森を守る?カップヌードルのカップに新しいマークを発見!このRSPOとは一体何だろう!?
1.カップヌードルにRSPO認証マークが。。。
先日、友人のSNS投稿を見て、カップヌードルのパッケージに「RSPO認証マーク」が付いていることを知りました。
でも、最近食べたカップヌードル カレーには確か付いていなかったぞ Σ(・□・;)!
ということで、その真相を調べるために、早速買ってきました。やっぱり♬(笑)
下の写真のように、「RSPO認証マーク」は、カップヌードルに付いているけど、同カレーには付いていないことが分りました。
2.そもそも「RSPO認証マーク」とは
RSPOとは、「Roundtable on Sustainable Palm Oil」 の略で、日本語では、「持続可能なパーム油のための円卓会議」と訳されています。
このRSPOは国際的な認証基準を策定することで、パーム油の生産が熱帯雨林やそこに生息する生物の多様性、森林に依存する人々の生活に深刻な悪影響を及ぼさないようにすることを目指しています。
カップヌードルのようにRSPO認証マークが付いた商品は、このRSPOの認証基準を満たした持続可能なパーム由来原料を使用した、またはその生産に貢献した商品であることを示しています。
日清食品のホームページ(↓参照)によると、「カップヌードル」を作る全工場で、環境と社会に配慮した「RSPO認証パーム油」を2020年2月から使用開始しているとのことでした。
3.パーム油は、一体何に使われているのか
パーム油は、日本ではアブラヤシと呼ばれており、世界で一番多く使用されている植物油です。スーパーに並ぶ商品の約半分に使われているとも言われています。
例えば、食品ではパン、ポテトチップス等の加工食品に、その他にも食器・洗剤・掃除用の洗剤、シャンプー、石鹸にも使用されています。
食品の原料としては、「植物油」「植物油脂」「ショートニング」「マーガリン」と呼ばれ、洗剤等の原料としては、「グリセリン」「界面活性剤」と呼ばれています。
但し、例えば「植物油」とか「界面活性剤」と呼ばれている原料でも、それが、パーム油から製造されているかどうかは分からないという点もあります。
このパーム油は主にマレーシアやインドネシア等の東南アジアで生産されていますが、
・農園の開拓のために熱帯雨林が破壊されること
・野生動物からすみかや植物、命を奪うこと
・熱帯雨林周辺で二酸化炭素を蓄えている泥炭地の開発や人為的火災で二酸化炭素が放出され地球温暖化に影響を及ぼすこと
・開発に伴う人権侵害
・農園での劣悪な労働環境
等の問題があると言われています。
RSPO認証マークを付けた商品は、これらの問題に対処するための基準に従ったパーム油を使用しているということです。
4.自分なりにいろいろな疑問を推察してみた
カップヌードルにRSPO認証マークが付いているのを見つけ、RSPOやRSPO認証マークについて、本当に簡単に説明してみました。
でも、ここで、2つの疑問が出てきました。
❶カップヌードルが、なぜ、認知度が1%程度だと言われている「RSPO認証マーク」を付けた商品を発売しているのか。
❷なぜ、カップヌードルには、認証マークが付いているが、同カレーには付いていないのか。
この2つについて、私なりに推察してみました(日清食品さん、間違っていたら御免なさい m(__)m)。
■まず❶については、これは、東京オリンピックに向けた対応ではなかったかということです。
パーム油による森林破壊等の問題は、特に欧米では非常に関心が高くなっています。日本は、欧米と比べると、このパーム油の問題には、明らかに遅れを取っていました。
国際的にも日本が注目される東京オリンピックで、日本の企業もきっちりパーム油の問題に対応しているということを示す意味合いがあったのだと思います。
日本人には、このマークは馴染みがなくても、欧米の人達はよく知っています。日本に来て、カップヌードルを手に取った時、RSPO認証マークに気付いてもらうことは、非常に重要なことだと思います。
日清食品は東京オリンピックのオフィシャルパートナーということもあり、RSPOへの対応が他社よりも、進んでいたのではないでしょうか。
こういう切っ掛けで、企業が環境問題に立ち向かっていくのは、非常にいいことだと思います。そういう意味で日清食品のカップヌードルの対応は素晴らしいです。
■次に❷について、それでは、なぜカップヌードル カレーにはRSPO認証マークが付いていないのか。
これは、RSPO認証のパーム油の供給量確保の問題ではないかと思います。
認証パーム油は、世界的に供給量が限られており、取り合いになっています。
そのため、日清食品としても年間使用予定量は確保していると思いますが、万が一、供給量が少なくなったり、カップヌードルの販売量が急増した場合、十分な量の認証原料がなくて全ての商品でRSPO認証マークを付けられなくなる場合を想定しているのではないでしょうか。
そのため、メインのカップヌードルの分は、確実に供給量を確保し、他の商品は基本的には、RSPO認証パーム油を使用するが、緊急の事態に備えて、商品にはマークを付けないということなのでしょうか。
5.ロッテも生産地支援に
ちょうど昨日(1月17日)の日本経済新聞 朝刊にも、同じような事例が掲載されていましたので紹介します。
ロッテは、チョコレート原料の供給に関して、環境や人権に配慮したサプライチェーンを構築しようとしているようです。
↓有料会員限定:ロッテ、チョコ会社を買収 生産地支援の供給網に
企業は最近、投資家や消費者から環境や人権に配慮した供給網が求められるようになっているとのこと。
そのため、ロッテはチョコレート製造販売のDari K(ダリケー、京都市)を買収するようです。
このDari Kは、インドネシアの農家を技術面で支援しており、ロッテはこの調達網を生かして、今後、環境や人権に配慮したサプライチェーンの構築につなげていくということです。
6.まとめ
❶カップヌードルに「RSPO認証マーク」が付いていることを発見
❷RSPOとは、日本語で「持続可能なパーム油のための円卓会議」と呼ばれ、国際的な認証基準を策定し、パーム油の生産が熱帯雨林やそこに生息する生物の多様性、森林に依存する人々の生活に深刻な悪影響を及ぼさないようにすることを目指している。
❸RSPOは、日本では、まだ認知度も低いが、日清食品は、世界の注目が日本に向けられる2020年の東京オリンピックまでに、RSPO認証マーク商品を出そうとしていたのではないだろうか。
❹日本でも、漸く企業が原材料の環境や人権等まで配慮するようになってきた。
❺昨日(1/17)の日経新聞でもロッテが環境や人権に配慮した供給網を開拓しようとしているという記事が掲載された。
今後、日清食品やロッテのような環境や人権に対する動きが、日本企業にも急加速していく予感がします。