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純粋な眼をしていると言われた。心外である。歪な色をした血を持ち、汚れ汚されながら生きて…
夢のなかで天使に逢ってからというもの、私は少しだけ変わったような気がする。別に聖者にな…
日曜日の朝に立ち寄った湖には大小さまざまな魚がたくさん泳いでいたが、わたしの目には美し…
鳥たちに嫉妬しながら、あの日、私は練習場の隅で一人泣いていた。中央で騒ぐ人々を尻目に、…
「琥珀色の龍のあざなんて見たことがない」 聖が最初に口にした言葉だった。 娘の由架が悲…
あの夏、私たちは祖母の家に集まっていた。たまにしか逢えない従兄弟たちを含めた顔ぶれは今…
生い茂った草原のなかでの出来事だった。軽く散歩するつもりが、緑、青、赤、紫などの花々が花粉症を悪化させてきたのだ。大きなくしゃみを繰り返しながら涙を拭いていると、Tが隣から茶化してくる。哀しそうに見つめるとTは「ごめん」と言ってすごすごと遠ざかっていった。本当は傍にいて欲しかったのに…… 身体に突き刺さる青い空気。曇り空であるが故に影を写さない緑の地。突如、頭上に気配を感じて、ふと空を見上げると色鮮やかな小鳥たちがくるくると弧を描くように飛んでいる。こんなにもわたしは色彩