大川原脩平「おどった」(滞在5日目)
▼早朝極寒ウォーキング
今日の踊りに備えて三嶋大社にお参りし、修行と稽古がてら早朝の極寒耐久ウォーキングを試みる。うそです。みしま未来研究所の國原さんに「散歩しませんか?」と誘われてほいほいついてきただけのやつ。5時起床。0.4℃。集合場所に着いたら30人くらい人がたむろしていて帰ろうかと思った。たくさんの人、こわい。
それにしてもみんな歩くことが好きすぎる。5時30分に集まってから2時間くらい歩きっぱなしの喋りっぱなし。人間のエネルギーはすごい。私は寒さで眼鏡がずっと曇っていて、いっさい何も見えないままさまよい歩いた。きっと素敵な景色がたくさんあったんだろう。前を歩いていた人の尻しか記憶にないけど。これだけ散歩の達人がいれば、三島のまちの未来は明るい。散歩がすべて。すべては散歩。
▼おどった
とにかく踊った。
昨日とつぜん踊ることが決まったのに、何人かお客さんが来てくれている。みんな頭がおかしい。暇なんだろうか、せっかくの日曜日に。踊るということより、踊ってみるということ。作品ではなく、行為として、関係としてやってみるということ。踊りは何も生み出さないし、単なるエネルギーの発露に過ぎないという見方もできる。それは事実で、だからこそやるべきなのだ。それによって何かが引き起こされるということもない。ない、というより、期待しない。ただ自分自身の体の状態だけがあり、いつでもそれを確かめる。何度でも、何度でも確かめる。自分の体の輪郭をなぞり、呼吸を感じて、生きていることを肯定する。
作品を作らなくなって久しい。人に見せる形式としての作品にはもはや興味が持てなくなっている。私は踊ることをやるし、あらゆるプロジェクトは勃発し、継続していく。それに「作品」や「アート」といった名前を冠する必要を特に感じない。とにかく、目の前の出来事に真摯でありたい。本当にそれだけが大事なことだと思う。
▼おどったんだよ
今日は踊ったので、踊り手にとってそれ以上のことはなかなか無い。たくさん歩いたし、人に会っていろいろなご縁をいただいた。一つ一つがとても大切な出来事だけど、踊りにまさることがそうそうあるならば私はもう踊ることなどできないだろう。今日は踊った。