PDCAサイクルとOODAループ【前編】: 「PDCAサイクル」は、既に通用しない手法なのか?
これまでに、「PDCAサイクル」と「OODA(ウーダ)ループ」について、いくつか投稿して来ました。
↓ 以下にそれぞれのマガジンのリンクを貼っておきます。気になる投稿があれば、是非、ご覧下さい。
本日の投稿では、再度、「PDCAサイクル」と「OODA(ウーダ)ループ」について、簡単に説明します。
そして次回の投稿で、最近巷でよく言われているように「PDCAサイクル」は本当に既に通用しない手法なのかについて、言及したいと思います。
1. PDCAサイクル
1-1)PDCAサイクルを理解して使い込んでいる人は意外と少ない!
「PDCAサイクル」は、もともと1950年代にアメリカのデミング博士が提唱した「品質改善の手法」です。
現在では、多くの企業が「品質改善」はもとより、「目標達成」「業務改善」「業務効率化」等を継続的に促すマネジメント手法として活用しています。
「PDCAサイクル」は、もともと「品質改善の手法」なので、基本的に「あるべき姿(品質なら目標範囲)」を明確にした上で、そこに収束させるための仕組みということになります。
1-2)PDCAサイクルの4つのステップ
「PDCAサイクル」の「PDCA」とは、「Plan」、「Do」、「Check」、「Act」の4つの頭文字を取ったものです。
日本語にすると「計画」、「実行」、「評価」、「改善」がいいと思います。
所説あるとは思いますが、私は、Aは「Action」ではなく「Act」にすべきだと考えています。
なぜならば、「Do」は明らかに動詞であることと、「Action」とすると、どうしても「活動」と訳してしまい、「Do」の「実行」との違いが分からなくなるからです。
注)辞書には「Act」の和訳で「改善」という単語は、多分載っていないと思います。どちらかと言うと「処置」の意訳で「改善」としています。
「PDCA」の後に「サイクル」という言葉が付いていますが、実はこれが重要です。
「PDCAサイクル」は、何度も何度も回さなきゃ意味がないんです。「PDCA」はできている人はいても、「PDCAサイクル」ができている人が少ない所以です。
つまり、「PDCAサイクル」はしっかり「Act(改善)」して、「サイクル(何度も回すこと)」が最も重要です。
2. OODAループ
2-1)OODAループって何だろう
「OODAループ」は、1950年代にアメリカ空軍の戦闘機パイロット・航空戦術家 ジョン・ボイド氏が、朝鮮戦争の空中戦での経験を元に提唱した「意思決定方法」です。
このボイド氏は、「40秒ボイド」という異名を持ち、戦闘機での闘いで40秒あれば、どんな不利な状況からでも有利な状況に転換できたとのことです。
このように、もともと「OODAループ」は、戦場で敵機に囲まれた戦闘機がどう対応すべきかを考える手法でしたが、それを企業戦略に活用する企業が増えて来ました。
この「OODAループ」は、予測が付かない情勢に対して効果的な手法だと言われています。
2-2)OODAループの4つのステップとは
OODAループの「O」はObserve(観察)、次の「O」はOrient(状況判断、方向付け)、「D」はDecide(意志決定)、「A」はAct(実行)です。
そして、もうひとつ重要なステップは、「Loop(改善)」です。
戦闘機を例にとると、
【O観察】
自分が乗っている戦闘機が複数の敵機に囲まれてしまった場合、自機の位置、態勢、燃料残、味方機の存在や敵機の位置、速度、相対的位置、機種を把握します。
【O状況判断、方向付け】
観察の結果を受け、自分の経験や軍隊としてのルールを踏まえ、時機が逃走、攻撃、無視等、どういう反応をすべきかを判断します。
【D意志決定】
観察と状況判断を受け、最善策を決定します。この状況では、人に頼ることができず、自ら判断することが要求されます。
【A実行】
意思決定を受け、即実行に移します。
【Loop改善】
実行の結果、当初の状況が変化します。その変化を踏まえ、再度「観察」に入り新たなループを回します。
これらのステップを一瞬のうちに行うのが「OODAループ」の神髄です。
ポイントは、❶臨機応変、❷即断即決、❸状況のUpdateの3つです。
3.変化の激しい今の時代では、「PDCAサイクル」の計画が全く役立たない!?
3-1)VUCAの時代とは?
変化の激しい今の時代のことを「VUCAの時代」と呼ぶことがありますが、皆さんご存じでしょうか?
「VUCAの時代」とは、社会やビジネスにおいて将来の予測が困難になっているまさしく今2022年のような状態を表す造語なんです。
英語の4つの単語「Volatility」「Uncertainty」「Complexity」「Ambiguity」の頭文字 「V」「U」「C」「A」をとってVUCA(ブーカ)と呼びます。
日本語ではそれぞれ、「変動性」、「不確実性」、「複雑性」、そして「曖昧性」という意味となります。
この言葉は、もともと1990年代に軍事用語として使われていました。
ところが、2016年の世界経済フォーラムを始め、国際的な経済会議でよく使われるようになって来ています。
3-2)「V」「U」「C」「A」の意味するところは
それでは、VUCAの語源となった4つの単語が示す最近の状態について簡単に説明します。
【Volatility(変動性)】
価値観の変化スピードが激しく予測不可能な状態のことを言います。
例としては、人工知能の台頭が挙げられます。
人口知能の進化スピードが速く、近い将来、弁護士や会計士も、うかうかできない状況になりつつあります。
【Uncertainty(不確実性)】
自然環境、国際情勢等、全く読めない状態のことを言います。
例として、最近のウィルスの流行があります。
飲食店や百貨店等、感染者数の変化次第で今後どうなっていくのか、全く先が読めない業種がいっぱい出て来ました。
【Complexity(複雑性)】
グローバリズム等、問題が複雑化している状態を表しています。
例としては、自動車の将来があります。
各国の思惑次第で、自動車の未来は、「空飛ぶ車」なのか「自動運転車」なのか、それとも「電気自動車」になっていくのか、全く予断を許せません。
【 Ambiguity(曖昧性)】
前例もなく絶対的な解決策が見つからない状態を表しています。
最近の東ヨーロッパの情勢が日々変化して、ガス供給不足になったり、戦火を交えている国との取引が中止になったり、世界経済は、全くどう対応していいか簡単な解決策が見つからない状況になっています。
3-3)結局のところ「VUCAの時代」は「計画」が全く役に立たない
なぜ、私が「VUCAの時代」について、例を挙げて説明したかと言うと、結局のところ、変化が激しすぎて、「計画」が全く役に立たないと説明したかったからです。
そうなると「PDCAサイクル」自体が成り立たないですよね。
じゃぁ、「PDCAサイクル」を止めて、「OODAループ」に変更するか!?
「OODAループ」は、個々人が責任を持って、企業全体に影響を及ぼす判断を下す必要があります。
本当にそんなことができるのでしょうか!?
次回の投稿では、「VUCAの時代」に「計画」が全く役に立たない状況で、どのように対処すべきか、本当に「PDCAサイクル」は使えないのかということに関して、私の意見を述べたいと思います。
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