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【感想】映画『教皇選挙』(ネタばれ)
日本での公開はこれからですが、旧正月でシンガポールに行った際に公開されていたので観てきました!
BAFTA(イギリスのアカデミー賞)を受賞して、アカデミー賞にもノミネートされている作品です。英語の原題は「Conclave(コンクレイヴ)」。
日本語のタイトルの通り、ローマ教皇を選ぶ選挙という意味の単語のよう。
ちょうど最近ローマ教皇が肺炎を患ったというニュースを聞いたときに、この映画のことを思い出していました。
端的に言えば、すごくよかった!こういう映画大好き。
実力派のいぶし銀のようなベテラン俳優たちの演技で、派手なことはないのですが、信心の葛藤とか派閥の争いとかがギュッと詰まっている。
監督は『西部戦線異状なし』のエドワード・ベルガー、この映画Netflixで配信されてたけど、画が完璧に映画館で見る映画だった。雄大でゆったり静かだけど、下でふつふつ沸き立つパワーが伝わってくるような画でした。
ちょっとシン・レッド・ラインに似てるかな、あんなに緩くないけど。
そして、今回の映画『教皇選挙』では、セリフの言語が複数出てくるも、さらっと英語、ラテン語、イタリア語、スペイン語などを解するマルチリンガルな聖職者達に「そうだ、この人たちとてもインテリなのだった」と感心してました。
作品の中の個人的MVPはテデスコ。
でもどのキャラクターもとてもよく描かれている。迷いもがく人、自分のアイディアに自信を持てない人、すごく偏ったことを自信満々にいう人、皆どこかいびつで、でもそこがいい!
風の時代とか言って、今まで崩れることなど想像もできなかった権威が揺らいできている世相を反映するようなシーンもありました。
外界からは長く鎖国状態にあったであろう、宗教界の頂点ももはや世間の流れからは切り離されるということはないのだろうと。
最後はちょっとサプライズがあるけど、やっぱり教皇は最初から8手先を呼んでいたのね、という幕引きでした。
劇中の衣装もとってもきれい、Production designも素敵。
渋すぎてアカデミー賞は取らない気がする。。。
でもそんなの関係なく映画館で見るべき素晴らしい映画。