「守屋さんのきっちり話」をここでご紹介。
門井さんの「しんちゃんは全部きっちり決めていくのが心地良いタイプだよね」から、学生時代のスケジュール帳の話に。
守屋さんはスケジュール帳を全部黒くするのがお好きなようで、それは浪人時代の経験から来ているみたいです。
守屋:「大学受験で浪人してたとき、1年があっという間に過ぎてしまったことに恐怖を感じて。『人の3倍生きよう』と思った。
課題も、バイトも、サークルも、全部できるだけやろうとしたんだけど、キャパオーバーしてしまった。もっとやり方の改善をしていこうとして、速く書けるように文字の書き方を変えたり、座談会前編でも触れた『超効率化』を図ったりした。そうやって頑張っている自分が好きなのかも。
今は33歳になり(2023年8月時点)、自分の効率化の限界が来たな、と感じていて、もっとやっていくには仲間が必要だと思って、この会社を作った」
とても楽しそうに話される守屋さんと、ざわつく会場の対比が面白かったです。
おまけまでお読みくださったみなさん、本当にありがとうございます!
今後もマイクロディベの想いなどを発信していけたらなと思います。
引き続き、よろしくお願いします。