人からヒトへと遡行する
夜のテンションとは意外と大事なものである。
働いて疲れて、へとへとになって帰って早々、ベッドにダイブする瞬間。その瞬間に湧き上がってきた欲望こそ、近頃のわたしにとってもっとも足りないものだから。
とにかく風呂を済ませて寝たい、よりも早くに誰かの顔が浮かんだならば、考える前に連絡をしたほうが良い。
久しぶりとか一切気にせず、向こうにしたら唐突すぎる「今度ごはんでも行きません?」。気軽に電話ができる仲なら、出るかはともかく試しにかけてみるのも良い。
お腹の虫が甘いナニカを所望している。だったら気が済み、我に返って「もう良いや」と飽きが来るまで食べていたい。
皮下に脂肪をためることより、心に疲れをとどめたまんまで頑張るほうが問題だ。ちょっと悪さをした気になりつつ、スッキリ開き直ったくらいがちょうど良い。
もちろん、もっと贅沢な欲求でも同じこと。ライブ行きたい、今からムダ毛の処理とか絶対やりたくないから全身脱毛始めたい。どちらもわたしの実体験で、どちらもしっかり遂行している。
これは「思い立ったが吉日」のほうが近いかもしれない。だがほんの少しも後悔をしたことはない。ひとりの時間にふとたどり着く夜のテンション、意外とすみに置けない存在。
何であっても疲労がいきすぎ、1周まわってハイになっている状態だ。そこでぽっこり顔を出してくる感情たちは、いつでもヒトの本能である。
心を満たしたい、隣を満たしたい、腹を満たしたい、あるいは身体を満たしたい。どれも素直に従うほうが、少なくとも明日の自分のためにはなる。
「理性ぽっちで生きてくなんて、甚だつまらないもんね」と、いつかのわたしが毎度の如くに背中を押す。
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