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1889年近辺のこと
Louis Diemer(1843~1919)は1888年に師匠のアントワーヌ・マルモンテルの後任としてパリ音楽院のピアノ科の教授となりました。それまでに彼はヴィルトゥオーゾとしてすでに活躍していて、教育にも携わっていたようです。1889年のパリ万博でディエメが初めてチェンバロ演奏会を催したことは有名な話ですが、さて、何を演奏したのだろうと気にかかり、調べていました。
1889年のパリ万博では、音楽学者のジュリアン・ティエルソの発案で、ただ陳列されているだけの楽器たちを使用し、実際の演奏で18世紀の再現を試みようとしたとあり、その演奏は大成功を収めたと伝えられています。
チェンバロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴィオラ・ダモーレ、フルート(トラベルソ)でマレとラモーの合奏曲を演奏したとあります。では、チェンバロソロは?
ディエメはソロは弾かなかったのだろうか?
調べてみましたら、ディエメらが編集した出版物がありました。
![](https://assets.st-note.com/img/1703747339390-XjHtlfxvdi.jpg?width=1200)
ところがよく眺めてみても出版年がないのです。Durand社ですか。
昔の楽譜では珍しくないのですが、どうしても知りたい。
ぜひ、1889年前であって欲しい、という無理矢理な願望で調べましたら。
ありました。
Les clavecinistes français
ミシガン州立大学に所蔵されていました。
2013年10月15日デジタル化されています。
「Les clavecinistes français: ... Vingt pièces choisies」
全4巻ですが、第2巻と4巻のみ現存のようです。
Durand 1887
です。
1887年と言えばディエメがパリ音楽院の教授になる前の年でありパリ万博の2年前。
さらに1882年にはパスカル・タスカンの楽器が修復されています。その楽器がどのような音楽を奏でていたのか、調べたくなるのは道理です。そして出版までされていながら出版年の記載がないという。
全4巻で、各20曲の選曲で、フランソワ・クープラン、ラモーダンドリュー、ダカン、るい絵、シャンボニエール、リュリ、マレなどの作品が収められています。
バロック名曲アルバムのような楽譜です。
この中からも演奏したであろうと予測して、来年初期チェンバロを訪ねるコンサートをするつもりで準備しています。
さて、この楽譜、まだまだおもしろい発見がありました。