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ワクワク&なるほど! 共創社会への鍵は、違いを受け入れ、尊重し合うこと

#私が感じたミチシルベ <光-1セッション>

2025年2月8日、沖縄国際大学で開催された「ミチシルベ2025」。
光会場(5号館203教室)では11:30〜12:30、「まちがかわる 理想の共創社会を目指して」をテーマにトークセッションが行われました。

モデレーターは鯨本あつこさん、スピーカーには丑田俊輔さん、加生健太朗さん、久保匠さんが登壇。それぞれの視点から見た「共創社会」について話してくれました。

登壇者の皆さんはこれまでの経験を踏まえ、現在取り組んでいる事業への思いや、理想の共創社会について熱く語ってくれました。

これからの社会において他者を尊重しながら共創を目指していくことの重要性など、大切なことを考えさせられる時間でした。

シリーズ「私が感じたミチシルベ」
学生・社会人の運営メンバーによるミチシルベライターが、トークセッションなどをレポートします♪

<トークセッション登壇者>

登壇者のプロフィールは下部の【登壇者紹介】をご覧ください。

<セッション概要の紹介>

◆テーマ「 まちがかわる 理想の共創社会を目指して」
理想の共創社会を実現するには、企業、行政、NPO等、異なる属性の人や組織が集い、強みを活かしながら、地域社会の課題解決や社会価値の向上・創造を推進することが重要です。今回のセッションでは、セクターを超えた共創を生み出し、社会課題を解決するアプローチ「コレクティブ・インパクト」の実践者をゲストに招き、ステークホルダーとの関係性構築、事業創出、共創を支えるファイナンス等について議論することを目的に“日本の地域から創り出す、理想の共創社会”について語ってもらいました。
◆会場:光(5号館203)
◆時間:11:30〜12:30

冒頭からワクワクが止まらない

モデレーターの鯨本あつこさん。登壇者の皆さんがそれぞれの活動を楽しそうに紹介してくれたのが印象的でした。

登壇者の方々は冒頭、自己紹介とそれぞれが取り組んでいる活動を紹介。皆さんの熱量がビシバシ伝わり、聞いている私たちもワクワクするようなプロジェクトばかりでした。

それぞれ異なる専門分野で活躍する登壇者の皆さんが、どのような視点から「共創社会」を捉えるのかーー。

「このセッションもまさに『共創』のカタチの一つなのだろう」

私はそんなことを考えながら、登壇者の皆さんのお話に耳を傾けていました。

皆さんが描く理想の社会とは?

会場の皆さんも「なるほど」という表情で聞いていました。

登壇者の皆さんは、それぞれが描く理想の社会のイメージを語ってくれました。

「小さなプロジェクトが生まれたり、新しい競争が常にあるような社会」

「誰でも挑戦でき、それを応援する社会」

「官民で共創ができている社会」

など、いろいろな答えが出てきました。

全て「なるほど」と納得できる内容で、それぞれのお人柄や優しさが言葉の中に詰まっていました。

中でも、私が特に印象に残ったのは、久保さんの言葉です。

「誰かにとっての理想が、誰かにとっての辛さや不利益にならないことが社会において大切だと思う」

加えて、久保さんは被災者支援プロジェクトの経験を踏まえ、そこから得た学びも語ってくれました。

「社会のために良いことをやろうとする際に、誰かの不利益に繋がっていることがある。しかし、そこをあらかじめ考えることで、本当の理想の社会を目指すことができる」

とても共感でき、心に響きました。

「何か良いことをしたい」と自分の理想ばかり見ていると、大切なことを見失うことがあります。そうならないように、広い視野を持ち、相手を理解する心が必要だと感じました。

「いいね」と思うプロジェクトの共通点は?

登壇者の皆さんが互いに自分の意見を伝えつつ、共感し合っていてとても素敵な雰囲気でした!

セッションのテーマは、次のトピック「いいね!と思うプロジェクトの共通点」へと移りました。

登壇者の方々が話していた内容で共通していたのは、プロジェクトを行う上での「仲間」に対する意識でした。

「次世代の人たちが当事者として参画していること」

「フラットな関係」

「みんなが同級生であるようなプログラム」

「『これを解決したいから』ではなく、『この仲間だからやりたい』と思うようなプロジェクトは素敵だと思う」

確かに、最後まで何かを成し遂げるために重要なのは「仲間」かもしれません。そして、最高のメンバーを見つけるためには、自分自身が最高のメンバーになることも大切だと思います。

自分がどの立場でプロジェクトに参加しようと、一人の仲間として責任感を持ちつつ、メンバーとの繋がりを大切にしていきたいなと、セッションの中で学ぶことができました。

理想の共創社会の実現のために

最後に登壇者の皆さんは、理想の共創社会の実現に向けた今後のアクションについて語ってくれました。

どんなアクションがあるのか?
共創社会の実現に向けて、実際にアクションを行っている方々が、さらにこれからどういったプロジェクトを行うのか?

もちろん私にとっても興味深いテーマですが、会場の皆さんにとっても気になるトピックだったと思います

丑田さんと鯨本さんは、取り組んでいるプロジェクトの将来像や、これからの共創社会に必要な学校のあり方について、ご自身の考えを話してくれました。

「学校は共創社会の根幹になる」

「学校は帰ってくる場所になる」

「地域コミュニティ×教育」をテーマに留学した経験がある私にとって、ビビッときた言葉でした。

学校は基礎学力を学ぶだけの場所ではなく、人との繋がり、社会との繋がりを学ぶ場でもあります。

そのことを多くの方々が理解することができれば、地域コミュニティを活かした教育、地域の方々と共に創る教育の形が実現できると、私は考えています。

そして、それが理想の共創社会への一歩になるのではないでしょうか。

また、加生さんはミチシルベツアーの一つ「沖縄少年院HIGH HOPEツアー 少年たちの現状から社会の希望を考える」に参加した経験を踏まえ、

「彼らにこそ『つながる30人』のようなプロジェクトが必要なのではないか。社会と繋がる機会が必要だと思う」

と熱く語ってくれました。ぜひとも沖縄で『沖縄をつなげる30人』を実現してほしいです。

そして、沖縄の子どもたちの光を生み出してほしいと思いました。

「県民ファンドをつくりたい」

久保さんは、沖縄で「県民ファンドを作りたい」との革新的なアイデアを紹介してくれました。

県民から寄付や出資を募り、沖縄県内の社会起業家や地域を良くしようと行動する個人や法人を支援するというプロジェクト構想です。

社会課題に関心があっても忙しさなどから関わることができない人たちも一緒に社会課題に参画できる仕組みです。

まさにミチシルベが目指す『株式会社沖縄県』の理念を具体化するプロジェクト構想で、”新たな共創”を目指せると感じました。

どのプロジェクトも本当に実現してほしい! そして、私も何らかの形で参加したいと思いました。

大切な一歩は「仲間」として関わること

「それぞれの分野で活躍している方たちが考える共創社会とは何だろう」

「登壇者の皆さんが描く理想とは何だろう」

そんなことを考えていた私に、登壇者の皆さんが教えてくれたことは「互いに尊重する心」でした。

自分と異なる立場・属性の人と出会ったり、さまざまな考えに出合ったりと、今の社会では違いがあるのが当たり前です。それを否定するのではなく、受け入れて、分かり合い、尊重し合う。

そして、それを強みに活かしていくことが、共創社会の実現には必要なのかもしれません。

理想の共創社会に近づくには、年齢や性別、立場、職種などに関係なく、一人一人が社会の「仲間」として関わっていくことが重要なのだと、今回のセッション全体を通して感じました。

One more thing

日本の教育課題に迫る古川さん。これから必要になること、私たちができることを伝えてくれました。

トークセッション終了後、教育問題に取り組む古川理沙さんが登壇し、日本の教育の課題や、テーマに関わるプロジェクトを紹介してくれました。

子どもたちの精神的健康度の低さといった日本の教育課題を取り上げつつ、正解を求め過ぎたこれまでの教育に対する疑問などを伝えてくれました。

「特別な子や優秀な子だからできる」のではなく、「子どもたちにはしっかり力がある」ことなどを熱く語ってくれました。

どんな環境にいる子どもたちでも、「あ、自分でもやればできるんだ」と実感してもらえる社会、環境を目指していきたいと改めて思いました。

そして、そういった環境をつくるには、私たち大人や子どもが共創し合い、地域全体で教育を行うような仕組みが、これからは必要になるかもしれないと、トークセッションを通して強く感じました。

【登壇者プロフィール】 

<モデレーター>
◆鯨本 あつこ
(NPO法人離島経済新聞社代表理事・統括編集長)
1982年生まれ。大分県日田市出身。NPO法人離島経済新聞社代表理事、有人離島専門メディア『ritokei(リトケイ)』統括編集長。地方誌編集者、経済誌の広告ディレクター、イラストレーター等を経て2010年に離島経済新聞社を設立。一般社団法人石垣島クリエイティブフラッグ理事。美ら島沖縄大使、沖縄振興審議会専門委員、沖縄県地方創生推進会議委員、奄美群島振興開発審議会委員。リトケイと島のキーマンでつくった『世界がかわるシマ思考-離島に学ぶ、生きるすべ』(issue+design)では編集・執筆を担当。趣味は人とお酒と考えごと。那覇出身(母方は宮古島、父方は国頭)の夫とうちなーハーフ2児と4人暮らし

<ゲスト>
◆丑田 俊輔:(一般財団法人私立新留小学校設立準備財団. 共同代表、シェアビレッジ株式会社 代表取締役)
1984年会津生まれ、東京育ち。2004年、大学在学中に千代田区のまちづくり拠点「ちよだプラットフォームスクウェア」の創業に参画。日本IBMを経て、2010年、新しい学びのクリエイティブ集団「ハバタク」を創業。2014年より秋田県五城目町在住。商店街の遊休不動産を活用した遊び場「ただのあそび場」、住民参加型の小学校建設「越える学校」、住民出資による温泉再生「湯の越温泉」、コミュニティ支援プラットフォーム「Share Village」、地域の森林とデジタル技術でつくる集合住宅「森山ビレッジ」など、地域資源とコミュニティの共助を活かした様々なプロジェクトを手掛けている。現在は、鹿児島県姶良市の廃校を舞台に新たな小学校を立ち上げる準備を進めている。

◆加生 健太朗:(一般社団法人つなげる30人代表理事)
福岡県出身。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、通信会社の営業職を経て2005年にフリーランスとして独立。NPOの広報企画等に携わる。2013年に東北での巨大防潮堤建設に関する行政(国・県・市町村)と市民との対話の場づくりを行ったことを契機に、2015年株式会社フューチャーセッションズに参加。 2016年から「渋谷をつなげる30人」の立ち上げと運営に携わり、2019年SlowInnovation株式会社にて同プログラムの横浜・名古屋等への全国展開を担当。2022年一般社団法人つなげる30人を立ち上げ、代表理事を務める。2023年株式会社ADDRIVEを設立。

◆久保 匠:(ソーシャルセクターパートナー・すくらむ 代表、株式会社うむさんラボ ソーシャルファイナンス・パートナー)
1993年北海道旭川市生まれ。大学卒業後、福祉系NPO法人にて障害者支援に携わる。2018年4月より日本ファンドレイジング協会に入職し、法人向けのファンドレイジング力向上プログラムに従事する。2022年1月に独立し、ソーシャルビジネス、NPO等の資金調達、事業創造、社会的インパクトマネジメント支援、クロスセクター連携創出を行っている。また、融資、助成金等の資金提供業務、Social Impact BondやPay for Successを活用した成果連動型の公民連携事業にも取り組む。様々なスタートアップや非営利組織の役員やアドバイザー、株式会社うむさんラボ ソーシャルファイナンス・パートナー、日本ファンドレイジング協会 事業創造ディレクター、中京大学 講師、上川町ソーシャルビジネスアドバイザー等も務める。

【この記事を書いた人】

宮城美希(琉球大学国際地域創造学部2年次/株式会社Earth High School QOL部 執行役員)
昨年9月まで、文部科学省が提供している奨学金プログラムトビタテ留学JAPAN!の15期として、フィンランドへ1カ月、カンボジアへ10カ月のインターン。「地域コミュニティ×教育」をテーマに途上国の支援に携わる。帰国後、株式会社Earth High School を仲間と共に創業し、途上国や日本における多次元の貧困をなくす循環型社会を目指して活動しています。また、Global Shapers Community の5期生として加入し、東南アジアと沖縄をつなげることを目標に活動しています。


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