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シリーズBまでの3か月で組織課題あるあるを解決した5つの取り組み
こんにちは!Micoworksの採用チームです。
日々note記事のためメンバーにインタビューをし、成長環境の秘訣や業務について聞くと、皆揃ってMicoworksのバリューを口にします。
「アジアNo.1を目指していて」「常に成果をWOWで返すため」「OPEN MINDを掲げているんです」。
これはメンバーひとりひとりがバリューやカルチャーを大事にし、地盤として根付いた確固たるものになっているからだと感じます。
しかし、以前は組織サーベイのスコアが低く、カルチャーが好きか?制度に納得感はあるか?の回答が理想的な状態とは言い難い結果でした。
当時はシリーズAから数か月後、80名規模の組織。成長に課題はつきものではありますが、この組織状態でシリーズBの調達・更なる急成長は望めないと、組織の改革プロジェクトを実施し、冒頭のような現在のMicoworksを作り上げました。
組織サーベイのスコアが大幅に改善され、現在180名を超えるメンバーが同じ方向を向いているのは、このプロジェクトによる団結があったためです。
本記事では、3か月でこのプロジェクトを牽引した人事2名にインタビューし、組織課題改善のために行った施策の詳細を語っていただきます。
徳永 綾乃
人材戦略部 採用・カルチャーチーム Manager
新卒でファーストリテイリングに入社。その後IT、エアモビリティ関連のスタートアップで採用を中心としたHR領域全般を経験。2022年9月にMicoworksへ入社。中途採用や新卒採用、カルチャー醸成のプロジェクトを責任者として牽引し、現在に至る。
髙野 優
人材戦略部 組織人事チーム Senior Manager
新卒からの7年間は、デロイト等のコンサルティングファームに所属し、セールス兼コンサルタントとしてHR及びFinance領域を経験。その後、グリーに入社し、人事企画を中心としたHR領域全般を経験。2022年12月にMicoworksへ入社。制度設計や組織開発のプロジェクトを責任者として牽引し、現在に至る。
組織課題あるあるに直面、全メンバー1on1から着手
ー まず、当時の組織の状態と認識していた課題はどんなものだったのでしょうか。
徳永:顕在的になっていた課題だけで以下のようなものがありました。
メンバーの定着率に低下の兆しが見えていた
サーベイ数値が伸びているスタートアップと比較した際に低い
リモートワークが影響し、社員同士のコミュニケーション量が減り関係が希薄化していた
なんとなく社員の士気が低下している雰囲気があり、Valueの体現度が下がっていた
シリーズAからシリーズBへ組織フェーズが変わる中で起こりがちな、いわゆる「あるあるの組織課題」が満載の状態に陥っていたと思います。
メンバーが組織のことを自分ごとで捉えておらず、一体感の無い空気感がありました。
ーどのような要因から引き起こっていると考えていましたか?
高野:大きく3点あると考えていました。
要因1:バリュー・カルチャーへの腹落ち不足と未浸透
要因2:制度に対する納得感の不足
要因3:採用のミスマッチ
高野:当時は、組織規模を2段階、3段階と飛躍的に上げていくタイミングで、これまでのようなトップから発信していくだけのトップダウン型でコミュニケーションを取っていた形では、組織をまとめ上げつつ成長していくのは厳しいと感じていました。
それがサーベイの数値になって現れたのが、シリーズAの調達後からしばらく経ったタイミングでした。
徳永:組織サーベイを導入したのが2022年4月、シリーズAの調達直後のタイミングですね。シリーズA直後の数値は良好でしたが、その後徐々に悪化していきました。2023年12月のシリーズB調達に向けて走っている中での変化でした。
ー 当然、チームの空気感も今とは違うものでしたよね。
徳永:そうですね。今と全然違いますね。
高野:入社後の活躍に悩んでいる社員もいましたし、社内のコミュニケーションも今ほど活発な印象はありませんでした。組織として立て直しが必要と感じていましたね。
ー むしろ今は一体感を感じる、真逆の状態のように思います。
徳永:解決に向けて動こうにも、そもそも何がどうしてこうなっているのか分からずでした。なので、まずは私と高野さんで全社員を対象とした1on1を実施し社員の皆さんが考えている事や感じている事を知りにいくことからはじめました。
高野:やりましたね。2人で80名を対象に、2週間で。
ー 強行スケジュールですね。
徳永:結果としては実施した甲斐がありました。社員が会社に対してどんな思いを抱いているのか知ることができましたし、課題が明確になりました。結果、実質的な不満に対処することよりも、カルチャー面で統制を執る必要があるという重要な点に気づけました。
高野:私たち人事が入社して日が浅いタイミングでもあったので、お互いを知るきっかけとなったのも、副次的ですが良い効果でした。
シンプルなことを数多く徹底する、5つの施策
ここから、課題の要因ひとつひとつに対してアクションを行っていきました。実施したのは主に、以下の5つです。
1.採用見極めの強化
2.オンボーディングのリニューアル
3.Micoworksの目指す姿を再定義
4.納得感と透明性ある人事制度に改定
5.オフラインコミュニケーションの強化
施策1:採用見極めの強化
徳永:まず入口となる採用で、スキルマッチとカルチャーフィットの見極め基準を明確にしました。
これまでは判断基準があいまいな状態だったので、あらためてポジションごとの要件を言語化し、明確な要件定義を設定しました。
同時に選考フローもブラッシュアップしています。優秀な方を逃さないようアトラクト時の内容整備とコミュニケーションレベルの向上、リファレンスチェックを導入して客観的情報を取得し、合否決定の判断材料を増やしました。
面接官の感覚で合否を独断せず、複数人で共通認識を持った上で議論してジャッジができるような意思決定スタイルに変えたのも良い影響があったと思います。
なによりも、代表の山田さんを中心に経営チームが採用にコミットして時間を投下し、求職者の方と徹底的に向き合い続けたのも採用を強化できた大きな要因です。
施策2:オンボーディングのリニューアル
高野:採用面ではカルチャーマッチを重視していたものの、入社後にみえてくるギャップやわずかな認識のズレはどうしても生じてしまいます。なので、オンボーディングはそれを前提とした仕組みづくりが重要と考え、『オンボーディング評価制度』を導入しました。
この制度では、入社時点で自身のグレードとその要件定義が明文化されています。入社した人に求めることを明確にし、試用期間を通して評価とフィードバックを繰り返すことで、互いの期待値ギャップを減らせます。
ポイントは、要件定義が階層だけではなく、職種やひとりひとりの状況に応じたカスタマイズがなされていることです。かなり細かい粒度で準備されているので、すり合わせや伝達の機会が最大限機能し、シームレスなワークと、パフォーマンス向上に貢献する仕組みにできたと感じています。
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施策3:Micoworksの目指す姿を再定義
徳永:当時のMicoworksは正直、チームというよりも、ハイパフォーマー集団のような雰囲気でした。一体となり目的達成をすることよりも、個々が成果を出すことに焦点が当たっているような印象ですね。
なので、まずはこのチームに所属することの価値を感じてもらうおうと、Micoworksは何を大事にして、何を目指していくのかを明確にすることが必要と考えました。
経営陣と時間をかけてとことん議論し、現在のMission・Vision・Value(MVV)を明文化しました。
その中で、誰よりも経営陣がValueを体現している存在にならない限り絶対に浸透しないよね、という気づきも得ました。でないとメンバーも納得感を持って取り組めないよね、と。経営陣がカルチャー浸透を牽引することにコミットしたきっかけでもあります。
そこから、経営チームがあらゆる場面でMVVを口にすることが爆発的に増えましたね。
施策4:納得感と透明性ある人事制度へ改定
高野:次に、人事制度を組織状況にフィットする形に見直しました。まず、評価制度にはバリュー評価を追加しました。パフォーマンス評価と2軸にすることでバリューへの意識を根付かせる狙いです。
次に、報酬水準の見直しを実施しました。給与の中央値、水準となる額を市場から見て優位な額面に合わせることで、全体のレンジの幅を調整しました。同時に賞与制度も導入し、報酬に天井が見えないような枠組みにしています。これは、世界を相手にして勝てる人材を確保するという意思のあらわれでもあります。
ただ、この記事が出る2024年春には、バリュー評価軸は人事評価からいったん外すことになっています。人事評価に取り込むことで、一定以上の効果が見られたため、施策としては役目を終えた形ですね。
仕組みや制度は状況に合わせてアップデートを続けることが重要と考えています。
施策5:オフラインコミュニケーションの強化
徳永:Micoworksは拠点が複数あり、また、リモートワークも取り入れていることからオンラインでのコミュニケーションが多くなりがちです。そのため当時は、カジュアルな声がけや雑談が減少しており、組織の一体感が出ないことのひとつの要因になっていました。
そこで、月に1回大阪と東京それぞれに社員が集まる場を設けました。そこでは、テーマを決めてディスカッションしたり、ワークショップを開催したり……。
事業部を超えてコミュニケーションを取れるようになり、業務以外の会話が生まれました。すると、ちょっとした依頼がしやすくなったり仕事がスムーズに進んだり、業務における好影響が出てくるんですよね。
はじめはわざわざ出向くことに抵抗感が無かったわけではないと思うのですが、やはり参加すると楽しい、という声が聞こえますね。
高野:これは社員の満足度も高かったですよね。社内の雰囲気にも好影響があったと感じます。
徳永:そうですね。特に新しく入社したメンバーが早期に溶け込めるなど、チームビルディング的に良い面も多かったと思います。
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肝は経営陣が誰よりもコミットすること
ー こうして振り返ると、ひとつひとつの施策は案外シンプルですね。
徳永:はい。意外性のあることやウルトラC的な取り組みはなく、シンプルな内容ですが、課題に対しての共通認識を持ちやるべきことを徹底したというのが改善に至った要因だと思っています。
改めて組織課題に対して話し合ってみると、それぞれが課題に思っていることが違うことも良くあります。
高野:課題と要因の特定をし、適切な施策ができたということでもありますよね。経営陣が特に徹底的にコミットして取り組んだというのも大きいですね。
徳永:特にValueの体現とビジョンの定着にはかなりパワーを割いていました。
Micoworksとしては、Valueは経営メンバー自身が一番体現し牽引するものと考えています。自分たちが一番Valueを理解し、表現し、その上でメンバーにフィードバックをしていく存在であろう、と。
Manager以上のメンバーが全員参加するミーティング時は、必ずMVVやマネジメントの約束事項を冒頭で読み合わせたりしています。なんだかアナログですが、これが効果的な習慣だと実感しています。
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徳永:また、経営チームからMVVに関する発信を爆発的に増やしました。朝会や毎月の総会はもちろん、ミーティングや業務中、あらゆる場所で「アジアNo.1」「WOW THE CUSTOMER」を伝えていきました。
そして、バリューと社員を紐づけて伝える取り組みも行っています。
例えば、毎週の朝会では、経営チームからValueを体現した社員とその実績を紹介しています。どの行動が、どうバリューに沿っていて、どの部分にどう寄与しているのか説明をセットにして伝えることで、Value体現とは何かの理解が進むようになったと感じています。
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ー まずはValueの意味を理解することが重要ですよね。
高野:組織が大きくなるにつれて代表との距離がひらいてしまっている、という声もあったので、経営メンバーとのコミュニケーションを取る場も大事にしています。
徳永:山田さんが毎月開催する「フィジカルランチ・ディナー」という会でカジュアルに会話をしたり、社内ラジオの「ミコラジオ」では山田さんがパーソナリティーを務めメンバーと大阪の会社らしいラフなトークを繰り広げたり。
メンバーが運営する「そこまで言って委員会」ではメンバーの本音を経営メンバーにぶつけています。ストックオプションはどうなっているんですか?と突っ込んだ内容をコミカルに資料にまとめたりして。
ー 一般的には言いにくいような内容も取り上げられますよね。
高野:Micoworksはバリューに「OPEN MIND」を掲げています。気になることは相手への敬意を忘れず遠慮せずに伝え、話し合っていくことを大事にしています。その現れですね。
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次は「300人の壁」アップデートを見据えて
ー ここまで行った改革を経て、お2人の目から見た今のMicoworksはどんな状態でしょうか?
徳永:Micoworksのカルチャーで特徴的なのは、フィードバックが活発な文化ということです。
会社が掲げる目標を達成するには、社員一人ひとりが圧倒的な成長を遂げる必要があります。この想いが強い人が多いあらわれだと思います。
これにより会社がどんどん成長しているのを実感していますし、このカルチャーによってチームに一体感が生まれている状態です。
高野:全面的に同意です。
加えるなら、経営層との距離の近さを今のMicoworksに感じますね。なので、現場の意見が伝わりやすく、経営判断にも反映されやすい状態です。
するとそれが会社の風土に直結する。自分のアクションがダイレクトに会社を作っている実感が得られるんですよね。そうすると自然と「会社をこうしていきたい」と自分ごとに考えるようになってきます。
ー お2人のコメントから、冒頭の課題からは抜けた状態ということを感じます。
徳永:今このフェーズですべきことはできたと感じます。2024年には300名の組織を目指しているので、課題はどんどん出てくると思います。更にグローバルでの採用活動も強化しているので、グローバル化していく組織に対する取り組みも必要になります。都度根気よく向き合っていくのみですね!
高野:環境・雰囲気ともに上向きの状態です。事業スピードが上がり、新しいメンバーもどんどん入ってくる。会社が成長している実感はメンバー個人のエンゲージメントにも反映されていると思います。
同じく今後も、課題と要因の特定、適切な施策と凡事徹底をしなくてはという思いです。
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