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「日本一家にいるような”医療機関”」づくりへの大航海

はじめに

まず、このnoteをご覧くださる方に、知っていただきたいこと。

僕たちは、まだ何かを成し遂げたわけでもないですし、乗り越えなければならない課題などに向き合い、もがきながら模索しています。

共感して下さったら、以下をお願いできたら本当にうれしいです。

まちおかの目指す医療機関づくりに一緒に関わりたい方、お問い合わせください(お知り合いの方の他薦もWelcomeです)
・まちおかの取り組みに共感いただいた方、ぜひSNS等でシェア(共有)ください

長文ですが、お付き合いください。

まちおか共創カイギ2024


なぜ、「まちおか」をはじめたのか?

まちおかのプロローグ

まちだ丘の上病院(以下「まちおか」)の取り組みをはじめてもうすぐ丸7年を迎えようとしている。
投資ファンドで病院の再生を手掛けている頃、”病院”という場所において強烈に感じた違和感がきっかけとなり、地域に自分や家族の暮らしを「当事者=患者目線」で支えてくれる医療機関があったら。
そんな想いが発端になってはじめた廃院になることを待つだけだった「南多摩整形外科病院」を再建させ、「丘の上(ビジョン)」に向けて歩んでいくプロジェクトがはじまった。

病院名を公募で決定。投票する藤井

はじめの半年は、本当に生きるか死ぬかの瀬戸際。人生ではじめて資金繰り破綻をするかもしれないという恐怖で、夜中に眠れなくなる経験をした。
それでも、僕が描いた“未来”を信じてくれた金融機関と、頼りない船に乗ってくれた多くの仲間がいたから、乗り越えてきた。

”病院”だからできない?との戦い

その後は、旧態依然とした組織と、古い“病院”という呪縛との戦いだった。「病院ですからそんなことできません」って、色々な人に言われたけど、大抵のことは、一つずつ整理をしていくと乗り越えていくことができた。
”病院”という壁の中で、「やらない理由を探しているだけ」のようなことが大半だった。

まちおかに関わり始めて間もないある日、「正職員を辞めさせて、私たちの給料を上げてくれなければみんなで辞めます」って当時の介護職のパートさんたちに囲まれたこともあった。それでも、丁寧に向き合い、出来ることと出来ないことを丁寧に説明していった。結果、辞めたものもいるし、辞めなかったものもいる。

ある時は、院外の人から「おたくの院長、朝から飲酒してるよ」ってタレコミがあって、人生ではじめて探偵を使って調べた。そしたら、本当に朝から飲酒していて、断腸の思いで当時の院長に引き取ってもらった。
お世話になっていた思いもあったから顔に泥を塗ってはならないと思い、職員にはほとんど真相を告げなかった。そんな退職する当時の院長を見た職員は、僕のことをきっと冷酷な人間だと思ったに違いない。

そして、まちおかに、とうとう飛び切りまともな院長・小森さんがやってきた。

医療的なスキルセットと患者さんの「人」を診ようとする視点、そしてちょっと優柔不断な部分も含めて人間的なやさしさの面とを兼ね備えた「あたらしい院長像」を作り出す医師がやってきた。


本当の”まちおか”のはじまり

本当のスタートラインに


小森院長の着任を機に、まちおかは次のステージに歩み始めることができた。

まちおかは、小さな医療療養病床の許可を持つ、主に慢性期の入院医療と、外来診療、そして在宅医療(訪問診療、訪問看護・リハ)を提供する医療機関だ。もともと重症心身障害児の施設である法人のルーツを継承して、障害児者向けのケアも提供している。

慢性期医療の可能性を模索する

僕は、慢性期の医療というのは、制度的にはきわめて制限が少なく、様々な余白がありうる場ではないかと考える。急性期の医療ではどうしても管理型の思考で考える「治療」が主たる目的になることが多いが、慢性期の医療は、少し乱暴な言い方かもしれないけど、どちらかというと「暮らす」場に近い。医療的な支えを必要とする割合が多いなかで、残りの時間を「暮らしている」人たちだ。

「病の治療」を中心に置いた効果的な仕組みが管理型の医療であるとすると、「患者さんの暮らし」を中心に置いた効果的な仕組みがきっとあるはずだ。まちおかが掲げる「あなたらしい生き方」とはそのような願いが込められている。

そう考えると、僕ら医療者はまず「医療」という壁を乗り越えて、患者さんの「暮らし」にお邪魔するような感覚を持った方がいいのではないか。もちろん、管理型ではない医療の在り方は、未知であるという不安と、想定されるリスクと正面から向き合っていかなければならない。決して専門性をあきらめるのではなく、むしろ高度な医療的な管理(管理型という意味でなく)が求められる領域ではないだろうか。

まちおかでは、管理型の医療の在り方とは違った「医療」を目指して、様々な壁にぶつかりながら、少しずつ前に歩んできた。

まちおか達磨に目入れする様子

医療が病院という”壁”を乗り越える取り組み


ヨリドコ小野路宿のプロジェクトをはじめたのは、2019年の夏。まちおかの地元・旧宿場町小野路で出会った運命の古民家。思わず大人買いをしてしまった(一応、説明しておくが、ちゃんと勝算はあったし、理事会では決議したので)。鎌田實先生と当初から構想していた古民家を活用したプロジェクト。
地域の中にたくさんある医療や介護や福祉が届かないスキマを埋めるような「あたたかなケア」。そして、地域に医療がはみ出して溶け込んでいるまちづくり。

きっと、そんなきっかけの「場」があることで、地域社会はもっともっと豊かになり、きっと人々が暮らし続けたい場所になっていく。それが本当に目指すべき健康=Well-beingではないか。地域のなかで「病院」がそのような起点になる役割を担えるのではないか?そんな構想を現実にしていくためのプロジェクトだった。

はじめは、病院のスタッフたちもきっと一歩引いた目で見ていたに違いない。そうであることは予見できたけど、プロジェクトを前に進めながら、少しずつ病院のスタッフたちにも説明を続け、小さな接点を沢山つくっていった。

最初は、ヨリドコの裏山にある「竹林」が、竹を通じて人々を結び付けていった。訪問看護ステーションの理学療法士の一人が筍を掘るがために放置竹林を整備し始めたのだ。すると、町田市の放置竹林問題を扱いながら。竹林セラピーのような活動を始めた団体が、そこに乗っかり始めた。竹灯籠をつくったり、竹で作った編み物をつくったり、流しそうめんに、竹林での篠笛コンサート。

昔ながらの価値観を持つ人が多い小野路という場所では、ヨリドコ小野路宿は、なかなか俄かには理解が難しい斬新なものだったのか。当初は地元の方々は気になって外から眺めるものの、ほとんど誰も中には入ってこない。それでも、ほんとに少しずつ少しずつ、ここで行われる様々なワークショップなどや、カフェが提供するコーヒーを飲みに来るきっかけだったり、何かのきっかけを得て、地域の人たちが利用してくれるようになりはじめた。

ヨリドコではじまった「手しごとマルシェ」

「学び」が地域と人とをつないでいく


さらに、「学び」は人を動かす大きな原動力になると信じていた僕は、自分のスケジュールが悲鳴をあげるような中でも当初から医学部の実習生を受け入れることを続けてきた。本当にうれしいことに、当初は怪訝な顔でヨリドコにやってくる医学生たちの小さな行動変容の場面に立ち会えることだ。
なぜ、ヨリドコのような場を手掛けているのか、何を大切にしているのかを丁寧に説明し、それを体感してもらうべく、ミニ地域診断を通じて「地域を診る」視点を学んでいく。

もともと、地域で人々の暮らしを支える医療に関心があって医学部に入ったつもりだが、大学ではそのような機会はほとんどなく、「いつしか忘れかけていた気持ちを、ヨリドコであらためて思い出すことができた」。そんな声を感想としていただくこともある。


医学生団体のヨリドコ実習の様子

今では、医学生をはじめとした医療系の学生や、地域医療に関心をもつ医療者たち、ヨリドコのような取り組みを自分たちも手掛けたいと考える医療機関の方々が、ほんとうにひっきりなしに全国から訪れてくれる。僕らよりも、どまんなかの「医療機関」づくりで、先進的な取り組みをしているようなこの分野のフロンティアのような方々も来てくれる。僕らが何かを提供しているというよりも、僕らは沢山いただいてしまうことばかり。

それでも、このような各地で悩み苦しみながら前に進もうとして、切磋琢磨している方々はもはや戦友のような関係でもある。僕らは、まちおかプロジェクトを通じて、本当にたくさんのことを生み出してきてもいるし、受け取ってもきている。
加えて、今はまちおかのスタッフたちの中で、僕よりもヨリドコという場所をつかい倒して、楽しみながら関わってくれるものも沢山現れ始めたことが大きな前進だ。必ず伝わると信じていた「”病院”という壁」を、多くのスタッフが乗り越えてきてくれている。


まちおかの「現在地」とその先の描きたい「未来」

「あなたらしい生き方」を大切にする丘の上

”「あなたらしい生き方」を大切にする丘の上”とは、まちおかが掲げるビジョンだ(2024年10月時点)。

僕らは、僕らが掲げる「あなたらしい生き方」に対して、まだゴールにはたどり着いていない。

ヨリドコで少しずつ実践している「壁を越えた医療」とは、物理的に”病院”の壁を越えなくとも実現できるのではないかと信じている。すなわち、医療機関の建物の中でも、きっと”メタファーとしての病院という壁”を乗り越えた医療が提供できるのではないか。

まちおかの夏まつりの様子

僕らが考える「あなたらしい生き方」とは、好きな人や好きなモノや好きなコトができるような生き方。すなわち、それは”家にいるような医療機関”なのではないかと考えている。
”家”というのはあくまえメタファーとしてとらえているので、”病院”がだめで”在宅”がいい、という類のことではない。


「丘の上」への冒険


「あなたらしい生き方」を模索する”丘の上”にたどり着くための旅は、決して平たんな道のりではない。これまでの”病院”という仕組みの中でがんじがらめにされていた沢山の”壁”を乗り越えていく冒険の旅だ。

僕らが目指している「丘の上(ビジョン)」は、必ずそこにはあるはずだけれど、まだぼんやりしか見えていない。

共創カイギで丘の上への道を説明する様子

生みの苦しみの中で、時として本気のぼくらはぶつかり合うこともある。何かをやろうとするときに、「やる」理由よりも「やらない」理由の方が圧倒的に多かったりする。それは、ダイエットや禁煙がうまく行かない経験をしたことがあると思うが、多くの人が知っていることではないだろうか。

それでも僕は「あなたらしい生き方」とは、自分自身に正直に生きることだと考えているから、「やらない」理由を考える時間ももったいないので、「やる」選択をしたい。

「まちおか」という「場」は、こんなことを考え、実践し、模索する経営者(藤井)とともにまだ見ぬ「丘の上」に歩んでいくプロジェクトだ。


たくさんの仲間たちが一緒に歩んでくれているけど、まだ僕らが乗り越えるべき「壁」は高く、「丘の上」にたどり着くためには、一緒にこの船に搭乗してくれるクルーの存在が必要だ。だから、本気で一緒にこの大航海に乗船してくれる仲間を大募集しています。

ご関心ある方は、藤井宛に直接メールやSNSのDM等でもご連絡ください。
Mail(Direct): hope@machida-hospital.com


まちおかで経験できること

「まちおか」で医療者として経験できることは、病院のnoteなどでもご紹介しているので、ここでは詳細の説明はしないが、2つにシンプルにまとめると次のようなことが経験できるのではないか。

〇医療機関経営に必要なマネジメントスキル全般
〇これからの時代に必要な地域に開いていく医療機関づくり

具体的にイメージを持っていただくために、現院長こもりん(小森先生)の記事をご参考までに。

また、まちおかで推奨している「医療×〇〇」の軸を持つ医師の働き方はこちら。


さいごに、ここまでお読みいただきありがとうございます。
藤井についてや、なんでそのそもこのような取り組みしているかなどは以下でご紹介してます。


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