海部町(かいふちょう)
徳島県に「海部町」という町があります(現在は合併され、海陽町の一部)。ご存じでしょうか?
ここは、全国でも極めて自殺率の低い“自殺最希少地域”です。では、なぜこの地域では極めて自殺率が低いのか。その理由について、岡檀さんの著書『生き心地の良い町』から一部抜粋して紹介したいと思います。
海部町の特徴は、現地のフィールドワークやアンケート調査によっていろいろ明らかにされているのですが、その特徴の一つに『赤い羽根募金が“集まらない”』というものがあります。
これは、意外に思うかもしれません。
・自殺率が低い
→人々が良いコミュニティを作っている
→助け合いの文化
→募金が集まる
このような図式がすぐに思いつくのではないでしょうか?そうした直感と反する結果を、どのように解釈すればいいのでしょう。
募金をしない理由として、海部町の人々は「何に使われるか分からないから」と言っているそうです。そして、担当者が他の市区町村の人々はこれだけ募金してますよと言っても、募金をしない人が多い。その為、行政の福祉担当者は大変するそうです。
このエピソードの重要な点は、海部町に住む人々が「他人と足並みを揃える事に拘らない」ということです。そして、なぜそれができるのかというと「それだけを理由に周囲から特別視される(コミュニティから排除される)心配がないから」だと、著者は分析しています。
人間は社会的な生き物ですから、周囲と同調しようとする意識が非常に強くなりがちです。それは、自分の生き方や考え方をかなり制限し、ややもするとストレスの原因にもなります。
そうした視点で考えると、今の社会は非常に同町圧力が強く、コミュニティから排除される心配を常に抱えながら生きている人も多いように感じます。
学校や学級に置き換えて考えましょう。あなたの学校や学級は、海部町のように、足並みを揃えないことを理由に排除されないような安心できる空間になっているでしょうか? それとも、みんなで足並みを揃える事を強く求める空間になっているでしょうか?
足並みを揃える事の大事さを否定するつもりは毛頭ありません。しかし、海部町のような「多様性を受け入れる」という姿勢を持つことは、自殺率を下げる=人々が生きやすい社会につながっているということを、今回は紹介しました。
そうした社会を目指していきたいですね(^^♪
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