移民をめぐる文学 第1回
栗原俊秀
(この連載は、2016年に東京の4書店で実施された「移民をめぐる文学フェア」を、web上で再現したものです。詳しくは「はじめに」をお読みください)
1. ジョン・ファンテ『満ちみてる生』栗原俊秀訳、未知谷、2016年
無頼の作家チャールズ・ブコウスキーに「再発見」され、鮮烈なリバイバルを遂げたジョン・ファンテ(1909-1983)は、「イタリア系アメリカ文学」を語る上でもっとも重要な作家です。1952年に上梓された本書『満ちみてる生』では、『バンディーニ家よ、