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ちょいちょい書くかもしれない日記(サイン本を作る)

もうすぐ出る新刊のサイン本を作った。
けっこうたくさんある。
書店さんが希望してくださったものだ。とてもありがたい。
作家として、苦境に立っている書店のニュースを見るたびに、あるいは閉店のお知らせを見るたびに、何かできないだろうか、何かさせていただけないだろうか、と思うのだが、以前、「いやあ……今、書店も人がいないんで、よっぽど売れっ子作家さんじゃないと、むしろ来ていただくと人手を割かなきゃいけないんで……ね。お気持ちだけ」と言われて以来、二の足を踏んで踏んで踏み潰してしまった現状だ。
いや、本当にそうだと思う。
どこの書店に行っても、書店員さんたちはみんな忙しそうだ。
売場のここの写真を、他のお客さんが映り込まないように撮らせていただいてもよろしいですか、と許可をいただくために呼びかけるのすら躊躇われる状況が、何度もあった。
そんな中で、サイン本でお役に立てるなら、なんぼでも。
本当になんぼでも作らせていただきます、と思っている。
ただしこれも、結局は書店さんに「たとえ売れなくても返本ができなくなる」というリスクを背負っていただくことになるわけで、手放しで安堵できることではない。
色々と複雑な気持ちで、でも、喜んでくださる読者さんのことを思いながら、本を開いて楽しい時間を過ごしていただけますように、と祈ってサインをしている。

何ごとおいても、白黒をはっきりつけられることはそうそうなく、誰にとっても100%嬉しい策もなく、劇的に何かを変えることもできない。
「小手先のことじゃだめだ」とはよく言われることだが、「今日と明日を何とかする」ためのささやかな、弱々しい努力を重ねている人たちがいるからこそ、力強い誰かが、その遥か先に向けて思いきった手を打つことができるのだ。
小手先でもいい。私は、私にできることを、私の目と手が届く範囲でやろう。
執筆も、講義も、生き物のことも、生活のことも、全部。
そして、いつか現れるであろう、高く跳ぼうとする人のために、1つずつ煉瓦を積もうと思う。

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椹野道流
こんなご時世なのでお気遣いなく、気楽に楽しんでいってください。でも、もしいただけてしまった場合は、猫と私のおやつが増えます。