29. ジーゼク、ジーゼク、あなたはなぜジーゼクなの?(魚)
菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者)
ぼくらはジーゼクという小魚をわなで捕まえていた。その小魚は、正式には、フロウゼク・ドゥロウホヴォウシーという。しかし、ぼくらはその小魚を「ジーゼクのフライ」と言うのと同じように、ジーゼクと呼んでいた。ジーゼクは見栄えのする小魚だ。二本の青みがかったドジョウひげをはやし、まるで大理石のようなまだら模様をしている。神様はその魚を創造するときに、存分に趣向を凝らしたようだ。けれども、そいつはだまされやすい、まぬけな魚だった。